映画や本の感想アレコレ。ネタバレにはほとんど配慮してません。ご注意! 


by nao_tya
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カテゴリ:読書感想etc.( 33 )

 エリス・ピーターズの「修道士カドフェル」シリーズ、第17作め『陶工の畑』を読了いたしましたので感想をば。

〔ストーリー〕
 ホーモンドとシュルーズベリの修道院が互いの所有地を交換し、新しく所有することになったその土地を開墾している最中、鋤が女性の白骨死体を掘り出した。「陶工の畑」と呼ばれるこの土地は、今はシュルーズベリ修道院の修道士となっているルアルドが借地人となっていた土地だった。正式な埋葬もされず密やかに葬られたこの身元不明の亡骸はいったい誰なのか。ルアルドが修道士になることに最後まで反対し、今は行方不明になっているルアルドの妻なのか? またその死因は? カドフェルの推理が始まる…。


 この「修道士カドフェル」シリーズはわりとお決まりのパターンがあって、数冊読んだ経験があれば、話が落ち着く先とか犯人がぼんやりと見えてくるようなところがあります。この偉大なるマンネリズムとも云うべきところがこのシリーズの魅力でもあるわけですが、今回はこのパターンから幾分ずれているところがあり、そのずれたところとお馴染みのパターンがうまーく絡まりあっておもしろかったです!
 パターンと違うのは、白骨死体として発見された女性の身元がなかなかわからないというところから来ます。ルアルドの妻ジェネリーズなのかと思えばそれが覆され、やっともうひとりの候補が出てきたと思ったらこれもまた…、という具合に話が二転三転していくんですね。科学捜査がない時代ならではの、地道な聞き込みによる捜査だからこその展開。実はドラマ版を先に観てしまったため、犯人やその動機なんかはわかってたんですが、それでも話の運び方がうまくて引っ張り込まれちゃいました。
 自分の愛する人間を守ろうと懸命で一途なサリエン、身体を襲う痛みに勇敢に耐えながら緩慢に近づく死を見つめつづけるドナータ、登場シーンは少ないながら初々しくも芯の強さを感じさせるパーネルと、キャラクターたちも魅力的です。
 しかし、ドラマ版を観たときも思ったんですが、やっぱりわたしはルアルドの行動が納得できない! このルアルド、神の声に導かれて妻を捨てて修道生活に入っちゃうんですよね。捨てられた妻はもちろん愛する旦那さまが突然神の道に目覚めちゃうなんて晴天の霹靂だし、この時代のキリスト教では離婚は許されていないから、ルアルドが生きている限り再婚することもできないのです。中世の時代に女性がひとりで生きていくというのは財産があればあったで、なければもっと難しいのに。これってひどくないですか!?
 畑で見つかった死体がジェネリーズかもしれないとわかり、ようやくルアルドは彼女に与えた苦痛について思いをはせるようになるわけですが、読みながらわたしは「遅すぎるわ~っ!!」とプンプン怒っていたのでありました。いっそジェネリーズがルアルドを殺さなかったことが不思議だよ…。
 もちろんキリスト教の信者でもないわたしですから、常にどこかで神さまのことを意識しながら暮らしている人たちとの差っていうのは大きいとは思います。やむにやまれぬ神への情熱なんて感じたことないし。でもそれでもな~。ラドルファス修道院長やカドフェルはかなり合理的というか現代的な考え方の持ち主として描かれてますが、最終的には彼らだってルアルドの行動を受け入れているわけだから、この隔たりの大きさは相当なものだと感じてしまいます。
 まぁこういう感情的に納得できない部分は多々ありますが、犯人探しよりも若い恋人たちの恋の行方や、いつものキャラクターたちのやり取りを楽しむことが多くなっていた「修道士カドフェル」シリーズのなかでは、珍しくミステリとしても読みごたえのある、しっかりバランスがとれた一作だったのではないかと思います。
 お次の18作めは『デーン人の夏』。久々にカドフェルの初期のころのお弟子さん、マークが司祭となって登場するそうで、読むのが楽しみです♪
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by nao_tya | 2006-05-19 23:33 | 読書感想etc.
 『Sharpe's Challenge』を観るの時間がかかる → 睡眠時間を削る → 通勤電車で居眠り → 読書時間が激減、という状態がしばらく続き、「修道士カドフェル」シリーズの『陶工の畑』がちっとも進んでおりません! ドラマを先に観て大体のストーリーの展開はわかってるのにダメですねぇ。なので、本日はその前に読み終わったP.G.ウッドハウスの『ウースター家の掟』の感想をちょこっと。

 ウッドハウス・コレクションと銘打たれ、有閑青年バーティー・ウースターと彼の優秀な執事ジーヴスが登場するこのシリーズも4作めになりました。
 『ウースター家の掟』は『よしきた、ジーヴス』から直接続くお話で、『よしきた…』でなんとか仲をとりもって (というと御幣があるか?)、婚約までこぎつけさせた親友ガッシーとマデライン・バセット嬢の婚約破棄の危機と、ダリア叔母さんご依頼の銀のウシ型クリーマーの奪取を発端に、とにかく盛りだくさんの問題が発生します。
 各人がそれぞれの思惑で行動した結果、それらがことごとくバーティーをとんでもない危地へを追いやっていく様子がテンポ良く語られて、読みながらニヤニヤ笑いが止まらなくなっちゃいました。
 そして、今までこのシリーズを読んできて、なんだってバーティーはこんなに人が好いというか、律儀に友人たちの理不尽なお願いをかなえようとするんだろうと思ってたんですが、ウースター家における不文律、「汝、友を落胆させるべからず」を律儀に守っていたからなんだと納得した次第です。
 こういう騎士道精神こそがバーティーの魅力であり、そのくせやることなすこと空回り、自分も相手も窮地に陥れて“スープに漬か”っちゃうところが、ジーヴスがバーティーを放っておけないところなんだろうなぁ。
 わりとしょーもないこと (主にバーティーの服装の趣味) が原因でひそやかな冷戦状態に突入し、ジーヴスに意地悪されて彼の知恵が借りられないことがあるバーティーですが、今回はそういうこともありません。終始ジーヴスがバーティーに協力的だった結果、戸棚の上に飛び上がって猛犬(?)から逃れるジーヴスという、世にも珍しい光景が展開されるのには目を疑いましたよ。バーティーのオマヌケな行動はいつものことだけど、ジーヴスのチョンボはかなり貴重だと思います。
 逮捕寸前、刑務所に入ることがほぼ確実なときに、出所後の晩餐メニューを考えるバーティー (とダリア叔母さん) のどこまでもズレた優雅さもオカシイ。いや、バーティーの男気やダリア叔母さんのバーティーに対する愛情があふれでた感動的なシーンなんですよ。でもやっぱりあんたたちってどっかズレてるって(笑)!
 最終的にはジーヴスのおかげで全てが収まるところに収まり、しかも今回はバーティーに全面的勝利がもたらされるという、非常に気持ちのいいエンディングだったのも良かったです。たまにはバーティーもいい思いをしなくちゃね。もちろんジーヴスもちゃっかり自分の希望だった世界一周クルーズを手に入れます。さすが抜かりはございません。
 そうそう、ジーブスの所属する、紳士お側つきの紳士のためのクラブ、「ジュニア・ガニュメデス」の存在も明らかになり、翻訳者さんの解説によるとこれがまたなにやら新たな厄介ごとを引き起こしそうなのも楽しみです。
 次回作『でかした、ジーヴス!』は9月発行予定。さてさて、次はどんな珍事件が起きるのやら??
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by nao_tya | 2006-05-17 22:50 | 読書感想etc.
 映画『ナルニア国物語/第1章 ライオンと魔女』が公開される少し前からC.S.ルイスの『ナルニア国物語』の再読を始めたんですが、読み返すのは小学生のときに図書館で借りてきて以来。細かい部分なんてほとんど忘れてしまっているので、読んでいてなんと新鮮こと! 非常に楽しく読みきることができました。
 この『馬と少年』は、『ライオンと魔女』でクローゼットをとおってナルニア国にやってきたペペンシー兄弟たちがこちらの世界に帰ってくる前、王さま・女王さまとしてナルニア国を治めていたころのお話です。
 とはいってもペペンシー兄弟たちの出番は少なく (一の王のピーターなんて、遠征に出かけてしまっていて名前しか出てこないのだ)、主人公はカロールメン国で漁師の父と暮らすシャスタ少年。彼がナルニア国生まれの人の言葉を話す馬、ブレーと出会ったことから冒険の旅が始まるのです。
 カロールメン国の貴族のお姫さまアラビス、彼女と行動を共にしていた、ブレーと同じくナルニア国生まれの言葉を話す馬フインなども旅の途中で登場し、シャスタたちと合流します。
 『ナルニア国物語』はキリスト教色が非常に強いお話だと言われているそうですが、キリスト教についてあまり詳しくないわたしにはあまりそういうことは感じられません。まぁちょっと説教くさいかな~って思う部分があるにはありますが、児童文学って (特に昔のものは) 概ねそんな感じなんじゃないかしらん。
 シャスタたちが旅をとおして自分の弱さや欠点に気付き、認め、克服していく様子が冒険活劇のなかで生き生きと描かれて、最後の大団円になだれこむまで目が離せませんでした。
 また、「ここが自分の限界だ」と感じたときこそ実は真のふんばりどころ、というのはなかなか重い教訓ではないでしょうか。がんばりすぎて自分を追い詰めて二進も三進もいかなくなるというのは避けたいけれど、「がんばりすぎない」ことにばかり比重をおいて、結局自分を甘やかしているだけってこと、けっこうある気がするので…。
 わたしのつたない記憶によれば、「馬と少年」は『ナルニア国物語』シリーズのなかでは一番“魔法”の出番が少ないお話だったと思うんですが、カロールメン国の王子ラバダシにかけられる魔法 (っていうか、あれはすでに呪い…) はすごいインパクト! 15キロ以上神殿から離れたらロバになるって。うあぁ、イヤすぎる~。
 とりあえず番号順に再読してきた「ナルニア国物語」も、『馬と少年』まで進んだ今、残すは『魔術師のおい』と『さいごの戦い』のみとなりました。ナルニア創生と滅亡を改めて読むっていうのもなんだか感慨ぶかいものがあるなぁ。しかし、この2冊はぜひ続けて読みたいので、もちっと他の積読本たちをなんとかせねばなりませぬ。苦ッ。
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by nao_tya | 2006-04-05 11:30 | 読書感想etc.