映画感想:『ターミネーター4』
2009年 06月 22日
2018年。“審判の日”を辛くも生き延びた人々は抵抗軍を組織し、スカイネットとの戦いを続けていた。抵抗軍の一部隊を率いる立場となっているジョン・コナーは、スカイネットの抹殺リストの1位に、将来彼の父親となる、いまだ少年のカイル・リースの名前が挙がっていることを知る。カイルを救出しようとするジョンの前に、マーカス・ライトという記憶を失った男が現れるのだが…。
原題:TERMINATOR SALVATION
監督:マックG
脚本:ジョン・ブランカトー、マイケル・フェリス
出演:クリスチャン・ベイル、サム・ワーシントン、アントン・イェルチン
マックG監督の『ターミネーター4』を観てまいりました~。前作の『ターミネーター3』はわたしはそんなに悪くないと思ったんですが、巷では賛否両論って感じでしたよね。今回の『ターミネーター4』もジェームズ・キャメロン監督の手になるものではないし、どんな感じかしらと思っておりましたが、わたしはおもしろいと思いました。ただ、ところどころに前作らを彷彿とさせてニヤッとさせるシーンはあるものの、全体的に「ターミネーター」シリーズらしさは薄れてきてるかな~って気はします。
見た目はまったく人間との違いがわからないターミネーターが人間のなかに紛れこみ、黙々と無表情に人を殺していく不気味さ、怖さというのが「ターミネーター」シリーズにはあったと思います。ところが、『ターミネーター4』では舞台が審判の日以後の世界に移り、シュワちゃん型ターミネーターが開発される前に設定されたので、ターミネーターたちは一発で機械とわかるむきだしのボディ。戦闘を重ねるごとに肉(?)が剥がれ落ちて、機械の部分が露出したグロテスクな姿で、倒しても倒してもジョンたちに迫ってくる恐怖がなくなってしまったのは残念でありました。
その代わりと云ってはなんですが(笑)、『ターミネーター4』ではいろんなタイプのターミネーターが出てきて、それらはすごく魅力的! わたしが一番好きだったのはバイク型のターミネーター、モトターミネーター。でっかいハーヴェスターからポンポンと飛び出してきて、障害物をかいくぐりながら疾走していく姿はたいそうカッコよかったです~。
荒廃しきった世界のヴィジュアルもよくできてました。緑がほとんどなくて、すべてがホコリをかぶったように白っぽく、彩度の低い乾いて沈んだ世界。なんとなく、コーマック・マッカーシーの『ザ・ロード』を映像化して湿度をとりさったらこんな風になるかな? という感じ (←余談ですが、こちらの映画は秋にアメリカで公開されるみたいですね~。果たして日本公開はあるのか!?)。
クリスチャン・ベイルが演じたジョン・コナーは抵抗軍の一部隊を率いて戦いの先頭に立つ、すっかりリーダーシップを発揮する存在になっちょりました。今作が『ターミネーター3』の続編だとすると、あの頼りなげなジョン・コナーからは想像できない別人のような変わりっぷり(笑)。頼もしいと云えばそのとおりなんですが、わたしはヨロヨロしながらもリーダーであることに目覚めていくジョンの成長過程を観たかったなぁ。クリスチャン・ベイルは苦悩する姿が似合うと思うから(笑)。その点はちょっと物足りなさがありましたね~。
苦悩するジョン・コナーは観られませんでしたが、苦悩するターミネーターと人間のハイブリッド、マーカス・ライトはじっくり堪能しました! 演じているサム・ワーシントンがイイです。見た目はゴツイ系なのにどこか繊細さを感じさせる表情とかね~。あくまでも人間であろうとした彼が、与えられた“セカンド・チャンス”をどう活かすのか、予想はついていましたがやっぱり感動的でした。『ターミネーター2』のジョンとT-800みたいに、カイルやスターとの絡みがもっとあればこの感動はより深いものになっていたのに、と思いましたです。
『ターミネーター4』ではサラが遺したテープの内容とはかなり違った未来になってきているので、ぜひともまた続編を作ってほしいです。今のところ人間とスカイネットとはまったくの敵対関係にしかないわけですが、『ターミネーター4』では初めてスカイネット本人が顔を出し(?)自身の言葉で話したことからも、機械・テクノロジーと人間の対話の可能性が出てきたと云えるかもしれないし、未来から過去へターミネーターたちがやってきてジョンたちを狙うというパターンだと、ストーリー展開にいろいろ制約ができてしまうでしょうが、審判の日以後の未来がどうなっていくかは、云ってみれば製作者たちが自在に生み出していけるわけですしね!
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