映画や本の感想アレコレ。ネタバレにはほとんど配慮してません。ご注意! 


by nao_tya
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<   2011年 09月 ( 3 )   > この月の画像一覧

 もうすぐ公開される映画『夜明けの街で (角川文庫)』の原作本を読みました~。本は同僚のU地さんに貸していただきました。ありがとうございます♪ 原作者は東野圭吾さん。東野さんの文体はわたしにはとっつきやすく、いつものごとくするする~っと読了。しかしながら、他の東野作品に比べてどうも物語に乗りきれないままエンディングをむかえてしまいました。

 ミステリ色は薄くて、どちらかというと不倫の恋の行く末にミステリをスパイスとしてふりかけたっていう感じ。そこがそもそもわたしのツボから斜め45度くらい外れてるうえに (色恋がメインの小説って、まず自分から進んでは読まないもので)、感情移入できる人がどうも見当たらなかったのが敗因だと思うのです。恋愛モノって、極論すれば主役のふたりが結ばれるか否か、どっちかしか結末がないですよね。となると、登場人物に感情移入できるかどうか (その登場人物の恋を応援できるかと云ってもいいです) が重要なのに、この『夜明けの街で』の人々はねぇ…。

 まず主人公の渡部さん。特別なところはないごく普通の男性で、だから弱いところやダメなところもあるのはもちろん理解できるけど、それに加えて家庭があるというマイナス面を乗り越えて好きになって、それだけじゃなく不倫という行為に走るほどの魅力を、わたしは彼には感じることができなかったのです。リアルな人物像ではあるんでしょうが、中途半端にいい人で、奥さんにも不倫相手の秋葉さんにも結局は不誠実になってしまう姿に、読んでてイライラしてしまった(笑)。

 ヒロインの秋葉さん。15年もの間、大きな秘密を抱えて生きてきている女性なだけあって強いなぁとは思います。その反面、依怙地でどうにも頑なな印象が強いの。父親や叔母に対する強いいきどおりがあってこその沈黙だったのだろうけど、彼女が沈黙を守ることで守られた幸せはなにひとつないし、亡くなった人の家族は15年間気持ちを切り替えることもできず、同じところに立ち止まったままになってしまったわけですよ。それを考えるとやはり同情しきれない。それに渡部さんとの関係も、秋葉さんのなかでとっさの計算で始めた観が強くて (渡部さんに惹かれる気持ちがゼロだったわけではないだろうけど)、好感がもてないんだなぁ。

 同情できる人間がいるとすれば、渡部さんの奥さんの有美子さんでしょうかね。ただ、わたしは彼女が苦手、というよりコワイのだ~。夫の浮気を察していながら怒りや悔しさを押し殺し、いつもと変わらぬ態度で夫が自分の許に帰ってくるのを待っている姿を、健気ととるか陰湿ととるか。受け取り方は人それぞれでしょうが、つぶされちゃった卵のサンタクロースのエピソードがある限り、わたしはしんねりしたものを感じてしまうのです。つぶれさた卵のサンタクロースを偶然に渡部さんが見つけたんならまだしも、あの流れは意図的に見つけさせたとしか考えられないもん。つぶしたサンタクロースをわざわざ保管しておくのがすでにおかしいし。

 しかしまぁ、「不倫なんてするやつはバカ」とまで考えていた男が、思わぬ巡り会わせで不倫の泥沼にはまってしまう心理は丁寧に描写されています。だからその流れに不自然なところがなくて、渡部さんの身勝手な言い分にも「あぁこういう人っていそうよねぇ」と納得できたりするのです。好みの題材ではなくても、最後まで読ませてしまうところはやっぱり東野作品という感じでした。あと、渡部さんのアリバイ工作に協力する学生時代の友人の話が番外編として収録されてるんですが、本編とはまったく違うコミカルなトーンで語られるエピソードで、友人が渡部さんに協力するにはこういう裏側があったのか~と苦笑いしてしまいました。

 映画の予告編を観た限りでは、原作と大幅にイメージが違うこともなさそうです。でも劇場にまでは観にいかないな。CATVの映画チャンネルなどに登場したら観てみたいかもしれません。
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by nao_tya | 2011-09-30 17:00 | 読書感想etc.
〔ストーリー〕
 作家志望の青年トンマーゾの実家、カントーネ家は南イタリアのレッツェで老舗のパスタ工場を営んでいる。久しぶりにローマから帰省したトンマーゾは、共同経営者を招いた一家の夕食会で自分がゲイであることを告白しようと決意していた。ところが、夕食会の席で兄のアントニオが先にカミングアウト。アントニオを勘当した父親は動揺のあまり倒れてしまう。トンマーゾはローマに戻ることもできず、共同経営者の娘アルバとともにパスタ工場の運営を任されることに…。


原題:MINE VAGANTI
監督:フェルザン・オズペテク
脚本:イヴァン・コトロネーオ
出演:リッカルド・スカマルチョ、ニコール・グリマウド、アレッサンドロ・プレツィオージ

 よくいくミニシアターの会員権の更新時期になったので、手続きのついでになにかおもしろそうな映画を上映してたら観たいなぁと、サイトをチェックしたときにひっかかったのがフェルザン・オズペテク監督の『あしたのパスタはアルデンテ』。タイトルを見ただけではまったくピンとこなかったんですが、予告がね~、とても楽しそうだったの! まぁ予告で期待をあおられて、実際に観てみたらイマイチなんてこともよくあるわけなんですけど、この映画はまさにわたし好み。こういう映画、すごく好きです。

 まず、つかみがおもしろかった。映画が始まると思いつめた表情のウェディングドレス姿の美女が登場し、恋人らしき男性と拳銃を間にはさんでもみ合うという展開に、頭のなかは「???」…。だってこんなキャラクター、予告のなかには一切出てこなかったんだもん! 3つスクリーンがある劇場なので、入る箇所を間違えたのかと思っちゃったくらい予想外のオープニングでした。実はそれはカントーネ家のおばあちゃんの若かりしころの回想で、要所要所にはさまれるこの回想が今後の展開の重要なスパイスになってくるのです。回想シーンではセリフは一切なし。ただただ役者さんのしぐさ・表情で状況を読み取るしかなくて、ミステリアスな雰囲気が漂ってました。

 登場人物たちはみな悪い人ではないんだけど、ひと癖ふた癖、欠点もある個性的な人ばかりなのが楽しい。イタリア映画らしく、男性陣は濃ゆい系のハンサムさんがずら~り、女優さんも迫力の美女がせいぞろいで、目の保養にもなります(笑)。メインの流れは、突然息子にゲイだと打ち明けられた両親と、兄に先を越されてしまったせいで自分の告白ができなくなってしまったトンマーゾの葛藤ですが、ほかにも悩みやつらい過去の恋をかかえている人間がいて、アントニオの爆弾発言によって呼び起こされた波紋が、徐々に収まるべきところへ収まっていく様子がユーモラスに描かれていきます。

 でも、ただ楽しいだけの映画じゃなくて、ユーモアで全体を包みながら、けっこう皮肉がきいてたりもするのです。たとえば、突然の息子のゲイ宣言に混乱をきたした母親の「ずっとそばにいたんだからアントニオがゲイだとわからないはずはない!」という言葉。その言葉を聞いているトンマーゾも実はゲイで、幼いころからその自覚もあった。でも、母親は彼がゲイであるとは露ほども疑っていないわけです。トンマーゾ自身だって兄がゲイだってことにまったく気づいてなかった。このチグハグさ、互いの認識が見事なまでにすれ違ってるあたり、描き方が滑稽なので観てるとつい笑っちゃうんだけど、それと同時にちょっと切ない気分にさせられたりするんです。

 「他人が望む人生なんてつまらない」と、トンマーゾの背中を押すおばあちゃんがとても粋です。最後に彼女がとった選択肢は哀しいものでしたが、おばあちゃん本人は自分の思いに正直になって納得してたんだろうなぁと思います。おばあちゃんから家族へのメッセージはかなりグッときました~。ストーリーの最後になっても、家族が互いのことを理解しあったかというと多分そんなことはないのだけれど、わからないなりに相手をあるがままに受け容れようとしていること、互いに愛情を持っていることが伝わってきました。

 過去と現在が混在するラストのパーティのシーンはとても幻想的で、ダンスのパートナーの組み合わせがなかなか意味深でございましたよ。自分を偽らないで生きることは時に苦しいけれど、その苦しさも含めて自分の人生なんだよ、と語りかけてくるすてきな映画です。イタリア映画ってあまり観ないけれど、こういう映画ならまたぜひ観たいですね!

●映画『あしたのパスタはアルデンテ』の公式サイトはコチラ
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by nao_tya | 2011-09-26 12:35 | 映画感想etc.
 うーむ、めちゃくちゃ久しぶりのブログ投稿です。ブログを書いていない間なにをしてたかというと、ごく普通に仕事して映画観て本読んでたまにはおいしい外メシ食べて、そういや入院・手術もしてました~。
 んで気がついてみれば、せっかく観たり読んだりした映画や小説の印象が、かなり早い段階で薄れてしまっている…! さすがに作品そのものの存在が記憶にないってなことはありませんが、細かい部分が思い出せないの~。覚えているのはストーリーの最初と最後だけ、中盤の展開がどうにもあやふや。ブログに感想を書くことで記憶が脳みそに焼き付いてたんだなぁと実感いたしました。
 これではいかん! ということで、またちょっとずつ感想をブログにアップしていこうと思います。とはいえ、気合を入れすぎると反動で面倒くさくなってまたサボってしまいそうだし、のんびり気まま、マイペースでいきまっす。もはや遊びにきてくれる人がいるかもあやしいブログだしな(笑)。

〔ストーリー〕
 栗原一止は信州の松本にある本庄病院に勤務する内科医。内科医ではあるが常に人手不足の本庄病院では専門外の救急外来の当直をこなすことも日常茶飯事で、常に寝不足、過労気味の毎日を過ごしている。そんな一止には、最近大学病院の医局への入局の誘いがかかるようになっている。地域医療と最先端医療の間で気持ちが揺れ動くなか、ひとりのがん患者と一止は出会うことになるのだが…。


監督:深川栄洋
脚本:後藤法子
出演:櫻井翔、宮﨑あおい、加賀まりこ

 さて、9月最初の三連休に観た映画は深川栄洋監督の『神様のカルテ』。原作本は映画を観る前に同僚のO野さんに貸していただいて読了してました。本を借りたのが映画が公開される直前だったので、主人公の栗原一止先生やハルさんのヴィジュアル・イメージはすでに役者さん。おかげで映画を観ていても違和感はなかったですね。ただ、栗原先生を演じる櫻井翔くんの姿に「このオバちゃんのようなくりくりヘアの必要性はどこにあんの!?」とは思いました。いいやん、いつもの櫻井くんのヘアスタイルで…。

 医療モノの映画やドラマって、なんとなく緊張感があってスリリングな展開のものが多いように思うんですが、この『神様のカルテ』はそういう言葉はまったくあてはまりません。映画のなかで流れる時間はとてもゆったりしていて、ちょっとまどろっこしく感じるくらい穏やかに過ぎていきます。この空気は主人公である栗原先生の性格からきてるんでしょうねぇ。

 寝る暇もないくらい仕事に忙殺され疲れきっているのに、八つ当たりのように故のないことで責められる。普通なら堪忍袋の緒が1本や2本切れてもおかしくない状況でも、どこか反応がにぶく、ぼんやりした栗原先生に最初はちょっとイラッとします。しかしながら、このつかみどころのない茫洋とした栗原先生が内に抱えている悩みや苦しみがストーリーの進展とともにわかってくると、最後には「がんばれよ~!」と応援したくなるのでありました。

 大学病院の持つ役割、地域に密着した病院の持つ役割。どちらもなくてはならないもので、自分がどちらの役割を担う道を進むべきか悩む栗原先生と、悩む栗原先生を信じて見守るハルさんの関係もあたたかくてほほえましいです。ハルさん役の宮﨑あおいさんがとてもナチュラルで、「えいもう、かわいいなぁ~っ!」と、映画を観ながらまるでオッサンのように心のなかで叫んでおりました。

 原作を読んでいるせいで、「あ、ここは泣かせにくるな」とわかっていて身構えているのに、それでも涙腺を刺激されてうるるっとなってしまう箇所もあり、映画だけ観ていたらもっと盛大に泣けたかもしれません。北アルプスの山並みもとても美しかった。早い展開の映画に慣れてしまうと、この映画のゆったりテンポは起伏に欠けていて物足りないかもしれません。悪意を持つ登場人物がひとりもいなくて、毒気というものも皆無ですし。でも、観終わったあとに残るあたたかさやほっとする気持ちはとても心地よく、スピーディな映画では味わえないものじゃないかな。こういう映画もいいな~と思えました。

 あと、原作には出てこなかった「神様のカルテ」の意味が映画では出てきてます。それが映画独自の解釈なのか原作者さん本人が意味していたものなのかはわからないけど、栗原先生の患者さんに対する姿勢とあいまって「なるほどねぇ」とうなずける、とてもしっくりくる内容のものだったのも良かったです。

 原作はすでに続編も出ているので、また読んでみたいです。O野さん、買ったらぜひ回してください(←他力本願)。続編も映画化されるかな~??

●映画『神様のカルテ』の公式サイトはコチラ

●映画の原作本
 『神様のカルテ
 夏川草介(小学館文庫)
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by nao_tya | 2011-09-22 15:59 | 映画感想etc.