映画や本の感想アレコレ。ネタバレにはほとんど配慮してません。ご注意! 


by nao_tya

<   2006年 05月 ( 27 )   > この月の画像一覧

 水曜日は月に1度の事務所会議&食事会。会議はいつものごとく~って感じで滞りなく終了。その後は北浜にあるフレンチレストラン『LA CLOCHE CHEF'S ROOM (ラ・クロッシュ シェフズルーム)』でお楽しみのディナー! 自分ではなかなか行けないお店に、ここぞとばかりに予約を入れる事務員たちなのでした(笑)。
 お店は白が基調で清潔で明るい感じ。見上げた天井には木の枝がにょーんと伸びてたりと、おもしろいインテリアです。カウンター席だとオープンキッチンがよく見えますが、今回は人数が多いのでテーブル席でした。
 前菜2種に魚料理、肉料理、デザートのコース (7350円) をいただきました。職場の食事会なので写真は撮れませんでしたが、お料理はどれもこれもとってもおいしかったです! 前菜のアスパラガスとサーモン、メインの鴨の胸肉がとくにウマ~♪
 で、飲んだワインを忘れないうちにメモメモ。

 白ワイン
   トリンバック ピノ・グリ・レゼルブ 2002年 (産地:フランス アルザス)
   辛口、すっきりさわやか、フルーティ。
 赤ワイン
   シャトー・ベイシュベル 1996年 (産地:フランス ボルドー)
   ワインリストにあったのは2001年でしたが、ソムリエさんから
   「96年が入ってきたので」とお勧めされました。
   飲みやすい! スモーキーな香り。まろやか。

『LA CLOCHE CHEF'S ROOM』
 住所:大阪市中央区伏見町2-2-3 伏見ビル1階
 TEL:06-4707-7558
 ランチタイム:11:30~14:00
 ディナータイム:17:00~21:00 (L.O.)
 定休日:月曜日
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by nao_tya | 2006-05-31 23:53 | 食べものたち
 海外ドラマ『エイリアス』第3シーズンのレギュラー放送がAXNで始まり、ようやく字幕版も放送されたので鑑賞開始です (プレミア放送は観ませんでした。だって2話が放送されるまで間が空きすぎてイライラしそうだったんだもん/笑)。
 以前に第3シーズンの展開などを予想してみましたが、いやはや実際に観てみたら見事なほどに外してましたね~(笑)。まぁわたしの予想なんぞ弾き飛ばしちゃう展開だからこそおもしろいんですが! (←負け惜しみ)
 しかし、わたしとしてはヴォーンがシドニー以外の人と結婚してるって考えたくなかったのよ~。しかもCIAも辞めてるだなんて。このショックは大きかったです。シドニーが彼をなじる気持ちもわかる。あれだけ周りで「死んでたハズの人が実は生きていた」っていう前例があるのに、あっさり信じちゃダメでしょ~!?
 お馴染みのレギュラー陣も大半が顔を出してて安心です。ディクソンは出世しちゃったので現場にはもう出そうもないし、ヴォーンも不在の現在のCIAでは、ワイスがシドニーの相棒として活躍してくれるのかしら。ケンダルがいなくなっちゃったのは、テリー・オクィンが『LOST』に出演するようになったからかな? 彼の代わりに、味方なんだけど憎まれ役になるのはNSCからやってきたオジサンのようですね (お名前失念)。
 反逆罪で投獄されていたジャックには驚きましたが、あっさりシドニーの尽力で釈放されちゃって拍子抜けです。もうあと何話かは『羊たちの沈黙』状態で面会するシチュエーションが続くのかと思ってました。だって父親を助けるという目的もなくなった今、シドニーがCIAでスパイ活動する動機ってなんなの?
 単独行動で組織が欲しがっているものを手に入れて信用を勝ち得るというのは、第1シーズンと同じ展開でちょっと芸がない気がするな~。NSCのオジサンに脅しをかけるシドニーを、「さすがだ、シドニー」ってな顔で満足げに見つめるディクソンの様子は、彼が変わらずシドニーに友情を感じている証拠だと思えて、観てるこちらも嬉しかったですけど。
 あと、「あの男 (ヴォーンのこと) はお前にふさわしくないと思っていた」と親バカぶり全開なジャックが今回の私的見所のひとつかも。第1シーズンのころの、シドニーに対してうまく愛情表現できず、距離を置いたような不器用な父親から変われば変わるものです。
 新しく出てきた犯罪組織「コヴナント」も得体がしれないし、まだ姿を見せないイリーナ、サーク、ウィル、アリソンらがどうしているかも気になります。サークは次回予告でちらりと出てたから2話で消息がわかりそうですね。
 そして、スローンが今やCIAの協力者で製薬会社の代表だなんて、絶対アヤシイ。裏があるに決まってる! うーん、またもやわたしの勘は大ハズレで、彼は善良な人間に生まれ変わって贖罪に励んでいるんでしょうか。完成させたというランバルディの遺品は、本当にスローンが云ったようなものだったのかしら。そもそも今現在どこにあるの?
 などなど、第3シーズンが始まったばかりなんだから無理もありませんが、疑問が山積み。第2話以降の放送が待ち遠しいです!

●AXN内の『エイリアス』のサイト
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by nao_tya | 2006-05-30 11:41 | ドラマ感想etc.
 日曜日は公開終了も近い『Vフォー・ヴェンデッタ』を観にいってきました。最近仕事が終わるのが遅くて、ウィークデイにちっとも映画を観にいきません。おかげで何本か観にいくつもりにしていた映画を観逃すことに。前売りを買ってなくて正解だったよ、くすん…。

〔ストーリー〕
 第三次世界大戦後のイギリスは、かつての大国アメリカさえも植民地化した独裁国家だった。ある夜、夜間外出禁止令を破ったために自警団に捕まったイヴィーは、暴行を受けそうになったところを仮面の男“V”に救われる。彼こそはたったひとりで現政府に反旗を翻すテロリストだった…。


原題:V FOR VENDETTA
監督:ジェイムズ・マクティーグ
脚本:アンディ・ウォシャウスキー、ラリー・ウォシャウスキー
原作:アラン・ムーア (クレジットなし)、デイヴィッド・ロイド
出演:ナタリー・ポートマン、ヒューゴ・ウィービング、スティーヴン・レイ

 大きいところも小さいところも、とにかくツッコミどころ満載でしたが (Vはどうやってあれだけ大量のガイ・フォークスの仮面を用意したのか、とか、協力者もいないのに普段の生活必需品はどうしてるの、とか色々。せっせとロンドンの各家庭の住所を調べて宅配ラベルを作ってるVの姿とか想像すると笑えてくる…/笑)、わたしはこの映画、わりと好きです。
 言論の自由を奪い、人々を抑圧して独裁政治を敷く政府と、それに対抗する手段としてのテロが軸になっていて、テーマは政治的でずいぶん重たいものがあるんですが、娯楽作らしく善と悪がはっきり別れていてわかりやすい。
 まぁVが完全な“善”なのかと問われたら、それはちょっと違うとは思うんですが、この映画のなかの“悪”はもう完全無敵に真っ黒で、同情の余地なんてないから。現実の対立っていうのはもっと双方に善悪が入り混じっていて、複雑に絡み合っているものですよね。
 Vの行動と呼びかけによって、今まで「どこかこの世界はおかしい」と思っていても、行動には移せなかった人々が徐々に目覚めていき、1年後のガイ・フォークスの日に粛然と国会議事堂前に集まってくるところとか、同性愛者のヴァレリーの話なんて、素直に心が揺さぶられちゃいましたよ。
 そして、Vを演じたヒューゴ・ウィービング。マスクに隠れて表情はまったく見えませんが、喜怒哀楽がそのセリフや仕草からはっきり感じ取れます。最初に登場したシーンの、まるで舞台に立っているかのように滔々と話す姿がなんて気障でカッコいいことか! エプロン姿も案外ハマってました(笑)。
 坊主頭のナタリー・ポートマン、頭の形がキレイで彫りの深いお顔だから、こんな髪型でもサマになっちゃうんですよね~。ウラヤマシイ。怯えるばかりだったイヴィーが恐怖を克服したあとに見せる表情の鋭さが美しかったです。
 独裁政府を倒すという大義名分のもとに、私的な復讐にとりつかれていたVが、イヴィーと出会うことによって眠らせていた人間性を揺さぶられるところもいいです。ふたりの関係が師弟のような親子のような恋人のような同志のような、とその時々で移り変わっていくのもおもしろい。映画や小説のなかでなら、真っ当なものよりちょっと歪な恋愛に惹かれるわたしのツボにどんぴしゃりでございました。
 ガイ・フォークスについてはもちろん、出てくる音楽、セリフなどに前知識があればあるほど、そこに秘められた意味を感じて解釈が広がっていくんじゃないでしょうか。反面、知識がないと置いていかれてしまうシーンが点々とあるのはちょっと辛いかも。原作にもともとこういう要素があるのか、『マトリックス』のウォシャウスキー兄弟の脚本だからこうなのかはわかりませんけど。
 しかし、ウォシャウスキー兄弟が絡むと、なぜヒューゴ・ウィービングは顔を隠して、ついでに数で勝負するかのように増殖する役ばっかりキャスティングされるんでしょーか。一度くらいはごく普通の役を振っていただけると嬉しいんですが。お願いしますよ、ウォシャウスキー兄弟(笑)!

●『Vフォー・ヴェンデッタ』公式サイト

V フォー・ヴェンデッタ
アラン・ムーア デヴィット・ロイド / 小学館プロダクション
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by nao_tya | 2006-05-29 23:37 | 映画感想etc.
 木曜から土曜ににかけて、2泊3日でうちの母は屋久島旅行にお出かけしておりました。2日目には朝の8時半にホテルを出発、帰り着くのは夕方5時ごろという白谷雲水峡トレッキングツアーに参加予定だったんですが、あいにく天候不良で警報発令、入山禁止になってしまったそうです。
 わたしにしてみれば、なにが嬉しゅうて7時間強も歩き続けるトレッキングに参加するんだ、という感じなのですが (わたくし、根っからのインドア派でございます)、母にとってはメインイベントが中止となってしまい、ちょこちょこ観光したりクラフト教室に参加したりはしたものの、かなり悔いの残る旅行だったようです。確かに鹿児島までナニをしに行ったんだかわからないですね。これって日ごろの行いのせいかしら、いひひ (←鬼娘/笑)。
 で、時間をもてあましたのか、ショッピングに精を出し普段は旅行に行ってもわたし宛のお土産なんぞ皆無の母が、珍しく買ってきてくれたのが屋久杉のワインスタンド (写真左)と、屋久島のいも焼酎『三岳』 (写真右)。焼酎は内容量360mlとかわいいサイズですが、なんつーか、母がわたしを普段どんな風に見ているのか、非常にわかりやすいラインナップです。でも家ではそんなに呑んでないんだけどな~。いや、もちろんありがたく頂戴いたしましたけどね(笑)!
左が屋久杉のワインホルダー、右が屋久島の焼酎『三岳』。"
 ちなみにワインホルダーにはまっているのは本日の夕食のお供、ブルゴーニュ・ルージュ ピノ・ノワール2004年です。事務所にお歳暮で届いていたのをいただきました。ワインの味なんてとんとわかりませんが、重すぎず柔らかい感じでスイスイ飲めておいしかった~♪ どっしりした鉄くさいのは飲みつけてないせいか苦手なのです。『三岳』のお味は飲んでからまた改めて。

『モロゾフ』の季節限定「白桃レアチーズケーキ」 あと、せっかくの旅行が残念な結果に終わってしまった母のため、日曜日に『Vフォー・ヴェンデッタ』を観にいったついでにモロゾフの季節限定『白桃レアチーズケーキ』を入手してまいりました。普通のチーズケーキを買うつもりだったんですが、店頭でこれがおいしそうだったもので。それに“季節限定”の言葉には弱いのじゃよ~。
 レアチーズケーキのうえに果肉入りのソースと白桃がたっぷり乗っていて、さわやかにおいしいです。桃といえば、子どものころは熱が出たときに食べさせてもらった缶詰のあま~い黄桃が一番でしたが、年を食うごとに水蜜桃のすっきりした甘みがうれしくなってきた気がします。しかし、白桃って今がシーズンだったっけか??
 ちなみにモロゾフのチーズケーキはアルミトレーの底の部分と枠が分離しているので、きれいにチーズケーキを取り出してカットできます。誰でも知っているのかと思いきや、案外このことに気付いてない人も多いので書いてみました。こういうちょっとした工夫ってうれしいですよね!
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by nao_tya | 2006-05-28 23:28 | 雑記&日記
 エリス・ピーターズ「修道士カドフェル」シリーズ第18作は、『デーン人の夏』。シリーズ最初のころにカドフェルの助手だった修道士のマークが助祭となって姿を見せ、お馴染みのシュルーズベリから離れてウェールズで展開するお話です。

〔ストーリー〕
 ウェールズで復活した司教区の新任司教へ、ロジャー・ド・クリントン司教から祝いの書簡と贈り物が届けられることになった。選ばれた使者は、かつてのカドフェルの助手で、今はリッチフィールドで司祭となるべく励んでいるマーク。マークはシュルーズベリへ立ち寄り、ラドルファス院長の許可を得てカドフェルが通訳としてウェールズへの旅に同行することになった。懐かしいマークとの心弾む旅となるはずだったのだが…。


 というわけで、シュルーズベリの修道院から姿はなくなったものの、しばしばカドフェルの脳裏をよぎっていたマークが久々に再登場しました。「あらあら、マークってば立派になっちゃって!」と、読みながらすっかり近所のおばちゃん状態になってしまったわたしです。
 前作の『陶工の畑』がわりとミステリ寄りの話だった反動なのか、この『デーン人の夏』は殺人事件は起こりますが、推理力を働かせてその犯人を突き止めるような展開はせず、どっちかというとこの件に関しては放ったらかし。最後に殺人者が告白して解決、という感じです。
 そのかわり重点が置かれているのは、登場人物たちのなかなか複雑で興味深い人間模様でありました。特にオエインとキャドウォラタ、メイリオンとヘレズの愛憎半ばするような関係が秀逸だったのではないかと。
 まずは、『死者の身代金』で初登場だったかな? これまでも名前は良く登場していたウェールズのグウィネズ領主オエインと、彼の弟キャドウォラタ。このキャドウォラタがまさにトラブルメーカーというのにふさわしい人物で、厄介ごとを引き起こしてはオエインを怒らせるものの、オエインはどうしても彼を突き放せないでいるんですね~。
 キャドウォラタは、自分の側近たちにオエインの娘の婚約者である領主を襲わせて殺させたり、それをとがめられて追放されたら、今度は自分の領地を取り戻すためにデーン人と契約してオエインに脅しをかけてきたりと、やってることはかなり悪辣で卑怯なのに、なんでか憎めない。考えなしだけど反面底なしの楽天家というか、そのバカっぽさがそう思わせるんでしょうか。自分が兄に愛されており結局は許されることをちゃんと了解していて、それに甘えているという自覚もなくどっかり胡坐をかいて恥じないでいるとこが、なんというか「弟」だな~と思います。
 新しい司教区の聖堂参事会員メイリオンとその娘ヘレズの親子も、なんだか奇妙な関係です。メイリオンは妻帯した聖職者 (司祭) ですが、新しく司教となったギルバートが聖職者は独身でなくてはならぬという考えの持ち主なので、妻が亡くなったのをコレ幸いとし、妻帯していた証でもある娘を遠くに嫁にやって、いわばその存在を“なかったこと”にしようとしているのです。
 これって当の娘にしたらたまったもんじゃありませんよね。自分が存在していること自体を誰かが“罪”とみなしていることや、それを出世のために容認してしまう父に対して怒りを抱いて当然です。それでもやっぱり父親を愛しているから、できるだけ彼に不利なことはするまいという気持ちが切ないじゃないですか。
 しかし、そういう感傷的な気持ちを吹き飛ばしてしまうくらいヘレズが活力にあふれ、自分をしっかり持った娘さんなので、話は全然湿っぽくなりません。むしろ、自分自身の運命をつかむために彼女が起こした行動に、読み終わった今は拍手喝采したい気分!
 「修道士カドフェル」シリーズですから、当然そういうヘレズと恋仲になる青年も登場します。勝気なヘレズがこの青年に反発し、青年は半ばおもしろがるように鷹揚にそれを受け止める。作中で具体的なふたりのやりとりの描写というのはごくごく少なく、カドフェルの目をとおしてふたりの間で無言の探りあいや恋の駆け引きがあっただろうことが察せられます。その文章になってない部分を想像するのがまた楽しかったです。互いの気持ちが、言葉が必要でないほど固く結びついていたことがわかる夕刻の海岸でのシーンは、このシリーズのなかでも1、2位を争うくらい美しく心を打つ場面だと思います。
 ただひとつ気になったのは、カドフェルも云っていますが、メイリオンの本心です。彼は本当はどこまで自分の娘のことを気にかけ、心配していたんでしょうか? ここだけがなんだかスッキリしない幕切れだったのでありました。実はメイリオン自身も、娘の不在の大きさをこれから実感するようになるのかもしれないですけどね。うーん、これって少しはメイリオンにも娘に対する仕打ちを後悔してほしいというわたしの願望なのかしら。
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by nao_tya | 2006-05-27 23:14 | 読書感想etc.
 「海の男/ホーンブロワー」シリーズ第7作め『勇者の帰還』を読み終えました! 前作『燃える戦列艦』のラストでフランスの捕虜となってしまったホレイショ・ホーンブロワーが、イギリスに帰還するまでを描いた脱出行です。
 ホーンブロワーはシリーズ2作めの『スペイン要塞を撃滅せよ』 (だったと思う…) でスペインの捕虜になったことがありまして、一応士官だったそのときの彼の処遇はさほど悪いものじゃありませんでした。退屈な虜囚生活に対する苛立ちや焦りはもちろんありましたけどね。
 で、今回はそのときより位も上がって艦長になってることだし、いきなり尋問で拷問されたりとか無茶なことにはなるまい。また同じような状態で、しばらくはフランス語の習得に励むことになるのかしら~などと呑気に構えて読み始めたら、どうも様子が違う。フランス本国で軍事裁判にかけられ、銃殺刑に処される怖れがあるっていうじゃありませんか。のっけから緊迫した展開に読んでるこっちもドキドキです。
 邦題が『勇者の帰還』なんで、無事にホーンブロワーがイギリスに帰り着くことは見えているのに、「次はどんな展開が?」と盛り上がっていくし、船乗りらしい脱出方法も想像を大きく超えていて、いつものような華やかで阿鼻叫喚な海戦はなくとも冒険小説として楽しかったです。しかし、先が簡単に予測できるこの邦題はいかがなもんでしょう(笑)。
 艦上では艦長としての威厳を保つため、やたら気難しくピリピリと神経質で、副長のブッシュさんに当たってウサを晴らしたりしているホーンブロワーですが、脱出の同行者がブッシュさんと艇長のブラウンしかいない状態ではそこまでしゃちほこばる必要もなく、比較的リラックスした素に近いホーンブロワーの様子が見られるのも『勇者の帰還』の見所かも。
 ブッシュさんを苛めながら(笑)、それでも彼のホーンブロワーに対する敬意や好意が変わらないことに、どこかで安心したり満足したりしてるホーンブロワーのひねくれ具合、複雑な心情は、わたしは実は共感するところがあって好きなんですけど(笑)、今回のブッシュさんは片足を失うという大きなハンディを背負うことになったのに、ホーンブロワーの態度がいつものごとくじゃあまりにも理不尽ですし。
 それと、予想していたとおり王党派のグラセー伯爵にかくまわれている間に、ホーンブロワーはしっかりフランス語をマスターしてしまいました。しかし、ここでわたしの耳にはアイタタな一文が登場…。「ホーンブロワーのフランス語は、絶えず使わざるをえないおかげで、急速に進歩していた。音痴なのでアクセントの呼吸はどうにもつかめなかったが」、ですって。そ、そうか~、ネイティブに近い外国語を習得するには、やっぱり音感やリズム感が優れているほうが有利なのね。いや、わたしの場合、発音云々以前にもっとボキャブラリーを増やすのが先なのは重々承知してるんですが、哀しいひと言でありました (しょぼん)。
 そうそう、フランス側に拿捕されていたカッターをホーンブロワーたちが見事に乗っ取り、海上封鎖をしているイギリス海軍の艦隊に出会ったときに登場したのがトーマス・ハーディだったのは嬉しい驚き! ハーディはトラファルガー海戦時ネルソン提督の旗艦の艦長で、ネルソン提督がご臨終の際に「Kiss me, Hardy」と云ったとか云わないとかで有名な人なのです。なんだってこんな知識があるのか、自分でもよくわからないんですが(笑)、小説の中で知ってる実在の人物が出てきて登場人物とうまく絡むとなんだか楽しいですよね~。
 しかし、奥さんのマリアの死はこの際横に置いておいて、『パナマの死闘』以来ぐずぐず引きずっていたレディ・バーバラとの仲も伸展しそうだし、明るい未来が開けてきたはずなのにどこか醒めていて心底浮かれたり幸福な気分になれないホーンブロワーって、 頭が良すぎて損するタイプだな~としみじみ思ってしまいました。
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by nao_tya | 2006-05-26 17:20 | 読書感想etc.
 恩田陸さんの最新刊『チョコレートコスモス』は、芝居の世界を舞台にしたお話でした。うーん、恩田陸版『ガラスの仮面』って云われてるみたいですが、まさにそのとおり。
 某国営放送局の連続ドラマのシナリオも執筆し、今や中堅どころとなった脚本家・神谷、芸能一家に生まれ、幼いころから敷かれたレールの上を走るように演劇を始めて、若いながらもすでにその演技力には定評のある東響子、大学に入って芝居を始めたばかりなのにズバ抜けた身体能力と天才的なひらめきを見せる佐々木飛鳥。この三方向からストーリーは進んでいきます。
 東響子が姫川亜弓、佐々木飛鳥が北島マヤって感じですか。残念ながら月影先生に匹敵するような強烈なキャラはいなかったな(笑)。
 この3人を結びつけるのは、伝説の映画プロデューサー・芹澤泰次郎が久々に手がける舞台です。2人の女優が主役という以外にはなにも決まっていないこの舞台の最終オーディションに向けて、様々な芝居が作中で出てきます。そのどれもが舞台の臨場感とか興奮が文章からビシビシ伝わってきておもしろそう。「生で観てみたい!」と思わせるものばかりでした。
 この『チョコレートコスモス』に限らず、恩田さんの小説には作中の小説、舞台というものがたくさん出てきてチラリとその内容に触れられるんですが、そのチラ出しのアイデアが実に興味をそそられるものばかり。こんな風に作品のアイデアを使っちゃうなんてもったいなくないか!? と他人事ながら心配したくなるほどです。惜しみなく散りばめられたネタたちに、恩田さんのなかに眠っているだろうものはこれの倍どころじゃないだろうことが察せられて、ちょっと怖くなったりもするのでした。
 話を戻しまして。ひとつひとつの芝居が終わるごとに物語のテンションが上がっていって、ついに最終オーディションに至ったときの緊張感には並々ならぬものがあります。オーデションを受ける側である登場人物たちの気合もすごいし、審査員のようにそれを舞台のこちらで眺めている (読んでいる) 自分も、「これからナニが始まるんだろう?」、「どんなものを観せてくれるんだろう?」という期待と高揚感で一杯になって、息がつまるような感じ。
 この最終オーディションの演目は有名な『欲望という名の電車』のなかの一場面。わたしはエリア・カザン監督の映画はたしか大学生のときに観たことあるんですが、あまりの救いのなさがイヤで、舞台版はとてもじゃないけど観る気になれないままきてしまいました。でも、この最終オーディションの東響子と佐々木飛鳥の『欲望という名の電車』なら、全幕とおして観てみたいと、本気で思います。小説世界ならではの表現を現実世界で生身の人間を使って再現できるかというと、残念ながら難しいというよりほとんど不可能になっちゃうんでしょうけど…。
 登場人物のなかでは東響子にスポットが当てられている部分が多いぶん、脚本家の神谷や天才少女・佐々木飛鳥の書き込みが少なくて、ちょっと3人のバランスが崩れているようなところが気になりますが、演劇、舞台、お芝居という言葉に興味がない人でも、与えられた芝居の課題を作中の役者さんたちがいかにしてクリアしていくかはかなり楽しめると思います。興味がある人はもう云うまでもございません。
 しかし、読了したあとは「おもしろかった~!」というカタルシスとともに、なにか以前にも感じた覚えのあるモヤモヤが心のなかに残った小説でもありました。よくよく突き詰めて考えてみたら、これって樹なつみさんのマンガ『暁の息子』を読んだときと同じ読後感だったのでした! 要するに、「これは序章に過ぎない」、「この先にはもっとおもしろい物語が待っているはずなのに、どうしてここで終わっちゃうの~」というもどかしさです。
 もちろん、それぞれこの1本で十分な完成度なんですよ。でも「その後」を期待させる部分がたくさん残されているだけに、続編がないことにちょっとした苛立ちを感じてしまうという…。ぜひとも恩田さんには『チョコレートコスモス』の稽古から本番の舞台まで、樹なつみさんには『暁の息子』で柊成くんのその後を、1作目に劣らぬテンションで描いていただきたいです~。
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by nao_tya | 2006-05-24 15:17 | 読書感想etc.
『ハニー・サックル・ローズ』の「キャラメルミルクレープ」 今日、事務所の用事でお出かけしたんですが、その出かけた先っていうのが前の職場の目と鼻の先の場所! 勤めてたときはそりゃまぁ色々ありましたが、辞めてウン年も経つとそういうことも色褪せます。なんだか懐かしい気持ちで一杯になっちゃいました。
 で、懐かしいついでに会社の近くにあったので当時はたまにお邪魔していた、ティーハウス『Honey Suckle Rose (ハニー・サックル・ローズ)』でケーキを買ってきてしまいました。
 ここのケーキは百貨店やパティスリーのショーケースに並んでいるような、キラキラとした目にも楽しいゴージャスなケーキではなく、いかにも“ホームメイド”って感じの素朴なケーキばかり。でも、そのシンプルで飾り気のないところがなかなかおいしかったのですよ。
 ↑の写真はわたしが食べたキャラメルミルクレープ。お店で食べるとアイスをつけてくれるのですが、今日はテイクアウトで少々時間がかかるため、生クリームをつけていただきました。これのほかにパンプキンチーズケーキとニューヨークチーズケーキを買ってきましたが、いずれも昔と変わらぬ優しい甘さで美味美味♪ (←全部味見させてもらった/笑) 事務所の人にも好評でございました。
 この『Honey Suckle Rose』は堺筋や中央大通りからはそれぞれ1本ずつ外れた通りにあって静かだし、お店自体もダウンライトの落ち着いた雰囲気で居心地がいいです。普段の行動範囲からかなり離れた場所にあるので、なかなか訪れることもないだろうことがちょっと残念ですね。

Tea House 『Honey Suckle Rose』
 住所:大阪市中央区南船場2-3-19
 TEL:06-6261-0111
 FAX:06-6261-7165
 OPEN:平日8:00~20:00、土曜12:00~18:00
 定休日:日曜日
 サイトはこちら
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by nao_tya | 2006-05-23 21:54 | 食べものたち
 日曜日にフェルナンド・メイレレス監督『ナイロビの蜂』を観てきました。ジョン・ル・カレの原作を読んでからもう1年くらい経ってるのかな。映画化の話をはむちゅうさんのブログで知って、監督も出演者も魅力的だったので読んでみるか~、くらいの気持ちで読んだんですが、今でも読み終わったときのカタルシスっていうとなんかちょっと違う、うーん、そのしみじみとした感覚が忘れられません。
 文庫上下巻の本で、上巻の途中 (主人公のジャスティン・クエイルがイギリスに帰るくらいまで) は全然小説世界に入り込めず、最後まで読みきれるのか不安を覚えてしまったんですが、そこまで進むと後はもうのめり込むようにしてラストまで突っ走っちゃいました。
 自分にそれだけ強い印象を残した小説が原作なだけに、どんな風に映像化されているのか楽しみなのと怖いのと半分ずつくらいの気分で映画館に足を運びましたが、とても満足した気分で帰ってくることができました!

〔ストーリー〕
 イギリス外務省一等書記官のジャスティン・クエイルは庭いじりが趣味の物静かな男。そんな彼のもとに、2日前にナイロビからロキへ旅立った妻テッサが殺されたとの知らせがもたらされる。テッサは友人の黒人医師アーノルドと共に、スラムの医療施設を改善する救援活動に精力的に携わっており、今回の旅行もその一環だったはずだ。同行したアーノルドは行方不明のままで、テッサの不倫疑惑が持ち上がってくる。彼女の死に不審なものを感じたジャスティンは独自に調査を始めるが…。


原題:The Constant Gardener
監督:フェルナンド・メイレレス
脚本:ジェフリー・ケイン
原作:ジョン・ル・カレ
出演:レイフ・ファインズ、レイチェル・ワイズ、ダニー・ヒューストン

 生きているテッサというのは映画の冒頭、ナイロビ空港でのシーンでちょこっと出てくるくらいで、後はジャスティンの回想という形でしか登場しません。ジャスティンはテッサの死によって、彼女が自分に見せていたのは一面だけで、実は自分の知らない部分があるのではないか、彼女の愛情はどこか余所を向いていたのではないか、という疑いを抱きます。確かだったはずの妻の存在が、あやふやでぼんやりとした掴みきれないものになってしまうわけです。回想のなかの彼女はいつでも笑顔で美しい。でも本当は…?
 テッサの死の真相を探るため、ジャスティンは彼女の足跡を追う旅に出ます。そのなかでテッサが何をしようとしていたのか、どうしてそれをジャスティンには打ち明けようとしなかったのかがわかってきて、ようやくジャスティンはテッサからの愛とテッサへの愛を再確認する。そうすると、観てるこちらにも、どんどんテッサの印象が色濃くくっきりと浮かび上がってくるようになるのです。
 ジャスティンは自分の体調も省みず救援活動に熱中するテッサを心配するものの、結局彼女を止められず、「君の人生に干渉したりしない」と云うシーンがあります。相手の意思や考えを尊重するということで、もちろんこれはすごく大切なことだと思うけど、このセリフはやっぱりちょっと悲しい。だって結婚して家庭を築いているふたりが、互いの人生に干渉しないでいられるわけがないもの。この臆病なまでに相手を気遣うジャスティンの優しさが、かえってテッサに真実を打ち明けて彼を巻き込むことをためらわせたんじゃないかな~とも思ってしまいます。
 だから、決して冷たいわけでも利己的なわけでもなく、むしろ良心的で暖かい人だけれど、いつでも自分にできる人助けの限界を冷静に見極めていたようなジャスティンが、テッサと同じように「今ここに助けを求める人間がいて、少し自分たちが手を伸ばせばそれが可能なのに!」と声を荒げるまでになる、というのがとても印象的でした。
 ラスト近く、ロキへ向かってドライブするジャスティンの傍らにはまるで本当にテッサがいるかのようです。これはジャスティンの思い込みとか妄想なんかじゃなく、それだけ強く深く彼のなかにテッサが刻みこまれ、テッサとジャスティンの心が寄り添ったということなんだと思います。悲しいけれどとても美しいシーンでした。
 『ナイロビの蜂』はジャスティンとテッサのラヴ・ストーリーが基盤ですが、同時に発展途上国で今現在起こっている問題について考えさせる社会派の映画とも云えます。「アフリカの人々の命はとても安い」という言葉がズッシリと重く響きます。わずかな食料品や医療のために、その危険性も知らされず新薬の実験台となっているのかもしれない人々。なのに餓えや貧困のなかでも彼らの表情は力強く、子どもたちの笑顔は屈託なく明るい。生きる力がどんどんひ弱になっている気がするわたしたちと比べて、搾取されているはずの彼らはなんと生命力にあふれているんだろう。感嘆せずにはいられませんでした。
 サスペンスであっても派手なシーンはほとんどなく、「地味」という言葉が本当にピッタリ。でも、観たあとでとても静かで深い思いに満たされて、何度も好きなシーンを反芻しちゃうような、もう一度観たいと思わせられる映画。かなりお勧めです。

●『ナイロビの蜂』公式サイト

ナイロビの蜂〈上〉
ジョン ル・カレ John Le Carr´e 加賀山 卓朗 / 集英社


ナイロビの蜂〈下〉
ジョン ル・カレ John Le Carr´e 加賀山 卓朗 / 集英社
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by nao_tya | 2006-05-22 23:44 | 映画感想etc.
 楽天さんから頼んでいた本が到着しました (あぁ、またオンライン書店のお世話に…っ)。今回は2冊。セシル・スコット・フォレスターの「海の男/ホーンブロワー」シリーズ7作め『勇者の帰還』と、西村しのぶさんの『アルコール』第2巻。
 『燃える戦列艦』で戦いに敗れて降伏し、フランスの捕虜となってしまったホーンブロワーのその後も気にかかりますが、今読んでいる恩田陸さんの『チョコレートコスモス』を読み終わるまでは、ひとまず積読棚で眠っておいていただきます。まぁ『勇者の帰還』というタイトルからして、無事にフランスを脱出できるのは見えてるしな(笑)。
 で、もう1冊の西村しのぶさんの『アルコール』。1巻が出たのが2001年12月だから、ほぼ4年半ぶりの続刊ということに。主人公のミサオちゃん、大学生の設定だから現実世界でならとっくに卒業してるはずですよ。基本的に一話読みきりの話とはいえ、ははは、なんとも気の長い話だぁ!
 この『アルコール』は、南の島でのんびり過ごすのが大好きで、日焼け娘でバーテン見習い、でもお酒にはめっきり弱い、しかしてその実態は大学生というミサオちゃんの生活をつづったものです。
 2巻はバーテンダー見習いとしてミサオちゃんが雑誌に取材されるお話、ミサオちゃんの親友ユキちゃんが別れた恋人と和解(?)するお話、ユキちゃんの減煙にミサオちゃんが協力して奮闘するお話などなど。もちろん相変わらず仲良しのミサオちゃんと恋人・西条さんのやりとりも楽しい。
 西村しのぶさんの描くヒロインたちは、自分のポリシーやスタイルをしっかり持っているけど、決してそれを押し付けがましいとは感じさせない、むしろオシャレで真似ができるものならしてみたい、と思わせる好感度の高い女性ばっかり。まぁわたしの場合、ミサオちゃんのような「荷物の少ない女」ってのは絶対ムリなんだけど。なにせ本の量がハンパじゃないからな~。あと最近はDVDも着々と増殖しておりますよ。
 あと、さりげなく出てくる小物とかお料理とか日常生活におけるささやかな工夫とか、きっと作者の西村さんご本人がとっても気に入っていたり実践してたりするものなんだろうな、というのが読んでて伝わってきます。
 どんな作品でも作家さん自身が反映されてる部分はあるだろうと思いますが、西村さんのマンガの場合、それがよりストレートに感じられる気が。で、その「好み」を読んでる相手に「あ、これっていいかも」って思わせるのがこれまた上手! 知らず知らず感化されてしまう部分があって、西村マジックにかけられた気分になるのでした。
 劇的な事件が起きるわけではありませんが、読んでるとまったり~と幸せな気分になれる本です。出てくる人がみな屈託がなくって前向きで明るい。登場人物の誰かがたとえ落ち込んでいるときでも暗さや影を感じさせないので、なんだか気分が良くないわ~ってなときに読むと、不思議と自分のなかが凪状態になってゆきます。
 それと、西村さんが関西在住だからか (昔は神戸、今は大阪にお住まいだとか?)、描きこまれている景色にどこか見覚えがあるのもなんだかうれしい。めっちゃハッキリしたヴィジュアルを思い浮かべることができるのって、なんだか得した気分なんだもん。今回でいえば、三宮の空港バス乗り場、ユザワヤと土ヰ手芸の距離感なんかかな。これって三宮に行ったことのある人間でないとつかめないと思う。
 西村しのぶさんは寡作で有名なので (それでも昔よりはかなり量を描いてるほうだと思いますが)、単行本が出るのも非常にゆっくり。それがこれから立て続けに『メディックス』、『ライン』第4巻と出版される予定だそう。実際に手にとるまでは安心できないのがナニですが(笑)、楽しみに待ちたいと思います♪

アルコール 2 (2)
西村 しのぶ / 集英社
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by nao_tya | 2006-05-21 22:58 | コミックス感想etc.