映画や本の感想アレコレ。ネタバレにはほとんど配慮してません。ご注意! 


by nao_tya
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カテゴリ:映画感想etc.( 98 )

 ピーター・ジャクソン監督の『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』が公開されてからはや2年。今でも好きなシーンをちょこちょこDVDで観直したりしておりますが、もうこの三部作に関して新しい情報が入ることもないのね~と淋しく思ってました。そしたら、なにやらおもしろい話を見つけまして (『指輪物語』ファンの間では周知の事実かもしれませんが/笑)。
 とは云っても、映画『ロード・オブ・ザ・リング』三部作について動きがあるとかじゃありません。イギリスの『指輪物語』のファンたちが、なんと追補編のなかで言及されてるアラソルンとギルライン (アラゴルンのご両親ね) の物語を、自主制作で映画にしちゃおうという試みがあるんだそうな! 完成されたら『指輪物語』関係のコンヴェンションなどで上映される予定なんだって。
 映画のタイトルは『BORN OF HOPE』。ちゃんとサイトもできてるので覗いてみました。「たかが自主制作」と侮るなかれ。インディペンデント系のスタッフ、俳優さんたちも参加しているらしく、衣装や小道具などの美術、ロケーションとかなり本格的ですよ~。
 チビ・エステル (アラゴルンの幼少のころの名前) の姿も見られるほか、映画では名前も出てこなかった野伏のハルバラドなども登場するみたいです。
 いや~、こういう企画を大真面目に立ち上げて、実行しちゃう欧米の指輪ファンの底力ってスゴイ! すでに趣味とか遊びの範疇を超えるスケールになっちゃってると思うんですが、それでも作ってる側が楽しんでいる雰囲気がサイトを見てると伝わってきます。
 制作資金調達のため、プロジェクトでは寄付も募っている模様 (PayPalでの支払い)。うーむ、ここは少額でも寄付するべきかしら!? だって完成した映画、観てみたいんだもん。

●自主制作映画『BORN OF HOPE』のサイト
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by nao_tya | 2006-06-02 12:45 | 映画感想etc.
 日曜日は公開終了も近い『Vフォー・ヴェンデッタ』を観にいってきました。最近仕事が終わるのが遅くて、ウィークデイにちっとも映画を観にいきません。おかげで何本か観にいくつもりにしていた映画を観逃すことに。前売りを買ってなくて正解だったよ、くすん…。

〔ストーリー〕
 第三次世界大戦後のイギリスは、かつての大国アメリカさえも植民地化した独裁国家だった。ある夜、夜間外出禁止令を破ったために自警団に捕まったイヴィーは、暴行を受けそうになったところを仮面の男“V”に救われる。彼こそはたったひとりで現政府に反旗を翻すテロリストだった…。


原題:V FOR VENDETTA
監督:ジェイムズ・マクティーグ
脚本:アンディ・ウォシャウスキー、ラリー・ウォシャウスキー
原作:アラン・ムーア (クレジットなし)、デイヴィッド・ロイド
出演:ナタリー・ポートマン、ヒューゴ・ウィービング、スティーヴン・レイ

 大きいところも小さいところも、とにかくツッコミどころ満載でしたが (Vはどうやってあれだけ大量のガイ・フォークスの仮面を用意したのか、とか、協力者もいないのに普段の生活必需品はどうしてるの、とか色々。せっせとロンドンの各家庭の住所を調べて宅配ラベルを作ってるVの姿とか想像すると笑えてくる…/笑)、わたしはこの映画、わりと好きです。
 言論の自由を奪い、人々を抑圧して独裁政治を敷く政府と、それに対抗する手段としてのテロが軸になっていて、テーマは政治的でずいぶん重たいものがあるんですが、娯楽作らしく善と悪がはっきり別れていてわかりやすい。
 まぁVが完全な“善”なのかと問われたら、それはちょっと違うとは思うんですが、この映画のなかの“悪”はもう完全無敵に真っ黒で、同情の余地なんてないから。現実の対立っていうのはもっと双方に善悪が入り混じっていて、複雑に絡み合っているものですよね。
 Vの行動と呼びかけによって、今まで「どこかこの世界はおかしい」と思っていても、行動には移せなかった人々が徐々に目覚めていき、1年後のガイ・フォークスの日に粛然と国会議事堂前に集まってくるところとか、同性愛者のヴァレリーの話なんて、素直に心が揺さぶられちゃいましたよ。
 そして、Vを演じたヒューゴ・ウィービング。マスクに隠れて表情はまったく見えませんが、喜怒哀楽がそのセリフや仕草からはっきり感じ取れます。最初に登場したシーンの、まるで舞台に立っているかのように滔々と話す姿がなんて気障でカッコいいことか! エプロン姿も案外ハマってました(笑)。
 坊主頭のナタリー・ポートマン、頭の形がキレイで彫りの深いお顔だから、こんな髪型でもサマになっちゃうんですよね~。ウラヤマシイ。怯えるばかりだったイヴィーが恐怖を克服したあとに見せる表情の鋭さが美しかったです。
 独裁政府を倒すという大義名分のもとに、私的な復讐にとりつかれていたVが、イヴィーと出会うことによって眠らせていた人間性を揺さぶられるところもいいです。ふたりの関係が師弟のような親子のような恋人のような同志のような、とその時々で移り変わっていくのもおもしろい。映画や小説のなかでなら、真っ当なものよりちょっと歪な恋愛に惹かれるわたしのツボにどんぴしゃりでございました。
 ガイ・フォークスについてはもちろん、出てくる音楽、セリフなどに前知識があればあるほど、そこに秘められた意味を感じて解釈が広がっていくんじゃないでしょうか。反面、知識がないと置いていかれてしまうシーンが点々とあるのはちょっと辛いかも。原作にもともとこういう要素があるのか、『マトリックス』のウォシャウスキー兄弟の脚本だからこうなのかはわかりませんけど。
 しかし、ウォシャウスキー兄弟が絡むと、なぜヒューゴ・ウィービングは顔を隠して、ついでに数で勝負するかのように増殖する役ばっかりキャスティングされるんでしょーか。一度くらいはごく普通の役を振っていただけると嬉しいんですが。お願いしますよ、ウォシャウスキー兄弟(笑)!

●『Vフォー・ヴェンデッタ』公式サイト

V フォー・ヴェンデッタ
アラン・ムーア デヴィット・ロイド / 小学館プロダクション
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by nao_tya | 2006-05-29 23:37 | 映画感想etc.
 日曜日にフェルナンド・メイレレス監督『ナイロビの蜂』を観てきました。ジョン・ル・カレの原作を読んでからもう1年くらい経ってるのかな。映画化の話をはむちゅうさんのブログで知って、監督も出演者も魅力的だったので読んでみるか~、くらいの気持ちで読んだんですが、今でも読み終わったときのカタルシスっていうとなんかちょっと違う、うーん、そのしみじみとした感覚が忘れられません。
 文庫上下巻の本で、上巻の途中 (主人公のジャスティン・クエイルがイギリスに帰るくらいまで) は全然小説世界に入り込めず、最後まで読みきれるのか不安を覚えてしまったんですが、そこまで進むと後はもうのめり込むようにしてラストまで突っ走っちゃいました。
 自分にそれだけ強い印象を残した小説が原作なだけに、どんな風に映像化されているのか楽しみなのと怖いのと半分ずつくらいの気分で映画館に足を運びましたが、とても満足した気分で帰ってくることができました!

〔ストーリー〕
 イギリス外務省一等書記官のジャスティン・クエイルは庭いじりが趣味の物静かな男。そんな彼のもとに、2日前にナイロビからロキへ旅立った妻テッサが殺されたとの知らせがもたらされる。テッサは友人の黒人医師アーノルドと共に、スラムの医療施設を改善する救援活動に精力的に携わっており、今回の旅行もその一環だったはずだ。同行したアーノルドは行方不明のままで、テッサの不倫疑惑が持ち上がってくる。彼女の死に不審なものを感じたジャスティンは独自に調査を始めるが…。


原題:The Constant Gardener
監督:フェルナンド・メイレレス
脚本:ジェフリー・ケイン
原作:ジョン・ル・カレ
出演:レイフ・ファインズ、レイチェル・ワイズ、ダニー・ヒューストン

 生きているテッサというのは映画の冒頭、ナイロビ空港でのシーンでちょこっと出てくるくらいで、後はジャスティンの回想という形でしか登場しません。ジャスティンはテッサの死によって、彼女が自分に見せていたのは一面だけで、実は自分の知らない部分があるのではないか、彼女の愛情はどこか余所を向いていたのではないか、という疑いを抱きます。確かだったはずの妻の存在が、あやふやでぼんやりとした掴みきれないものになってしまうわけです。回想のなかの彼女はいつでも笑顔で美しい。でも本当は…?
 テッサの死の真相を探るため、ジャスティンは彼女の足跡を追う旅に出ます。そのなかでテッサが何をしようとしていたのか、どうしてそれをジャスティンには打ち明けようとしなかったのかがわかってきて、ようやくジャスティンはテッサからの愛とテッサへの愛を再確認する。そうすると、観てるこちらにも、どんどんテッサの印象が色濃くくっきりと浮かび上がってくるようになるのです。
 ジャスティンは自分の体調も省みず救援活動に熱中するテッサを心配するものの、結局彼女を止められず、「君の人生に干渉したりしない」と云うシーンがあります。相手の意思や考えを尊重するということで、もちろんこれはすごく大切なことだと思うけど、このセリフはやっぱりちょっと悲しい。だって結婚して家庭を築いているふたりが、互いの人生に干渉しないでいられるわけがないもの。この臆病なまでに相手を気遣うジャスティンの優しさが、かえってテッサに真実を打ち明けて彼を巻き込むことをためらわせたんじゃないかな~とも思ってしまいます。
 だから、決して冷たいわけでも利己的なわけでもなく、むしろ良心的で暖かい人だけれど、いつでも自分にできる人助けの限界を冷静に見極めていたようなジャスティンが、テッサと同じように「今ここに助けを求める人間がいて、少し自分たちが手を伸ばせばそれが可能なのに!」と声を荒げるまでになる、というのがとても印象的でした。
 ラスト近く、ロキへ向かってドライブするジャスティンの傍らにはまるで本当にテッサがいるかのようです。これはジャスティンの思い込みとか妄想なんかじゃなく、それだけ強く深く彼のなかにテッサが刻みこまれ、テッサとジャスティンの心が寄り添ったということなんだと思います。悲しいけれどとても美しいシーンでした。
 『ナイロビの蜂』はジャスティンとテッサのラヴ・ストーリーが基盤ですが、同時に発展途上国で今現在起こっている問題について考えさせる社会派の映画とも云えます。「アフリカの人々の命はとても安い」という言葉がズッシリと重く響きます。わずかな食料品や医療のために、その危険性も知らされず新薬の実験台となっているのかもしれない人々。なのに餓えや貧困のなかでも彼らの表情は力強く、子どもたちの笑顔は屈託なく明るい。生きる力がどんどんひ弱になっている気がするわたしたちと比べて、搾取されているはずの彼らはなんと生命力にあふれているんだろう。感嘆せずにはいられませんでした。
 サスペンスであっても派手なシーンはほとんどなく、「地味」という言葉が本当にピッタリ。でも、観たあとでとても静かで深い思いに満たされて、何度も好きなシーンを反芻しちゃうような、もう一度観たいと思わせられる映画。かなりお勧めです。

●『ナイロビの蜂』公式サイト

ナイロビの蜂〈上〉
ジョン ル・カレ John Le Carr´e 加賀山 卓朗 / 集英社


ナイロビの蜂〈下〉
ジョン ル・カレ John Le Carr´e 加賀山 卓朗 / 集英社
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by nao_tya | 2006-05-22 23:44 | 映画感想etc.
〔ストーリー〕
 ヴァンパイア一族の長老ヴィクター (ビル・ナイ) を倒したセリーン (ケイト・ベッキンセール) は唯一の味方でヴァンパイアとライカン (狼男) の混血種となったマイケル (スコット・スピードマン) とともに一族から追われる身となってしまった。最後に残った長老マーカス (トニー・カラン) を目覚めさせ、申し開きをしようと考えたセリーンだが、マーカスはライカンの血を受けて混血種としてすでに覚醒してしまっていた…。


原題:UNDERWORLD:EVOLUTION
監督:レン・ワイズマン
脚本:ダニー・マクブライド
出演:ケイト・ベッキンセール、スコット・スピードマン

 ヴァンパイア一族と狼男・ライカン一族の抗争から始まり、彼らの確執の原点が明かされたのが『アンダーワールド』。その続編『アンダーワールド:エボリューション』では、ヴァンパイアとライカン、それぞれの始祖まで話が遡ります。
 ストーリーは前作の終了直後からスタート。しかし観てるこっちには3年の空白期間があるわけで、前作は観たものの細かな部分の記憶はおぼろな状態。大丈夫かな~? と思ってたんですが、最初にこれまでの経過の簡単な説明がモノローグで入ったり、フラッシュバッグで前作の映像が挿入されるたりするので、眠っていた記憶が掘り起こされて無事に「アンダーワールド」へ入っていくことができました。ただ前作を観てないとこれだけの情報で話についていくのはしんどいかもしれません。
 実を云いますと、『アンダーワールド』は映像はキレイだけど話がわかりにくくて、はっきりいってそこまでおもしろいとは思えませんでした。でも、『アンダーワールド:エボリューション』は続編だから観とくか~、くらいの軽い気持ちで観たのが良かったのか、予想よりずっと楽しめました!
 ケイト・ベッキンセール扮するセリーンは前作から引き続き、身体にぴったりフィットしたレザースーツがとってもお似合いでカッコイイです。前より一層美しく撮られているのは、やはり旦那さまとなったワイズマン監督の愛でしょーか!? 
 ゴシックホラーの世界観を出すぞー! という意気込みからか、前作ではわけのわからんヴァンパイアたちの乱痴気騒ぎが出てきたりしていたのが、今回はそういう枝葉がすっきり処理されて、脚本や登場人物が整理されてるのもいい感じです。ただマイケル (スコット・スピードマン) とセリーンのラヴシーンがあんなに長い必要はなかったんじゃないかなぁ。モザイクっていうかモヤまでかかってるし。あそこはちょっと唐突すぎやしませんか、監督??
 そして映像は相変わらずスタイリッシュ。青を基調にした暗い画面ばかりですが見辛いってことはなく、とてもキレイです。それに暗くてひんやりした映像が続くからこそ、ラストの朝日の暖色が印象に残るのではないかと思います。
 アクションシーンは大人数でぶつかる戦闘シーンが前に比べて少なくなった気がしますが、グロいシーンがあまり好きじゃないわたしにとってはこれがちょうどいいくらい。ヘリコプターの墜落シーンなど、前作より派手さは増してる気もするし。それになんといってもヴァンパイアの長老マーカス (トニー・カラン) もマイケルもヴァンパイアとライカンの混血種になっちゃってるから強いのなんの! どれだけどついても死なないので肉弾戦は迫力満点、豪快でございました。
 あと、回想シーンでヴィクター役のビル・ナイが出てくるのは予想してましたが、人類最初の不死者アレクサンデル・コルヴィナスとしてデレク・ジャコビが登場したのは嬉しい驚き! や~、わたしのなかで彼は最近めっきりカドフェル (@『修道士カドフェル』シリーズエリス・ピータース原作のミステリで、ドラマ化された。デレク・ジャコビは主役のカドフェルを演じてる) なので、最初はトンスラ (頭頂部だけ丸く剃った修道士独特の髪型) じゃないのに違和感が…(笑)。
 アレクサンデル自身は不死者でも、彼に付き従っている特殊部隊みたいな方たちは普通の人間なんですよね? 「手当てをさせてください」というセリフなど、アレクサンデルに忠節を尽くしてるのが短いシーンながら滲みでてきてて、想像をかきたてるものが~。彼らは代々アレクサンデルに仕えている一族とかそういうのなのかしらん、などと勝手に世界を広げておりました。
 いやだってアレクサンデルと息子たちの関係なんて、考えるだけでめちゃくちゃドラマチックじゃありませんか! もちろん双子の兄弟の絆の強さもオイシイ。パンフレットに掲載されていた品川四郎氏のエッセイによれば、次回作は『アンダーワールド』の前日譚らしいので、ここらへんもぜひストーリーのなかに上手く組み入れてほしいなぁ。無理? いやいやそうおしゃっらずに是非! (←誰に向かって??)
 なんだかずいぶん感想が横道にそれちゃいましたが、前作を観ていればけっこう楽しめます。感動とか深みではなく、スタイリッシュでカッコイイ映像を堪能することに的をしぼってどうぞ! という映画でした。
 あ、そうだ、忘れてた! 始祖であるマーカスや彼の弟ウィリアムを殺せば、すべてのヴァンパイアやライカンが死んでしまうという設定はどうなったのだ? あれはマーカスのブラフだったのか、それとも本当のことだったのか。そこは曖昧なまま終わってしまったのが気になります。ライカンとヴァンパイアは存在しなくなり、セリーンとマイケルという“新種”が新たなアンダーワールドを作っていくってことなんでしょうかね?

●『アンダーワールド:エボリューション』公式サイト

アンダーワールド スペシャル・エディション
/ ハピネット・ピクチャーズ
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by nao_tya | 2006-05-07 22:17 | 映画感想etc.

映画感想:SAW/ソウ

 せっかくのGWなのに予定がいろいろ入ってしまってちっとも映画館へ行けなかったので、6日(土曜日) は2本消化してきましたです。観たのは『アンダーワールド:エボリューション』『プロデューサーズ』
 全然テイストが違うものを抱き合わせたので印象が重なることもなく、どちらも楽しめました。おもしろかったです! しかし今回の感想は、家に帰ってから観た『SAW/ソウ』 (CATV録画) なのでした。また世間さまから周回遅れもはなはだしい鑑賞ですが、話題になっただけあってかなり強烈なインパクト。というか、なんちゅう後味の悪い映画なんだ~ッ!!!!

原題:SAW
監督:ジェームズ・ワン
脚本:リー・ワネル
出演:ケイリー・エルウィズ、リー・ワネル

〔ストーリー〕
 ふたりの男、ゴードン (ケイリー・エルウィズ) とアダム (リー・ワネル) が目覚めた場所は老朽化し薄汚れたバスルーム。ふたりは対角線上の壁に足首を頑丈な鎖でつながれて監禁されていた。手の届かない部屋の真ん中には拳銃で頭を撃ち抜かれた男の死体。彼らのポケットに入れられていたテープには、「6時までに目の前の男を殺すか、ふたりとも死ぬか」というメッセージ。バスルームに隠された手がかりを見つけ出し、ふたりは無事脱出できるのか? 一連のゲームを仕組んだ連続殺人犯“ジグソウ”とは何者なのか!?


 この映画に関しては、予告やポスターの映像からグロそうな印象が強くて、興味はあったのに大画面で観るのを躊躇してるうちに公開が終わってしまったという経緯が…。で、今回CATVで放映されたものを録画して観たわけですが、やっぱり予想どおりエゲツないというか、グロいシーンがちょこちょこありましたです。画面にはっきり映像として映るわけじゃないんだけど、フレームから外れたところで行われている行為を想像して気持ちわるくなるという感じ。
 ストーリーの展開はこっちの予想をことごとく外していってくれて、最後のオチにわたしは見事にハマりました。観終わった直後はまさに「してやられた!」という感覚で一杯になって、エンドロールを呆然と観ていたという。冷静になって最初から考えてみたらちゃんとオチがわかるヒントは与えられてるんだけど、時間の経過とともに極限状態に追い込まれていく男ふたりの精神状態に同化しちゃって、段々観てるこっちも冷静な判断力とか観察力がこそげとられていっちゃうんです。映画を観ながらこのオチに気付いた人はスゴイと思う!
 ヒントを頼りに隠されたアイテムを見つけて、そのたびに今度こそ脱出だ! と意気込む分、その道具が脱出にはつながらないことへの怒りや絶望感は大きく、焦燥感が募っていく。理性があればとてもできない行為へ突き進んでいっちゃうゴードンがひたすら怖かったです。
 そして、こういう陰惨なゲームを考えるジグソウの内に抱えた闇の深さにも背筋がゾ~ッ。「感謝を知らない人間に腹が立つ」というのが事件の動機として語られていますが、ジグソウだって“ある時点”まではそういう人間だったんじゃないの? って思うわけですよ。云ってみればこの事件はジグソウが自分の絶望を他人に八つ当たりして、しかも押し付けがましくお説教までしてるだけなんじゃないかと…。だけど、そういう理屈がまったく通じそうにないところが余計に恐怖心をあおるのでした。
 このエゲツなさゆえ、誰にでもお勧めするわけにいかないのが非常に残念。残酷描写に耐性のある人にはぜひ観ていただいて、「どうよ?」と感想を聞きたい映画です。感動を共にして語り合いたいというより、わたしが感じたショックをただ味わってもらいたいんだな。劇辛のスナック菓子を食べたとき、そこらにいる人に「食べてみて~っ!!」と云いたくなる気持ちによく似ている… (←わかりにく喩えだな)。最大のヒントは、「ジグソウは最前列がお好き」。これですね!
 それにしても、ラストの“ビックリ”を演出するためにすべてが用意されただろう映画なだけに、続編『SAW Ⅱ』があるというのが驚きです。1作目と同じくらいのインパクトが再現されるのか、柳の下に2匹目のドジョウとなるか? 観てはみたいけど、この後味の悪さはそうしょっちゅう味わいたいもんじゃありません。ちょっと時間をおいて忘れたころに挑戦したいと思います、ハイ。

●『SAW/ソウ』公式サイト

SAW ソウ DTSエディション
/ 角川エンタテインメント
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by nao_tya | 2006-05-06 23:24 | 映画感想etc.
 熱心なファンの間ではボイコット騒動まで起こっているらしい『007 カジノ・ロワイヤル』ですが、わたしは実は完成を楽しみにしてたりします。ボンド・シリーズに思い入れがあるとか、ましてや6代目ボンドとなったダニエル・クレイグのファンというわけでは全っ然なく (←ヒドイ/笑)、ひとえに今回の敵役にマッツ・ミケルセンがキャスティングされたから!
 マッツ・ミケルセンはデンマークではすごく有名で人気のある俳優さんだそうです。だがしかし、日本ではきっとまだ「誰それ?」と言われちゃうような無名に近いお人。かくいうわたしも彼の出演映画は『キング・アーサー』『しあわせな孤独』しか観たことがありません (そもそも日本では彼の出演作は数本しか観られない模様)。
 『キング・アーサー』のトリスタン役を観たときは、「この人なんだかヴィゴに似てるわね~、デンマークの人ってこういう顔だちの人が多いのかしらん?」くらいにしか思わなかったんですが、その後CATVで放映されていた『しあわせな孤独』のニルス先生が印象深かったのでございます。
 トリスタン役のときは長めの髪に無精髭だったのが、ニルス先生は髭もそり落とした短髪スタイル。ずいぶんこざっぱりした風貌に。で、自分の奥さんが引き起こした交通事故の被害者の婚約者に惹かれていく、ごく普通の男性という役がら。弱くてちょっとずるくて、でも優しいニルス先生はとても魅力的でした。
 前作の『カジノ・ロワイヤル』は観てないので、マッツが演じるボンドの敵役“Le Chiffre”がどんな男なのか予想もつかなかったところ、ネットをさまよって画像がアップされたサイトを発見。デンマークの地方紙に掲載されたものが流れてきたみたい。いやぁオッドアイ (それとも義眼?) がなんとも妖しく、しかも爬虫類系の酷薄・凶暴そうな雰囲気がにじみ出ております。ニルス先生との違いにかえって期待が膨らむってもんですわ~。

●画像掲載サイト『AIN'T IT COOL NEWS』
 トップページ → COOL NEWS → Saturday, April 15, 2006 のニュース
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by nao_tya | 2006-04-22 11:25 | 映画感想etc.
 関東から遅れること1ヶ月ちょい。ようやく関西でも公開の運びとなりましたので、昨日は張り切ってデイヴィッド・クローネンバーグ監督「ヒストリー・オブ・バイオレンス」を観てきましたよ~。張り切りすぎて上映時間の2時間半前に劇場に到着してましたがな。だって先着順でヴィゴ・モーテンセンマリア・ベロさんのサイン入り生写真プレゼントがあったんだもん! しかも整理番号は9番。てことは、わたしの前に8人もの猛者がいたってことです。や~、まだまだわたしも甘いなっ。
 しかし、1ヶ月は本当に長かった…。あまりのもどかしさに、週末に夜行バスで東京まで行って映画を観てトンボ帰りというアホな計画を、かなり真剣に検討してしまったくらいです。普段は関西在住であることに不自由を感じることなんて特段ないのですが、映画の公開時期や海外の俳優さん・監督さんの来日に関しては、関東 (というか都内) 在住の方々がうらやましくなりますな。

〔ストーリー〕
 アメリカの田舎町でダイナーを経営するトム (ヴィゴ・モーテンセン) は、弁護士の妻とふたりの子どもとともに平凡だが幸せな生活を送っていた。しかしある夜、閉店間際の店へ押し入ってきた強盗ふたりにトムが反撃し、従業員や客を救ったことですべてが変わっていく。
 事件がメディアに取り上げられ、一夜にしてヒーローになってしまったトム。その余波でダイナーも繁盛するなか、曰くありげな男たちが現われ、トムに親しげに「ジョーイ」と呼びかけてきた。人違いだと否定するトムだが、男たちはそれから執拗にトムたち家族につきまとい始めるのであった…。


 暴力描写がけっこうキツイというようなことをチラホラ聞いていたので、かなり覚悟して観にいったせいか思っていたほどグロさは感じませんでした。これならリピーターになれそう (←なるのか!?)。いや、「銃で頭を吹っ飛ばされるとこんな風になるのか、うげげっ!」くらいは思いましたけれども、むしろどんな理由であれ、暴力によって引き起こされる結果というのは残酷で惨いものなんだということを、ごくごく冷静に目の前に提示され、こちらも冷静に受け止めたって感じです。必要以上に誇張もしていないし、矮小化もしていない。
 ストーリー自体はいたってシンプル。平凡な暮らしをしていた男には実は後ろ暗い過去があって、とある事件をきっかけにその隠していた暗部がひきずり出されてくる、という。とっかかりだけ聞くと、「あー、あるね、そういう話!」とそれだけでラストまでわかってしまうような気のするお話ですな。でも観終わったあとの感想はというと、うーん、なんとも言葉にしづらいものが~。爽快感なんてもちろんないし、希望があるともいいがたい。かといって理不尽さに怒りを覚える悲惨なエンディングということでもないし。ひたすら後にひきずって、何度も何度も頭のなかで「映画のあと」のことを考えちゃうような、自分のなかに整理しきれないものを残す映画でありました。
 ただ、この映画のトムほどではないけれど、誰のなかにでも暴力の芽はあるということ、芽吹いた暴力が犯罪と呼ばれるか正義と呼ばれるかは、実はささいな違いでしかないってことをガツンと突きつけられた気分です。だってトムが過去になにをしてきたか具体的なことは一切不明なんだから、もしかしたらリッチー (ウィリアム・ハート) やフォガティ (エド・ハリス) の行為にだって“正当な理由”があるってことも考えられなくはないわけですよ。
 ほとんどの人が暴力を奮うことには嫌悪感を示すし、奮われることには抵抗しようとするでしょう。みなが暴力がイヤなのにそれでも暴力がなくならないのは、結局その暴力が行われた背景を考えて可・不可のラベルをつけようとするからなのかも…。肯定される暴力と否定される暴力の違いは? なんてことをゴチャゴチャ考えてしまいました。
 役者さんたちは子役も含めてみんなすごーく良かった! 特に妻のエディ役のマリア・ベロさん。自分の最も身近で信頼する存在だと考えていた夫に、まったく想像したこともなかった一面があることを知ったときの混乱や恐怖、怒り、拒絶。でもやっぱり残っている相手に対する愛情。複雑でこんぐらがった内面がこちらに迫ってきます。そしてやっぱり考えてしまうのは、もしこれが自分だったら? ということ。戻ってきたトムを受け入れることができるのか。受け入れたいと思って努力しても結局ダメで、それこそ決定的な破局を迎えてしまいそうな予感はするけど、でもでも…、と堂々巡りな葛藤が渦巻いて結論は簡単に出そうにありません。
 そしてヴィゴ演じるトム。普通の旦那さんでお父さんをしているヴィゴを観るのは、これが初めてかも。しっかり者の奥さんに主導権を握られがちで、でもそういう自分に特に不満もなく穏やかな生活を楽しんでいる男が、タメもなくそれこそ一瞬で切り替わって爆発的な暴力を奮う。そうやって敵を倒した次の瞬間、またフ、と緊張がとけて素 (?) に戻る。この落差とかスピード感に胃のあたりをギュギュッとつかまれるような心持ちがしました。
 開放的で明るい日差しのなかにいたトムが、ストーリーが進むにつれ、どんどん薄暗く狭い場所に行ってしまい、ヴィゴの深い眼窩やそげた頬に影が落ちて、ちょっと怖いような冷たい雰囲気が前面に出てくると、前半と後半では受ける印象がまるで変わってしまうのもすごい。そしてどんなショットもヴィゴ・スキーのわたしのツボを直撃してきて、もうもう「ありがとう、クローネンバーグ監督!」と監督のいるカナダにむかって万歳三唱したい気分に(笑)。クローネンバーグ監督の映画は4、5作しか観ていませんが、いずれも男優さんが美しく撮られているのがスバラシイ!
 とにかく、はむちゅうさんがおっしゃっていた「いい映画かどうかはともかくとしてスゴイ映画」という言葉が、観たことで実感できたのでありました。観るたびに解釈も違ってくるし新たに気づくことがありそう。うーん、本気でリピーターになるやもしれません。少なくともDVDは発売が決まったら即予約! 勢いあまって海外版にまで手を出しそうな勢いです…。

●「ヒストリー・オブ・バイオレンス」公式サイト

●原作のグラフィックノベル
ヒストリー・オブ・バイオレンス
ジョン・ワグナー ヴィンス・ロック 石川 裕人 / 小学館プロダクション
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by nao_tya | 2006-04-16 18:09 | 映画感想etc.
 4月1日に観た映画はシャーリーズ・セロン主演の『イーオン・フラックス』。全然おもしろくなかったわけでもないのですが、なんとな~く“薄味”っていう言葉が一番しっくりくるような映画でありました。

〔ストーリー〕
 2011年、品種改良の過程で発生したウィルスにより人類の98%が死滅するが、科学者 トレバー・グッドチャイルドが発見したワクチンにより、人類滅亡の危機からは脱することができた。
 以来400年、生き残った人々は外界と壁で隔てられた人類最後の都市ブレーニャに居住。そこは科学が発展し、人々は病気や飢えや戦争から解放され、完璧なユートピアを思わせる社会が構築されたかに思われた。
 しかし現実は、救世主グッドチャイルドの子孫と科学者たちで成り立つ政府がすべてを管理し、忽然と人間が姿を消す事件が相次いでも人々は沈黙を強いられているのであった。
 “モニカン”は、そんな政府に疑問を持ち、反政府活動をおこなう組織。モニカンの一員であり優れた戦士でもあるイーオン (シャーリーズ・セロン) は、唯一の家族であるユナを政府に殺されたことから一層政府への憎しみを募らせていた。
 そこへモニカンの司令塔ハンドラーから君主トレバー8世を暗殺せよとの命令が下り…。


 まず、科学が発展しなにもかもが整備された未来都市、というヴィジュアルはけっこうわたしの好みでした。ドイツのベルリンとポツダムにある建築物やお庭が色々使われているそうなんですが、ひどく無機的で、2006年の現在に実際にある場所なんだという感じがしなかったです。
 あとシャーリーズ演じるイーオンの未来ファッションがまさに「露出ギリギリ」って感じで、スタイルが良くなければぜーったい着こなせない、身体の線もあらわなものばかり。なかなか目の刺激&保養でありました。特にイーオンが寝ているときに身に着けている衣装がスゴイ。もうアレはほとんど服とはいえない、どんなデザインやねん! と突っ込みたくなるくらいのきわどさ(笑)。原作のMTVのアニメーションは観たことがないのですが、ヴィジュアル的にどこらへんまで原作に忠実なんでしょうかね? 少なくともイーオンのヘアスタイルはショートの黒髪なんだろうけど。アニメのほうがもっと過激できわどい格好だったりしてな~。
 アクションシーンも、シャーリーズは元バレリーナだけあって柔軟性があるし、高身長なのでけっこうサマになってたんじゃないでしょーか。ただ、これは他の映画のアクションシーンを観ていてもわたしの場合は同じなんですが、動きが早すぎていったいなにをどうしてどうなったから敵が倒れたのかサッパリわからん、というところは多々あったわけですが。
 こんな具合に映像的にはほどほどだったのに、どうにも“薄味”に感じてしまうのは、やっぱりストーリーが弱いからではないかと…。「完璧なユートピアと見える未来社会が実は!」という展開には目新しさや意外性はなかったし、かといってキャラクターが深く掘り下げられているわけでもないので、なんだかひどく薄っぺらい印象しか残らないんですよね~。
 主演のシャーリーズだけじゃなく、ハンドラー役のフランシス・マクドーマンド、キーパー役のピート・ポスルスウェイト、シサンドラ役のソフィー・オコネドーと、個性的な役者さんたちがぞろぞろ出演しているのになんとももったいない使われ方で、あまりにも残念な映画になっちゃっていたと思います。
 この映画は、シャーリーズが『モンスター』でアカデミー賞をとる前に出演契約していた映画だそうです。今後彼女がこういう露出度の高い映画に出演するかはかなり怪しいので、彼女のセクシーなファッション、初のアクションシーンを観られる映画として、シャーリーズ・セロンが好きななおちゃの評価は★★★ (星3つ。映画サービス・デイに観たらそれなりに満足)。もし彼女のファンじゃなかったら★☆ (星1つ半。レンタルで観るかTV放映を待つか微妙~) ってとこかな。うーん、やっぱり『白バラの祈り/ゾフィー・ショル、最期の日々』が観たかった…。

イーオン・フラックス 日本公式サイト
 
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by nao_tya | 2006-04-03 23:30 | 映画感想etc.