映画や本の感想アレコレ。ネタバレにはほとんど配慮してません。ご注意! 


by nao_tya
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映画感想:『西の魔女が死んだ』

〔ストーリー〕
 中学校へ入学して間もなく、中学へ通うことが苦痛になってしまったまいは、母親の提案でしばらくの間母方の祖母の元で過ごすことになった。イギリス人であるおばあちゃんは、まいに自分の家系には魔女の血が流れているという。自分も魔女になれるかと問うまいに、おばあちゃんは魔女修行を始めるのだが…。


監督:長崎俊一
原作:梨木香歩
脚本:矢沢由美、長崎俊一
出演:サチ・パーカー、高橋真悠、りょう

 『RYU-RYU』さんでランチを食べる前に観ていた映画というのは、長崎俊一監督の『西の魔女が死んだ』でした。友人のT子ちゃんにお勧めされて、原作である梨木香歩さんの小説『西の魔女が死んだ』を読んだのは、もう数年前になると思います。“西の魔女”と聞いて最初に思い浮かんだのは「オズの魔法使い」に登場する悪い魔女だったので、どんなコワイおばあちゃんが登場するのかと思って読み始めたらまったく予想外のお話! そして、最後まで読み終えたときの、哀しくて切ないんだけどそれを包み込むほんのりとあたたかい、ふわふわしたものも残る心地は今でも忘れられません。それ以来梨木さんのファンになって、ほかの著作もいろいろ読んできました。

 そうやって思い入れがある分、映画化されたと知っても原作のイメージが壊されてるんじゃなかろうかと、観にいくのをずいぶん迷ってしまうことに…。6月に封切られてから8月半ばまで公開が続いているので、けっこう評判がいいんだな~と、ようやく重い腰をあげて観にいってきたわけです。

 わたしのなかのイメージでは、おばあちゃん (西の魔女) はターシャ・テューダーさん (アメリカの絵本作家さんで、50代半ばから19世紀ごろのスローライフを送っていらした人。先ごろ92歳でお亡くなりになられました…) に重なってしょうがなかったんですが、演じていたサチ・パーカーさんが本当に素晴らしくて、わたしのイメージを裏切らないおばあちゃんぶり(?)。物語の世界とまったく違和感なくなじんでて、この方をキャスティングしたのはすごい慧眼だと思いましたです。なめらかで、でもやはりどこか日本人とは違う発音の日本語で、一語一語ゆったりと語りかけてくるおばあちゃんのお話は、聞いてる側が思わず耳をかたむけてしまう不思議な力があるみたい。

 緑ゆたかな自然のなかで、ひとつひとつの家事をおろそかにせず楽しんで、毎日を規則正しく丁寧に生きていけば、知らず心身ともに元気を取り戻していく。映画のなかで描かれる“魔女修行”というのはこういうものです。具体的に言葉にするとなんだか気恥ずかしいくらい基本的で当たり前のことですよね。それを改めて大真面目に語られたりすると、くすぐったさが高じてかえって反発したくなったりするものですが、この映画の世界はどこかファンタジックで幻想的なものなので、説教くささがあまり感じられず、おばあちゃんとまいの生活の良さが素直に心のなかに入り込んでくる気がしました。自分をふりかえってみると、まったく実践できてないことばかりで「とほほ…」っていう気分になってしまうんだけども(笑)。

 まいとおばあちゃんの関係に、その存在でひずみをもたらすことになるゲンジさんを演じた木村祐一さんもなかなか良かったです。なにも云わなくとももうそこに立っているだけで胡散臭くて(笑)、まいにとって居心地の良い夢のような世界に乱入してきた異物という感じがよく出てたんじゃないかな~。

 最後のおばあちゃんのメッセージが本当に魔法によるものなのか・そうでないのかは、観る人の受け止め方次第だと思います。わたしとしては多分まいが最初は見落としていただけだと考えちゃうわけですが、たとえそうであったとしてもおばあちゃんのまいに対する愛情の深さがを胸をうって、鼻の奥がツ~ンとするような気持ちになってしまいました (原作でこのシーンを読んだときは本当に泣いてしまった…)。

 映画のエンドロールに流れる手嶌葵さんの歌も映画の雰囲気にぴったりよりそっていて、観たあとにはゆったりとしたやわらかい気持ちになれる映画で、わたしはすごく良かったと思います。疲れたときにもう一度観てみたいな~。

●映画『西の魔女が死んだ』の公式サイトはコチラ

●映画が撮影された清里で、おばあちゃんの家のロケセットが公開中のようです。
 詳しくはコチラへ。

●映画の原作本
西の魔女が死んだ
 梨木香歩 (新潮文庫)
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by nao_tya | 2008-08-15 12:25 | 映画感想etc.