映画や本の感想アレコレ。ネタバレにはほとんど配慮してません。ご注意! 


by nao_tya
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カテゴリ:映画感想etc.( 98 )

〔ストーリー〕
 ニューヨークのあるアパートメントの一室で、近々日本に副社長として赴任することが決まったロブのため、お別れサプライズ・パーティが開かれていた。そのパーティの最中、突然の爆音が響きわたった。パーティの出席者たちは驚き、アパートメントの屋上に上がって周囲の様子を見てみることに…。


原題:CLOVERFIELD
監督:マット・リーヴス
脚本:ドリュー・ゴダード
出演:マイケル・スタール=デヴィッド、マイク・ヴォーゲル、オデット・ユーストマン

 『魔法にかけられて』を観にいった同じ日に、実はもう1本映画を観てきました。昔はよく2本、3本と映画をハシゴしたものですが、よる年波には勝てず(笑)、1日に何本も観るのが少々つらくなってきてまして、最近はずっと映画を観るときは1日1本ペースでした。でも『魔法にかけられて』は108分、そして『クローバーフィールド/HAKAISHA』は85分とどちらも短めの映画だったので、これはいけるかな~と思ったわけです。

 上映時間がさほど長くなかったことに加えて、同じニューヨークが舞台の映画でもテイストがまったく違っていたせいか、30分の休憩をはさんで2本の映画を観ても今回はまったくしんどくなかったし印象がゴッチャになることもなかったです。良かった~(笑)。

 さてさて、この『クローバーフィールド』、映画の内容については極力触れず、首がもげてしまった自由の女神像などショッキングな映像を前面におしだし、観客の好奇心や期待をあおる宣伝が非常に印象的でありました。わたしもまんまとその広告手法にノせられて映画館へいったクチです(笑)。監督はマット・リーヴスですが、製作は海外ドラマ『エイリアス』や『LOST』を手がけたJ.J.エイブラムスなので、こういう謎めいた仕掛けも納得がいく気がしますね~。

 映画は登場人物のうちのひとり、ハッド (T.J.ミラー) がハンディカムで撮影した映像そのもの、という体裁をとっています。「特別な手法による映像は、ご鑑賞時の体調によっては車酔いに似た症状を引き起こす可能性がございます」なんて警告文をつけているくらいだから、かなり覚悟して観にいきました。実際の映画を観てみると、なるほど全編にわたってすごい手ブレしまくり、視界は何度もぐるんぐるん回る、かなり激しい映像でありました。

 しかし座席が劇場の後ろめだったのと、スクリーンのなかで唯一ブレることがない字幕を読んでいる時間もあるせいか、観ている最中に気持ち悪くなるようなこともなく、かえって常に揺れ動いている画面、ときに途切れる映像、映してほしい対象がフレームの外などなど、徹頭徹尾ただひとつのカメラ (視点) から、それも素人が撮った映像 (という設定) のみで描かれていく事件の様子がリアルで、自分が実際に劇中の登場人物たちと一緒にニューヨークの街を逃げ回っているような臨場感を味わうことができました。ここぞという大事なシーンはちゃんとピントが合うしね(笑)。観ていて心臓バクバクするシーンがいっぱいありましたよ~。

 どんな状態になってもハンディカムを手放さないハッドの根性ってすごすぎない? とか、かなりの負傷をしていて、肩を借りないと歩けなかったベスが、その数分後には全速力で走ってるよ! とか、後になってみたらいろいろ突っ込みたくなるところがあるんですけど(笑)、観ている最中はめまぐるしく動く画面を追っかけるのに忙しく、そこまで考えられなかったなぁ。

 事前情報がほとんど与えられないままで観てるので、映画が進むなかで得られる情報を咀嚼するのに忙しいということと、この映像面の斬新さに目を奪われて夢中で観てしまうタイプの映画で、ストーリー的にはすごく凝ってるということはありません。ロブのためのサプライズ・パーティの場面でキャラクターたちの人間関係を簡潔に説明したら、あとは怒涛の展開になだれこんでいっちゃいます。限られた登場人物の個々の性格づけがわりとはっきりしているから、パニック状態のなかで闇雲に逃げ回るだけでなく、彼らの言動やロマンスという人間ドラマの部分もそこそこ観せてくれておもしろかったです。

 ただ、結局この“破壊者”の正体がなんだったのか、いったいそもそもこの事態はどうやって引き起こされたのか、という謎の部分は解明されないままなので、消化不良な感じが残るのは否めませんね~。わたしは『エイリアス』や『LOST』という海外ドラマを、途中のシーズンから観るのを中止しちゃってます。というのも、これらのドラマもあまりにも謎が多すぎて、しかもそのたくさんの謎は話が進むほどに深まっていく一方で全然解決しないもんだから、「もういい加減にしろぉっ!」という気分になってしまったからなんですね。なんか、この『クローバーフィールド』も同じ匂いがするような気が…(笑)。

 まぁ『エイリアス』はすでに完結しているので、最後まで観たらそういうモヤモヤは解消されるのかもしれませんけど。『クローバーフィールド』も製作が決定したという続編でいろいろ謎のままだった部分がハッキリすることを期待したいです。断片的に与えられる情報からいろんな推測をめぐらせて、次の展開を予想して意見を戦わせるのも確かにおもしろいし盛り上がるけど、引っぱるだけ引っぱってなにも解決せず、また次に期待させるってのはやりすぎてはイカンと思うのであります (←単にわたしが短気者なのか??)。

 でも、この『クローバーフィールド』はプロモーションで煽るだけ煽っておいて、実際映画を観てみたら拍子抜けしてしまった、という映画ではなかったし、かなりおもしろい部類に入ると思います。こんな感想をアップしておいてなんですが、できるだけ内容に関する情報は入れないで観たほうが、絶対楽しめる映画だと思います。

●映画『クローバーフィールド/HAKAISHA』の公式サイトはコチラ
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by nao_tya | 2008-04-09 23:17 | 映画感想etc.
〔ストーリー〕
 魔法の王国“アンダレーシア”に暮らすジゼルは、ある日夢に見ていたエドワード王子と出会い、結婚することに。ところが、ふたりが結婚することによって王位を手放すことになるエドワード王子の継母で魔女のナリッサ女王が、ジゼルをだまして井戸に突き落としてしまった。ジゼルがたどりついた場所は、なんと現実世界のニューヨーク! 見知らぬ世界で途方にくれるジゼルに声をかけてくれたのは、離婚専門弁護士のロバートとその娘モーガンだった…。


原題:ENCHANTED
監督:ケヴィン・リマ
脚本:ビル・ケリー
出演:エイミー・アダムス、パトリック・デンプシー、スーザン・サランドン

 ディズニー映画の『魔法にかけられて』を観てきました! 監督はケヴィン・リマ。この映画、エドワード王子が感激の歌(?)を歌いだそうとしたら、自転車が背後から押し寄せてあえなく下敷きに…、というディズニー映画らしからぬ予告を観て大ウケして以来、ず~っと観てみたかったんですよね(笑)。

 オープニングは昔なつかしのセルアニメでディズニー・ワールド全開! その滑らかな動き、美しいファンタジーの世界は、さすがアニメーションの老舗、ディズニーの底力って感じです。そこからいきなり現実の世界へキャラクターたちが飛び込んでいくわけですが、アニメの世界から現実への流れがスムーズで素直に入っていけました。

 アニメ・キャラクターを生身の人間が演じるってどうなの? と思ってましたが、エイミー・アダムスやジェームズ・マースデンはハイテンション&オーバー・アクションで見事に役にハマりきってました。ほんとアニメの世界からそのまま抜け出してきた感じ。彼らは現実世界では周囲から浮きまくってますが、当人たちがいっこうに気にせず、自分のキャラクターを貫きとおす姿はかなり笑いを誘います~。

 ジゼル役のエイミー・アダムスがプリンセスというには少々年齢が上なこと、なのに善良が過ぎて天然ボケな性格だったりとか、カッコいいはずのエドワード王子が現実世界ではどうしようもなく2.5枚目だとか、彼らの行動のズレっぷりのなにもかもがオカシイ(笑)。

 とにかく、ディズニー映画のお約束をこれでもか! とばかり自ら笑いのネタにするその根性はまさに“あっぱれ”のひと言に尽きます。ここまでセルフ・パロディを鮮やかにやられると、ディズニー映画を揶揄するような映画を作ってきた他社はこれからやりにくいでしょうねぇ。

 しかもこの映画、自分で自分を思い切り笑いのめすだけじゃありません。各所に歴代のディズニー映画へのオマージュもたっぷりで、いくつかディズニー映画を観たことがある人ならかなり楽しめるはず。自虐的な笑いをふりまきつつ、きっちりポイントを抑えて王道をいく展開を見せて、最後はしっかり昔ながらのお約束、“そして彼らはいつまでも幸せに暮らしました”というめでたしめでたしで終わるのは本当にお見事~。

 まったく相容れないように思えたファンタジーの世界と現実の世界が、少しずつファンタジー寄りになって、最後はうまく調和がとれた状態になる、そのタイミングのとりかたが非常にうまい脚本だと思います。現実の世界にファンタジーが忍びよっていく(?)象徴みたいなのが、セントラルパークでのミュージカルシーンだと思いますが、もうここはまるっきりディズニーランドのパレード状態。背景にあるのがシンデレラ城でないのが不思議なくらいで、すごく楽しかったです。

 これまでのディズニー映画を観たことがない人や、子どもさんにももちろんお勧めですが、この映画を一番おもしろく観ることができるのは、元からディズニーのファンだった人じゃないでしょうか。
 この『魔法にかけられて』で「ここまでやるか、ディズニー!」というところまでやっちゃったプリンセス映画を、ディズニーがこれからどう展開させるのかが非常に気になりますな~。案外次作は反動ですご~くオーソドックスなプリンセス映画になっちゃったりして??

 残念だったのは、ロブの恋人ナンシーを演じたイディナ・メンゼルが歌うシーンがなかったことかな。『RENT』役のモーリン、決して好きなキャラクターではなかったけど、その歌唱力はすばらしかったので、ぜひもう一度彼女が歌うのを観てみたかったです。あと映画を観ている間じゅうジェームス・マースデンの顔は記憶にないのに、なぜか“アゴ”だけは知っている気が…、と思っていたら、彼は『X-MEN』シリーズのサイクロップスだったんですね~。どおりでアゴに見覚えがあるはずだよ(笑)。

●映画『魔法にかけられて』の公式サイトはコチラ
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by nao_tya | 2008-04-07 22:03 | 映画感想etc.
〔ストーリー〕
 テロ撲滅の国際サミットがスペインのサラマンカで開催されようとしていた。広場に集まった大観衆を前にアメリカのアシュトン大統領が演説を始めようとしたその瞬間、大統領は何者かに狙撃されてしまう。狙撃に引き続いて大規模な爆発も発生し、パニック状態に陥った広場のなかで、シークレットサービスのバーンズは犯人を探し出そうとするのだが…。


原題:VANTAGE POINT
監督:ピート・トラヴィス
脚本:バリー・L・レヴィ
出演:デニス・クエイド、マシュー・フォックス、フォレスト・ウィッテカー

 週末に映画『バンテージ・ポイント』を観てきました! 映画館で予告編を観てツバをつけていた映画だったんですが、調べてみたら監督のピート・トラヴィスってヘンリー8世をあつかったイギリスのTVドラマ『キング・オブ・ファイヤー』の監督さんだったんですね~。このTVドラマ、ショーンBがほんの少しですが出演してるから、レンタルが開始されたときに観たらけっこうおもしろかったです。セル版のDVDはほかのドラマ2本とセットになってて、ちょいと勇気の必要な値段で買ってませんが、イギリスの歴史ドラマが好きな人にはお勧めです!

 で、『バンテージ・ポイント』に話を戻しまして。
 大統領の狙撃事件を、まずはTVのニュース取材班の視点から見せ、事件の概要がわかったところで時間がきゅ~っと巻き戻り、シークレットサービス、地元警察官、アメリカ人旅行者、大統領本人、そしてテロ実行犯という異なった視点から次々と描いていく映画です。

 様々な視点から事件を見ることで、ひとつの視点からではうかがいしれなかった事情が徐々に浮かび上がってきて、断片がつながってひとつの真相に迫っていく展開はスリル満点でした! ひとつの視点が終わるときは必ず“あともう少し見せて~っ!”と叫びたくなるような、ヒキの強いところで切れて次の視点へ移っていくので、緊張感ともどかしさも抜群です(笑)。

 観てる人間は何度も同じ事件を追いかけることになるわけですが、どの視点から見るかで浮かび上がってくる事件の死角が違っていて新たな発見があるので、繰り返しが続いて飽きてしまうようなことにはなりません。ひとつの視点ではまったく事件とはかかわりがないかに思えた人間が、実は重要な役割を演じているのが判明するタイミングとか、真相の見せ方をすごくよく計算して練っている脚本には感心しきりでありました。

 映画はひととおり視点が一巡して事件の全容が見えたところで、追う人間、追われる人間のアクションがメインになってしまい、最初から最後まで個々の視点から語られる話じゃなくなってしまうのがちょっと残念だったかな~。まぁ全編この手法で押し切るのはかなり難しいだろうし、カーチェイスのシーンはすごいスピード感と迫力で手に汗にぎるハラハラをたっぷり味わえてよかったですけどね! カーチェイスが激しすぎて、デニス・クエイド扮するバーンズの不死身ぶりがありえな域に達することになってしまい、思わず笑っちゃいましたけど…(笑)。

 あと、この映画でかなり久しぶりにシガーニー・ウィーヴァーをスクリーンで観ることができて感慨ぶかかったわ~。ただ、ほとんど活躍らしい活躍もせず、事件解決後に彼女を含めたTVクルーの様子が語られることもなかったのがちょっとさびしかったかも。羅生門スタイルを活かした脚本ありきの映画であって、シガーニー・ウィーヴァーに限らず、ひとりの俳優さんを特別に目立たせるタイプの映画ではないと考えれば納得できるし、俳優さんが己の役柄に徹しきった姿はそれぞれ渋くてカッコよかったですけどね。

 とにかく、ここ最近観たサスペンス、アクション映画のなかでは出色のおもしろさ。人にも安心してお勧めできるタイプの映画であります。映画は観たいけど、なにを観るのか決めていないような人、ぜひぜひ劇場へ♪ 

●映画『バンテージ・ポイント』の公式サイトはコチラ
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by nao_tya | 2008-03-26 12:19 | 映画感想etc.
〔ストーリー〕
 父親の死を契機に疎遠になっていた長男フランシス、次男ピーター、三男ジャックのホイットマン3兄弟は、フランシスの招集でインドの鉄道旅行に出かけることに。「これは魂の旅だ!」と宣言し、事細かに兄弟を管理しようとするフランシス、あくまでマイペースなピーター、元カノの留守番電話の伝言チェックに余念がないジャックと、どこまでいってもチグハグな3人は、実はそれぞれに悩みを抱えていた。彼らの珍道中は果たして…。


原題:THE DARJEELING LIMITED
監督:ウェス・アンダーソン
脚本:ウェス・アンダーソン、ロマン・コッポラ、ジェイソン・シュワルツマン
出演:オーウェン・ウィルソン、エイドリアン・ブロディ、ジェイソン・シュワルツマン

 事務所でU地さんに「この映画って好きなんちゃう?」と教えてもらって公式サイトをのぞいてみたら、なるほどまさにわたしのツボをくすぐりそうな映画! U地さん、さすがにわたしの好みがわかってるぅ(笑)。すでに公開されていたので、さっそく観にいってきました。映画のタイトルは『ダージリン急行』。監督は『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』や『ライフ・アクアティック』のウェス・アンダーソンです。

 “仲の悪い三兄弟が旅をとおして絆を取りもどす映画”だと聞いて、さほど考えなくてもわたしの頭のなかには『サン・ジャックへの道』が浮かんできました。このふたつ、コンセプトとしてはとてもよく似た映画だと思います。で、実際に観てみたら、この『ダージリン急行』のほうがかなりヘン度が高かった(笑)。でもそのヘンさは全然イヤな感じじゃなくて、ゆる~いオフビートな笑いがなぜだかとっても心地よい、不思議な印象を心に残す映画でありました。

 異常に仕切りたがりの長男も、長男には三男の、三男には長男の内緒ゴトを吹き込むちょいと自分勝手な次男も、“自分の家族を題材にした”というより、それまんまやん! な小説をぺろっ書いて公表しちゃうような三男も、み~んな変人だけどどこかに傷をもつ愛すべきキャラクターなんです。彼らの過去はほとんど描写されないため、どうして彼らがそんな性格になったのか、結局なにが一番の原因で疎遠になってしまったのかなど、説明されない部分がたくさんあるのがちょっともどかしい気もするけど、まぁそこは勝手に想像してみてよ、というゆるさがあります(笑)。

 彼らの意識が変わるきっかけとなる、インド人の少年の葬儀のシーンはとても厳かで静かな気持ちにさせられる場面でした。でもそういったシーンでさえも、三兄弟が着ている服がパジャマだったりして (←クルタに一番よく似ていた手持ちの服がコレだったんだと思われる…)、後で思い返すとやっぱりなんだか奇妙で、知らず思い出し笑いをしてしまうユーモアと温かみが感じられるのが好き。

 ハチャメチャで、まったくフランシスの立てた計画のとおりには進まなかった旅だけれど、“兄弟の絆を取り戻す”という最大の目標を達成して、ほんの少しだけれど心の荷物を軽くした兄弟の姿は、観ていてほっこりした気分にさせられます! 三兄弟の人間性に変化があったんじゃなく、相変わらず彼らはヘンだしイヤな部分も持っている。けれど、そんな相手の存在をあるがまま受け入れる余裕が、互いのなかに生まれたんだな~って思えました。ラストの車窓から見えるひたすら前へと進む列車の様子は、彼らの今の気持ちを表していたんでしょうか。

 あと、ルイ・ヴィトンのデザイナー、マーク・ジェイコブスがデザインしたスーツケースたち (オレンジの地にアフリカの動物たちが散っている) や、列車のなかで振る舞われるお茶のティセットががめちゃくちゃかわい~! とか、ナタリー・ポートマンやビル・マーレイがさりげなく登場したりとか、映画のストーリー以外にビックリのお楽しみがあったのもうれしかったです~。まさにわたしのツボを直撃! な映画でありました。

●映画『ダージリン急行』の公式サイトはコチラ
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by nao_tya | 2008-03-21 23:09 | 映画感想etc.
〔ストーリー〕
 15歳のときに“ジャンプ”=“瞬間移動”の能力に目覚めたデヴィッドは、母のメアリーが失踪してから暴力的になった父親のもとを逃れ、その能力で世界を自在に駆け巡る気ままな生活を送っていた。ところがある日、デヴィッドのようなジャンプ能力を持つ人間=ジャンパーの抹殺を使命とする秘密組織“パラディン”のエージェント・ローランドがデヴィッドの前に現われた。なんとかローランドの攻撃から逃れたデヴィッドは、故郷へ舞い戻ってくるのだが…。


原題:JUMPER
監督:ダグ・リーマン
原作:スティーヴン・グールド
脚本:デヴィッド・S・ゴイヤー、ジム・ウールス、サイモン・キンバーグ
出演:ヘイデン・クリステンセン、ジェイミー・ベル、レイチェル・ビルソン

 仕事帰りに映画を観にいこうと思い立ち、映画館へ。一番観たかったのは『バンテージ・ポイント』だったんですが、あいにくちょうどいい上映時間がなくて、第2候補だった『ジャンパー』を観てきました。監督は『ボーン・アイデンティティー』や『Mr.&Mrs.スミス』のダグ・リーマン。『ボーン~』は好きなんだけど、『Mr.&Mrs.スミス』はどうも好みとあわない映画だったので、この『ジャンパー』はどっちに転ぶかな~と思いながらの鑑賞でした。

 結果は…。う~ん、普通におもしろくて退屈はしなかったのでつまらなくはない。ハラハラするところもちゃんとありました。でも、全体的にのめりこむようにして観ることはなかったですねぇ。
 一番の敗因は、主人公であるデヴィッドにこれっぽっちも共感できなかったってことでしょうか…。だって! このデヴィッド、めちゃくちゃ自己チューなんだもんっ!!
 
 デヴィッドはジャンプ能力を自在に操れるようになってからは自堕落に暮らしてるわけですが、そのための生活資金ってのが銀行の金庫室にジャンプして、そこからかすめとってきた (というのもおこがましいくらい大量の) 現金なわけですよ。まぁ能力に目覚めた15歳のころなら生活能力もなかろうし、この行為もなんとか許容範囲です。

 だがしかし。それから10年近く経ってもまだその状態ってアンタ…。しかもやたらと自尊心だけは強いイヤミな青年になっちゃって。テレビのニュースで洪水で取り残された人々の様子などが流れていてもまったく無関心。知らんぷりで遊びに出かけちゃったりとかね、いろいろと「なんじゃコイツ!?」と思わせるエピソードが出てくるのでございますよ。

 でも、デヴィッドの生い立ちは決して幸せといえるようなものではなかったし、こういう性格になってもしょうがないか、と物語の冒頭では納得もできます。そのかわり観てる側としては、そんな風に自分勝手な、特殊な能力があってもひたすらそれを己の楽しみのためだけにしか使わない人間が、物語が進むにつれいろんな困難にぶつかったり、彼を導いてくれる人間が出てきたり、愛する人ができたりと、様々な出来事があってこれから内面的な成長を遂げていくんだろうと期待するわけですよ。

 しかしながらどれだけストーリーが進もうともデヴィッドのなかでなにかが変わる様子は毛筋ほどもなく、ローランド率いるパラディンと壮絶な追いかけっこをしながらハデな戦いを繰り広げるばかり。最後には恋人のミリーと手に手をとって逃避行♪ って、オイッ! 精神的成長は? 今まで自分がやってきたことに対する反省は? そういうものは一切ナシなんですか~!? というエンディングに、エンドロールを観ながらしばし呆然…。なんとういか、観終わったあとにごっつい消化不良感が。これでは素晴らしかった映像の魅力も半減した気分であります。

 結局のところ、この映画はデヴィッドの物語を描くことではなく、“瞬間移動”というものを映像で表現することを主眼にしていたってことなんでしょうか。確かに瞬間移動することによって生じる空間のひずみとか、ジャンパーが出現するときの演出とか、今までにない表現で斬新でした。あと、ジャンプ能力を駆使しての戦いも、視覚と音響の効果をフルに使ってすごい迫力で楽しめます。ただ、この迫力はどうしても大きなスクリーンに整った音響設備の映画館でないと感じられないものだと思います。いくらホームシアターの環境が進化していても、映画館とは同じようには再現できないんじゃないかな~。

 この『ジャンパー』、1作めがヒットすれば三部作の予定だそうですがどうなることか?? わたしはどちらかというと物語を楽しみたい派なので、2作めがもし製作されたとしても、この貧弱な物語の続編をわざわざ観にいくかどうかはかなりビミョーって気が。脚本が劇的に変われば話は別だけど、映画の狙いが物語にないのなら、ちょっとそれも望み薄な気がしますしねぇ。

 とにかく、今から観にいこうという方は、ストーリー的なものはあまり期待せず、映像の奇抜さ、斬新さを楽しむつもりでいかれたほうがいいと思います。あと、設備ができるだけ整った映画館をチョイスすることをお勧めします~。

●映画『ジャンパー』の公式サイトはコチラ

●映画の原作本
ジャンパー (上)

ジャンパー (下)
 スティーブン・グールド (ハヤカワ文庫)
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by nao_tya | 2008-03-17 23:23 | 映画感想etc.
〔ストーリー〕
 わたしたちの住む世界と酷似していながら、違う点が多くあるパラレルワールドの英国オックスフォード。そこは人間の心が実態をともなった動物“ダイモン”として人間と行動を共にする世界である。幼いころに両親を亡くしたライラは、ダイモンであるパンタライモンとオックスフォード大学のジョーダン学寮に暮らしていた。ある日、彼女の叔父であるアスリエル卿がダストと呼ばれる粒子の謎を解明しようと北極への探検旅行に出発するのだが…。


原題:THE GOLDEN COMPASS
監督:クリス・ワイツ
原作:フィリップ・プルマン
脚本:クリス・ワイツ
出演:ダコタ・ブルー・リチャーズ、ニコール・キッドマン、ダニエル・クレイグ

 クリス・ワイツ監督の『ライラの冒険 黄金の羅針盤』を観にいってきました。フィリップ・プルマンの原作を読んだのはもう数年前になるんですが、この原作がすごくおもしろくて好きだったので、どんな風に映画化されたのかな~と、期待もいっぱい、反対に不安も同じくらいいっぱいの状態で劇場へ。観たのが字幕スーパー版だったせいか、お子さん連れの観客はゼロ。全部で10数人というちょっと淋しい状態でございました。

 最初に原作を読んだとき、主人公のライラが“いたずら”とか“おてんば”とかいう言葉では生ぬるいような、こういったファンタジー系児童文学のヒロインにしてはかな~り憎そい悪ガキ(笑)だったもんで、そのリトル・ギャングぶりが驚きだったり新鮮だったりしました。映像化するに際してライラ役の子役が、ただかわいいだけの女の子だったりしたらイヤだなぁと思っていましたが、ダコタ・ブルー・リチャーズはライラの小生意気なところ、友情に厚く無鉄砲なくらい勇敢なところ、それぞれをよく出してたと思います。

 そのほかのキャラクターも、わたしが原作から受けていた印象と大きく外れるようなキャスティングはされてなくて、むしろ超!豪華な出演陣はため息ものでした~。ダイモンや鎧グマというCGのキャラクターもとてもなめらかな動きで画面にとけこんでいたし。すごく華のある惹きつけられる映像が全編にわたってちりばめられていて、原作を読みながら乏しい想像力で思い描いていた世界が、何十倍・何百倍もの迫力で目の前に出現した感じです。

 ただ、これだけ映像的には満足のいく出来なのに、ストーリーの運び方についてはちょっと点が辛くなってしまいました。文庫で上下巻の話を112分という尺にきれいに不足なく収めていて、重要なポイントはしっかり抑えています。でもただそれだけになっちゃってる気がするんですよね~。全体的に起伏がないというか…。劇中でライラは何度か危機に陥るんですが、そこにハラハラ・ドキドキする暇もない。「ハ」と「ラ」の間くらいで終わっちゃうのです。

 要するに、緊張感が高まりきらないうちに事態が解決しちゃって、どんどん次の展開へ進んでいってしまうんだな。スピード感があるというより、せわしないとかめまぐるしいって印象だけが強く残ってしまいました。もうちょっと緩急をつけてもよかったんじゃないかなぁ。鎧グマの決闘や最後のボルバンガーでの戦いのところは力が入ってたと思けど、戦闘シーンだけが見せ場っていうのはなんだかバランスが悪い気がします。

 観終わってみると、わたしは原作を読んでいて予備知識があるので、展開が多少平板に感じられてもすばらしい映像を堪能して楽しめる部分がたくさんありましたが、原作にノータッチの人はこの映画を観てどう感じるのかしら、ということが非常に気になりました。
 続編もぜひぜひ製作してほしいですが、続編は映像はこのまんまクオリティで、話のメリハリはもっとつけてくださることを希望しますね。とにかく続編を作るなら早く作ってくれ! なんといっても子どもの成長は早いですからね~、あっという間にダコタちゃんがライラを演じるにはちょいと大人っぽくなりすぎてしまいそうでコワイのですわ。頼むよ、製作陣(笑)。 

●映画『ライラの冒険 黄金の羅針盤』の公式サイトはコチラ
  ここでは自分のダイモンを調べることができるんですが、
  わたしはのダイモンは“トラ”でございましたよ~。

●映画の原作本
黄金の羅針盤〈上〉 ライラの冒険

黄金の羅針盤〈下〉 ライラの冒険
 フィリップ・プルマン (新潮社)
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by nao_tya | 2008-03-10 21:24 | 映画感想etc.
〔ストーリー〕
 エリザベス (ケイト・ブランシェット) が25歳でイングランド女王に即位してから27年。カトリックの強国であるスペイン王フェリペ2世がエリザベスの失脚を画策し、幽閉中のメアリー・スチュアートはエリザベス暗殺を計画していた。そういった情勢のなか、エリザベスの前に新大陸から戻ったばかりのウォルター・ローリー (クライヴ・オーウェン) が現れる。次第にローリーに惹かれていくエリザベスだが…。


原題:ELIZABETH: THE GOLDEN AGE
監督:シェカール・カプール
脚本:ウィリアム・ニコルソン、マイケル・ハースト
出演:ケイト・ブランシェット、ジェフリー・ラッシュ、クライヴ・オーウェン

 週末はシェカール・カプール監督の『エリザベス:ゴールデン・エイジ』を観てきました。前作の「エリザベス」は1998年製作の映画だから、約10年後にようやくお目見えした正統な続編というわけですね。エリザベス1世役のケイト・ブランシェット、側近のウォルシンガム卿役のジェフリー・ラッシュが続投しております。

 こういう歴史物ではよくあることだとは思いますが、時代背景や人物についての説明がごくあっさりとしたものでしかないので、ある程度中世ヨーロッパ史の知識がないと「この人一体誰!?」状態になって入り込みにくいところはあるような気がします。
 でも一旦映画のなかに入ってしまうと、豪華絢爛な衣装や荘厳な舞台はため息ものだし、エリザベス1世の、君主としてやひとりの女性としての苦悩に焦点を当てて丹念に描かれていく物語はまったく飽きがきませんでした! アルマダ海戦のシーンは本当に船を作って撮影したそうでかなりの迫力~。本当に短いシーンだったのが残念です。

 前作ではプロテスタントとカトリックをめぐる込み入った陰謀劇が展開されていって、そこがスリリングでおもしろかったんですが、「ゴールデン・エイジ」ではちょっとその点は弱め。カトリックの国である大国スペインvsプロテスタントの弱小国イングランドといった対立の構造がくっきりしているせいかな。そのかわり(?)に重点がおかれているのは、エリザベス1世のロマンス。お相手はクライヴ・オーウェン扮するウォルター・ローリー。

 クライヴ・オーウェンってかなり顔の濃ゆ~い俳優さんで、ちょこっと出てくる分にはいいんですが出ずっぱりになるとわたしはちょっと食傷気味になっちゃう感じなんです。しかし、コスチュームものだとアラ不思議! 彼の濃さがきらきらしい華美な雰囲気にぴったり合って、あまり気にならなくなってました(笑)。船乗りで冒険家で歴史家で…、と多才でちょっと気障(笑)なローリー卿、なかなか魅了的でよかったです。

 もちろんエリザベス1世役のケイト・ブランシェットは云うことなしの貫禄~。自分が望むことのできない、自由に人を愛し相手からも愛される喜びを投影していた侍女のベスと、自分の知らない憧れの新世界を縦横に行き来するローリー卿。このふたりが密かに結婚し、ベスが妊娠しているという事実を知ったときのエリザベスの惑乱ぶり、勇ましく兵士たちを鼓舞する馬上の甲冑姿などなど、脆さと強さ、そして女王の孤独を印象深く演じていて見ごたえがありました。あくまでもエリザベスの内面描写に重きをおいている映画なので、活劇としては少し物足りないものもあるかもしれませんが、わたしは堪能しましたですよ~。

 ところで前作『エリザベス』のDVD、まだ廉価版が発売されてないようですね~。「ゴールデン・エイジ」のDVDと同時くらいに発売されるかな。発売されたら2作合わせて買っちゃいそうです(笑)。 (←廉価版が08年8月に発売されます!)
 
●映画『エリザベス:ゴールデン・エイジ』の公式サイトはコチラ

●前作のDVD
エリザベス
 監督:シェカール・カプール
 脚本:マイケル・ハースト
 出演:ケイト・ブランシェット、ジョセフ・ファインズ、ジェフリー・ラッシュ
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by nao_tya | 2008-02-18 21:58 | 映画感想etc.
〔ストーリー〕
 大学生のカップル、ジムとグレースは春休みを利用してグレースの地元へドライブ旅行へ出かけることに。深夜、激しい雨に降られながらドライブしていたふたりは、突如道の真ん中に現われた男を危うく轢きそうになってしまう。轢かれそうになっても身じろぎひとつしない男に不気味なものを感じたふたりは、車が故障して立ち往生しているらしい男を雨のなか置き去りにしてしまった。その後、立ち寄ったガソリンスタンドで男と再会したジムとグレースは、男を近くのモーテルまで送り届けることにしたのだが…。


原題:THE HITCHER
監督:デイヴ・マイヤーズ
脚本:エリック・レッド、ジェィク・ウェイド・ウォール、エリック・バーント
出演:ショーン・ビーン、ソフィア・ブッシュ、ザカリー・ナイトン

 デイヴ・マイヤーズ監督の映画『ヒッチャー』を観てきました。アメリカで1985年に公開された映画のリメイク版でございますね。この映画、関西では1館しか上映してなくて、しかもその映画館がちょっぴりアヤシゲなところだったので、観にいくかどうか迷ってたんですが、ショーンBファンのU地さんがご一緒してくれるというのでいってきました♪

 この上映館、かつて『デュースワイルド』っていう映画を観にいったことがあるんですが (ノーマン・リーダスが出演しているから)、5年ぶりくらいにお邪魔してもまったくナニひとつ変わってなかったですね~(笑)。チケットは食堂の食券を売ってるような券売機で購入し、映画はオールナイト上映で今どき珍しく入替え制度がないという (つまり気力・体力があれば午前中から翌日朝まで11回、同じ映画を観続けることができるのである/笑)、かな~り古い映画館です。

 観客は10数人ってとこでしたが、わたしたち以外の女性客もチラホラ。みなさんショーンBのファン!? などとU地さんとゴニョゴニョ会話しているうちに場内が暗くなりまして、他の映画の予告やCMは一切なしでいきなり本編がスタート! この唐突さ加減、たまらんなぁ…(笑)。

 映画の感想は、うーんそうですねぇ…。ショーンBファン以外にはあえてお勧めいたしません、って感じでした。ルトガー・ハウアー主演のオリジナル版を観たときのようなインパクトはなかったです。オープニングでハイウェイに登場するウサギってのがいかにもCG! という安っぽさで、なんだかイヤンな雰囲気をただよわせていたんですが(笑)、なんというか最後までそういうイヤンな感じが消えないままだったというか…。オリジナル版を知らなければ、案外よくできたB級ホラーって思えて楽しめた気もするんですけど。オリジナル版の底知れぬ不気味さが薄れてしまっていて残念です。

 基本的なストーリーはオリジナル版にほぼ忠実で、変更されているのはショーンBが演じるサイコな男ジョン・ライダーに狙われる人間が、男性ひとりから大学生のカップルになってる点でしょうか。でもオリジナル版でも女性の協力者があとから登場するんで、あまり大きな変化ではないんですけどね。ジョン・ライダーを雨のなかに置き去りにしてしまったという罪悪感から、彼をモーテルへ送っていくことをカップルのかたわれが断りきれなくなってしまう、という展開はなかなかよくできていたと思います。

 あと、オリジナル版に比べるとカースタントなどはかなり派手になってて、さすが製作がマイケル・ベイなだけはあるわと感心。拳銃一丁でヘリまで撃墜(?)しちゃう強引な展開はどーなの、と思わないでもないですが(笑)。最後にジョン・ライダーと対決するのが男性から女性になってるのが、時代の流れを感じさせますな。炎を吹き上げるバンの後部扉を蹴り破ってグレースが出てくるシーンはなかなかカッコよかったですよ~。

 とまぁなんだかんだと云ってますが、ショーンBの出番はけっこう多かったのでそれなりに楽しんでいたのも事実です (ホラー、サスペンスとして楽しんでたのとは違うところがミソですが/笑)。上映時間も84分と非常にコンパクトで間延びした感じもなかったし。ショーンBファンの一員として、3月に発売されるDVDはきっと買っちゃうと思います(笑)。

●映画『ヒッチャー』の公式サイトはコチラ

●オリジナル版のDVD

ヒッチャー (1985)
 監督:ロバート・ハーモン
 脚本:エリック・レッド
 出演:C・トーマス・ハウエル、ルトガー・ハウアー
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by nao_tya | 2008-01-31 15:56 | 映画感想etc.

映画感想:『28週後…』

〔ストーリー〕
 感染すれば激しい怒りに支配され、引き起こされた凶暴性で他者に襲いかかるレイジウィルスの感染者がイギリスで発生してから28週後。事態はようやく落ち着きを見せ、アメリカ軍主導によってイギリスの復興が始まろうとしていた。数少ないイギリス本土の生存者、ドン (ロバート・カーライル) はたまたま学校の旅行でスペインに滞在中だったため無事だった子どもたちと再会を果すのだが…。


原題:28 WEEKS LATER
監督:フアン・カルロス・フレスナディージョ
脚本:フアン・カルロス・フレスナディージョ、ローワン・ジョフィ、ヘスス・オルモ
    E・L・ラビニュ
出演:ロバート・カーライル、ローズ・バーン、ジェレミー・レナー

 ダニー・ボイル監督の『28日後…』の続編『28週後…』を観てきました~。『28週後…』ではダニー・ボイルは製作総指揮にまわり、フアン・カルロス・フレスナディージョがメガホンをとっております。監督が交代して映画の雰囲気が変わってるかな~と思いながら観たんですが、確かに『28日後…』のちょっとアートっぽいものとは違う雰囲気の映画になってたように思います。空爆シーンとかハデで見栄えのする部分が増えてたしな (前作が当たって予算が増えた?/笑)。

 だがしかし、こういう感想は映画を観終わったあとから思い浮かんだこと。オープニングからなかなかショッキングなできごとが起こり、一気に映画の世界へ入っちゃいました。感染者たちの動きがすばやいのと、彼らが大量に出てきて団子状態になるのとで、個々の動きがまったくわからずなにがなにやら…? という場面はありましたが、もうその音を聞いてるだけでいろいろ想像しちゃってコワイ。いやぁ心臓がバクバクしっぱなしの104分でございました。

 感染したら瞬間的に発症するレイジウィルスも、爆発的なパワーで襲ってくる感染者もこわい。アメリカ軍主導による“もしもう一度レイジウィルスが再発したら…”というマニュアルも非人道的でイヤ。だがしかし、この映画のなかでわたしが一番おそろしくも哀しいと感じたのは、人間の持っている情愛による行動がすべて裏目・裏目に出て、事態をどんどん悪化させていくってところでした。そもそもこのレイジウィルスの感染は、動物愛護団体が実験に使われているチンパンジー (だったかな?) を救おうとしたことが発端だったんですよね。人の善意とか愛情とかがまったく救いにならないってところがなんとも痛い映画です。

 軍医のスカーレットの発言などからストーリーの展開はほぼ読めてしまうし、ちょっと強引なところがなきにしもあらずですが、話の進めかたがスピーディでめまぐるしいほどの勢いを持っているので、ラストまで一気に観てしまう感じです。
 『28日後…』では何パターンか作られたエンディングのうち一番さわやかで救いのあるものが公開されていましたが、『28週後…』はますます暗い今後を予想させる終わり方でありました。こういうホラー、ゾンビ映画によくあるパターンで、そこはちょっとありきたりだった気も。まぁ続編を期待させる作りではありますね。次に製作されるのは『28ヵ月後…』かな??

 そうそう、映画そのものとはなんにも関係がないんですが、映画に出てくるアンディくん、わたしは映画の中盤までずーっと女のコだと思っていたことを告白いたします(笑)。だってヘアスタイルはどっちともとれるものだったし、まだ声変わりしてないコだったんだもん! 英語の第一人称はみんな“I”だしさ~。もしかして姉のタミーやほかの人間がアンディのことを話すときの人称が“HE”だったのかもしれないけど、わたしの耳では聞き取れてなかったのよね~。いやぁ『アイ・アム・レジェンド』で犬のサミーの本名がサマンサで女のコだってわかったときと同じくらいの衝撃でしたわ(笑)。

●映画『28週後…』の公式サイトはコチラ

●前作のDVD
28日後…
 監督:ダニー・ボイル
 脚本:アレックス・ガーランド
 出演:キリアン・マーフィ、ナオミ・ハリス
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by nao_tya | 2008-01-28 21:11 | 映画感想etc.
〔ストーリー〕
 ニュージーランドの田舎町に暮らすバート・マンロー (アンソニー・ホプキンス) は改造を重ねたバイクで数々のスピード記録を国内で残していた。ライダーの聖地であるボンヌヴィル塩平原でおこなわれるレースで、世界記録に挑戦するという夢を長年抱いてるバートは、しかしなかなかアメリカへの渡航費をためることができないでいたのだが…。


原題:THE WORLD'S FASTEST INDIAN
監督:ロジャー・ドナルドソン
脚本:ロジャー・ドナルドソン
出演:アンソニー・ホプキンス、クリス・ローフォード、アーロン・マーフィ

 ロジャー・ドナルドソン監督の『世界最速のインディアン』、劇場公開中に見逃してしまってたのがWOWOWで放映されたので、喜び勇んで録画・鑑賞いたしました! 今回は録画時間の設定は間違えなかったぞ(笑)。こんなわたしにも学習能力があったようです。

 で、映画の感想。わたし、この映画すごーく好き! です。
 最初に内容をまったく知らずこの映画のタイトルを聞いたとき、“インディアン”ってネイティブ・アメリカンのことで、世界最速ってんだから陸上競技かなにかの話かと思ってたんですよね~。でもアンソニー・ホプキンスが主演だし、ハテナ? と思っていたら、なんと世界最速をめざすおじいちゃんライダーの話だったという…。しかも主人公のおじいちゃんは実在の人物だっていうからオドロキです。

 映画の前半部分は、齢63にして改造を重ねた愛車インディアン・スカウトをひっさげ、アメリカのユタ州はボンヌヴィル塩平原でおこなわれるスピードレースで世界記録に挑戦しようと、地球の裏側ニュージーランドを出発したバート・マンローの旅の様子を描いたロードムービー、後半は手に汗握るレースシーンが描かれておりました。

 時速300キロ超というとんでもないスピードを、観てる側にも感じさせるレースシーンはすごい迫力! 口を開けてひたすら“ほえ~っ”って感じで見入ってしまいました。しかしこの映画の見所は、バートがボンヌヴィル塩平原にたどりつくまでの旅の様子、たどりついてからレースに参加するまで、そのひとつひとつのエピソードだと思います。

 とにかくバートと関わる人みながいい人ばかりなんだなぁ。いや、出会う人みながみな善人だったというよりも、バートの純朴であけっぴろげでユーモアにあふれた人柄が、対する人の心を開かせて人を自然と良い人にしたって感じでしょうか。客観的にバートの言動を見てみれば、はっきり云って“変人”以外のなにものでもないんですが(笑)、相対してみると彼の不思議な魅力と熱意にいつの間にやら好意的になってしまうという…。

 いろんな人から寄せられた厚意を素直に受けて、その厚意に報いるためにも、夢を夢で終わらせず現実にする努力を重ねるバートの物語を観たあとは、とてもさわやかな気持ちになることができました! 夢を果たして自宅 (というよりガレージ兼物置兼寝るところって感じ/笑) に帰り着いたバートが、「やっぱり家はいいなぁ」って云いながら、しっかり次なる目標を胸に秘めているところも“さすが!”って感じですよ。

●映画『世界最速のインディアン』の公式サイトはコチラ

●バート・マンローの評伝 (原作本じゃないですよ~)

バート・マンロー スピードの神に恋した男
 ジョージ・ベッグ (ランダムハウス講談社)

 表紙になってるバート氏の写真を拝見するに、実際のバート氏、なかなか良いお顔ですよね~♪
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by nao_tya | 2008-01-18 22:48 | 映画感想etc.