映画感想:『天使と悪魔』
2009年 05月 29日
ハーバード大学の宗教象徴学者であるロバート・ラングドンのもとに、ヴァチカンから協力を求める使いがやってきた。ヴァチカンではローマ教皇が逝去し、新たな教皇を選出するコンクラーベがおこなわれようとしていたのだが、新教皇の最有力候補の枢機卿4人が秘密結社イルミナティに誘拐されたというのである。イルミナティは1時間ごとに枢機卿を殺害し、ヴァチカンそのものも爆破すると予告。イルミナティはスイスのCERN (欧州原子核研究機構) から強力な破壊兵器にもなる反物質を盗み出していた。ヴァチカンにやってきたラングドンはCERNの科学者ヴィットリアとともに事件解決に奔走することになるのだが…。
原題:ANGELS & DEMONS
監督:ロン・ハワード
原作:ダン・ブラウン
脚本:デヴィッド・コープ、アキヴァ・ゴールズマン
出演:トム・ハンクス、アイェレット・ゾラー、ユアン・マクレガー
ようやく神戸も新型インフルエンザについてひとまず安心宣言が出ましたね~。毎日マスクして出勤するのにいい加減うんざりしていたので素直にうれしい(笑)。で、さすがに感染者が増えつつあったときには、映画館という閉鎖空間に出かけるのもな…、と先延ばしにしていた映画を観てきました! 観たのはロン・ハワード監督の『天使と悪魔』です。『ダ・ヴィンチ・コード』の続編ですね (原作は『天使と悪魔』のほうが先に出版されてますけど)。
実は、前作の『ダ・ヴィンチ・コード』がわたしとしては微妙な評価だったので (謎ときの展開が早いわりにはヘンな中だるみがあって、人物の掘り下げがイマイチ)、『天使と悪魔』にはさほど食指をそそられておりませんでした。んがしかーし! カメルレンゴを演じるのがユアン・マクレガーと知ってからは観にいく気ムンムンになってました(笑)。主役をはるトム・ハンクスにはあまり興味がないけど (←ひどい/笑)、ちょっと映画情報を観てみたら、ステラン・スカルスガルドやアーミン・ミューラー=スタールも出演してるし、脇役がわたし好みなのもイイ!
観た感想はと云いますと、前作の『ダ・ヴィンチ・コード』よりはずっとおもしろかったです~。ハリウッド映画らしくアクションに重点がおかれていて、謎解きの部分は「これまで何百年も謎のままだったことがこんなに次々明かされるって…」と呆れるくらいどんどこ進んでしまうのは相変わらず。でも、ラングドンがとにかくしゃべりつづけて説明してくれるし、道筋がすっきり整理されていてわかりやすかった。前作のように前知識がないとついていけないってことはないと思います。あと、ローマの街やヴァチカン (これはロケ許可が下りなかったろうからセットや代替地?) の風景が重厚だったり壮大だったりと、すごく見ごたえがあって映像面も堪能できます。なんていうか旅行にいきたくなってしまう映画ですな!
謎解きのせわしなさも、今回は教皇候補の枢機卿たちが殺されるまでの時間が決められており、タイムリミットまでの時間のなさを強調するようで、全体的に映画にスピード感を与える効果があったのかもしれません。ラングドン教授があっちだ、こっちだとローマの街を休む暇もなく駈けずりまわるのに引きずられるようにしているうちに2時間半が経っちゃった感じ。
そしてお目当てのカメルレンゴ役、ユアン・マクレガーはひいき目バリバリは承知のうえで良かったと思うなぁ♪ カメルレンゴは多面性を持つ複雑なキャラクターですが、ユアンが演じることでより魅力的になった気がします。禁欲的な、裾の長い神父さんの服装がユアンによく似合ってたし。こういう裾の長いずるずるした衣装がなぜか決まる人なんですね (←スターウォーズとか/笑)。システィーナ礼拝堂でコンクラーベの出席者たちを前に、カメルレンゴが宗教と科学について語りかけるシーンなんてかなり感動的でした。普段はぴったりと7:3に分けている髪の毛が、終盤のサン・ピエトロ広場で群集をかきわけていくシーンで乱れているところとか、ちょっとドキドキしてしまいましたわ~(笑)。
ステラン・スカルスガルドは原作よりや出番が少なくて、やや印象がうすかったかも。もっとあの怖いお顔で怪しさ満点に出てきていたら、もう少しカメルレンゴとの対決シーンがおもしろくなったんじゃないかなぁ。アーミン・ミューラー=スタールは相変わらず独特の雰囲気をかもし出してました。東ドイツ出身の俳優さんなので、ちょっと訥々とした感じになる英語のセリフに自然に耳が引き寄せられる感じ。善良そうなおじいちゃん、腹黒い悪人、どちらでもOKなところがあるので、(原作を読んでなければ) けっこう惑わされていたかもしれません。
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●映画の原作本 (文庫)
『天使と悪魔 (上巻)』
『天使と悪魔 (中巻)』
『天使と悪魔 (下巻)』
ダン・ブラウン (角川文庫)