映画や本の感想アレコレ。ネタバレにはほとんど配慮してません。ご注意! 


by nao_tya
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映画感想:『スラムドッグ$ミリオネア』

〔ストーリー〕
 18歳の少年ジャマールはクイズ番組「クイズ$ミリオネア」に出演し、あと1問正解すれば番組史上最高の賞金を獲得できるところまできていた。しかしスラム出身で教育も受けてこなかったジャマールがここまで正解を重ねることができたのは、何らかの不正を働いていたに違いないと考えた番組司会者の通報により、ジャマールは警察に逮捕されてしまう。取調べのなかでジャマールはどうやって自分がクイズの正解を知ったのかについて話しだすのだが…。


原題:SLUMDOG MILLIONAIRE
監督:ダニー・ボイル
共同監督:ラヴリーン・タンダン
原作:ヴィカス・スワラップ
脚本:サイモン・ボーフォイ
出演:デヴ・パテル、マドゥル・ミッタル、フリーダ・ビント

 気がついたらそろそろ公開終了が近づいていそうだったので、ダニー・ボイル監督の映画『スラムドッグ$ミリオネア』を観にいってきました~。上映回数が減って1日2回しか上映してないせいもあるかもしれないんですが、観客の入りはそんなに悪くなかったですね。小学校高学年らしき男の子たち (10人弱くらい?) が連れ立ってきていたのが珍しかったです。ミニシアターの観客は年齢層高めだからかなり目立ってたなぁ。

 クイズ$ミリオネアというテレビ番組がイギリス生まれのもので、そのフォーマットがいろんな国で買われて、音楽や舞台セットなどはどれも共通の各国版クイズ$ミリオネアが放映されている、というのは知っていましたが、インドでも放映されていたというのがまず驚きでした。映画によると、インドのクイズ$ミリオネアの最高賞金は2000万ルピー。日本円に換算するとだいたい4000万円だそう。2000万ルピーってインドの貨幣価値からするととんでもない額のお金だろうから、これを獲得できれば確かに人生が変わるかもしれないですよね~。

 ゾンビも走らせる (@『28日後…』。正確にはゾンビじゃないんですけど/笑) ダニー・ボイル監督だけあって、映画は疾走感にあふれた勢いのあるパワフルな映画でした。オープニングからラストまで一気に駆け抜けていった感じ! 映画のなかでは3つの時間軸 (ジャマールが警察で尋問を受けているとき、クイズ$ミリオネアの収録時、彼の少年時代) が循環するようにして描かれていくんですが、時間を前後するごとに、ジャマールがなぜクイズの回答を知ることができたのかがひとつずつ明かされていきます。

 名前を知っている俳優さんはひとりとしていませんでしたが、そのぶん先入観なしに映画のなかへ入っていけた気がします。そして観終わったあとは、主要キャラクター3人 (ジャマール、ラティカ、サリーム) のことがとても愛おしく思えました。貧困のなかでも純粋さを失わず、初恋の相手へまっすぐに自分の思いをぶつけるジャマール、芯の強さとしなやかさを感じさせるラティカ、犯罪に手を染めながらも弟への愛情は残していたサリーム、みなが同じように愛おしい。最初はサリームのことは「なんてヤツ!」と腹立たしく思ってましたが、彼の狡猾さがなければ、もしかすると幼いジャマールはスラムでは生き抜いていけなかったかもしれないということ、そういう生き方しか選べなかったサリームの哀しさみたいなものを考えると、その腹立たしさも薄れてしまうのでした。

 最初にジャマールがどうやってクイズの答えを得たのかという謎から始まり、彼のこれまでの人生が語られるにつれ、徐々にラティカとのラヴロマンスへとシフトチェンジしていき、ボリウッド映画のような賑やかなダンスシーンで終わる物語は、最後にあたたかい希望を残してくれました。悲惨なスラムの状況さえも、たくましく活力にあふれた人々の生活を感じさせる映像で魅力的に切り取ってみせるので、インドの持つエネルギー、ダイナミズムがずんずんスクリーンをとおして伝わってきました! “運命”という言葉からはロマンティックなものを想像しがちですが、この映画は悲惨なもの、残酷なもの、光も影もすべてをひっくるめて運命というんだ、と伝えている気がします。あと、原作は映画とはまた違ったおもしろさがありそうなので、今度読んでみたいと思います!

●映画『スラムドッグ$ミリオネア』の公式サイトはコチラ

●映画の原作本
 『ぼくと1ルピーの神様
  ヴィカス・スワラップ (ランダムハウス講談社文庫)
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by nao_tya | 2009-06-01 21:42 | 映画感想etc.