映画や本の感想アレコレ。ネタバレにはほとんど配慮してません。ご注意! 


by nao_tya
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映画感想:『永遠のこどもたち』

〔ストーリー〕
 海辺に建つ孤児院で幼少時代を過ごしたラウラ。養女となって孤児院を出たラウラは、30年後に閉鎖されていた孤児院を買い取った。医師の夫と7歳の息子シモンとともに移り住んだラウラは、障害を持つ子どもたちのための施設として孤児院を再建する予定で準備を進めていた。ところが、入所希望者たちを集めたパーティのさなか、シモンが忽然と姿を消してしまい…。


原題:EL ORFANATO
監督:J.A.バヨナ
脚本:セルヒオ・G・サンチェス
出演:ベレン・ルエダ、フェルナンド・カヨ、ロジェール・プリンセプ

 1月に入ってからミニシアター系の映画をあまり観てないな~と思い、映画情報をチェックしたときにひっかかったのがJ.A.バヨナ監督の『永遠のこどもたち』。スペインのホラー(?)映画です。宣伝なんかでは、バヨナ監督より名前のとおりがいいギレルモ・デル・トロが製作総指揮だってことが前に出てきてますね(笑)。アメリカでは製作資金を集めてくるプロデューサーのほうが、監督より映画の内容について発言権があるようですが、スペインではどんな感じなんでしょう??

 さてさて、映画そのものの感想はといいますと、おもしろかったしコワかったし切なかった~ッ。コワさという点では、どちらかというとヴィジュアルとか音とかでショックを与えて、瞬間・瞬間を怖がらせるタイプのホラーだったかと思います。後から思い返してゾ~ッという、背中のもぞもぞするような薄気味悪さじゃなかったので、怖がりのわたし的にはかなり気が楽でした。孤児院だった建物とか海辺の洞窟とか、ロケーションもほの暗い雰囲気をたたえていて良かったです。

 物語としては、母親の子どもに対する深い愛情と、そこから生まれてくる強さが丁寧に描かれていて、“これでいいの??”というやるせなさやもどかしさ、哀しみもあるんだけど、それとともに不思議な感動を覚えるラストになっておりました。行方不明になった子どもを母親が懸命にとりもどそうとするホラー系の映画というと、『サイレントヒル』とか『ザ・ダーク』なんかを思い出すんですが (これ、どちらもショーンB出演作ですな。後者はちょっとマイナーですが/笑)、おもしろさと感動の度合いからいくと、この『永遠のこどもたち』のほうが圧倒的に上だと思いました!

 母親のラウラを演じたベレン・ルエダがとにかく素晴らしかった~。行方不明になるシモンっていうのは実はラウラ夫妻とは血のつながりのない養子。でもそんなことは関係なしに彼女は無限の愛情をシモンに注いでいるのですね。シモンを探し求める彼女は正気と狂気の境界に立っているようで非常に不安定でもろくも見えるし、自分とシモンの間にある障害をものともしない強さを感じさせもしました。

 あと映画本編とは関係ないのですが、霊媒師役で登場する女優さん、チャップリンの娘さん (ジェラルディン・チャップリン) だそうで。云われてみれば、目のあたりとか似てるような気もしなくはない…? 周りから理解を得ることができず、孤立した状態になってしまったラウラに助言を与える彼女は、伸びた背筋と憂いを秘めた目がとてもステキでした。

 しかし、親と子どものきずなというと、どうしても“母と子”の組合せになってしまい、父親が疎外されちゃうんですね~。もちろん母性愛というのはとても強いものだと思いますが、映画のなかで描かれる母性愛には、いくばくか男性の抱く幻想が入り込んでいるような気がしなくもなかったり(笑)。なにより、母子のつながりの深さに太刀打ちできず、現実にひとり取り残されちゃう父親がちょっとかわいそうな気もするのでありました。

●映画『永遠のこどもたち』の公式サイトはコチラ
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by nao_tya | 2009-01-26 14:21 | 映画感想etc.