映画感想:『ハプニング』
2008年 08月 04日
いつもと変わらぬ朝を迎えたニューヨークのセントラルパークで異変が始まった。園内の人間が突然動きを止め、やがて次々と自ら命を絶ってしまったのだった。異変は園の外でも起こり始めるが原因はわからない。フィラデルフィアで科学の高校教師をしているエリオットは生徒たちを帰宅させ、同僚のジュリアンの誘いを受けて彼の母親が住む安全と思われる場所へ避難することにした。妻のアルマとともに駅で娘を連れたジュリアンと合流したエリオットは電車で目的地へ向かうのだが…。
原題:THE HAPPENING
監督:M・ナイト・シャマラン
脚本:M・ナイト・シャマラン
出演:マーク・ウォルバーグ、ズーイー・デシャネル、ジョン・レグイザモ
乳腺科の細胞診の結果を聞きにいく前に、時間が中途半端にあったので映画を観にいってました。観たのはM・ナイト・シャマラン監督の『ハプニング』。どうもこの監督の映画は、『シックス・センス』の印象があんまりにも鮮やかすぎて、以降の作品 (全部観てるわけじゃないんですが) の感想がイマイチになってしまいがちです。
今回の『ハプニング』は、前に観た『ヴィレッジ』よりはおもしろくて、『シックス・センス』よりはぐっと下って感じだったかな~。シャマラン監督の映画は“どんでん返し”を警戒しながら観てしまうんですが、『ハプニング』はずいぶんストレートな展開の物語でした。異変が起こりはじめてからしばらくの間、人がバタバタ死んでいく様子はとにかく強烈なインパクト! さっきまで普段と変わりない時間が流れていたはずなのに、なにがきっかけなのか不明のまま、いきなり周囲で人が無造作に大量に死んでいく様を淡々と描いていて、すごい恐怖感をあおられました。
ただ、この恐怖感や緊張感は映画の最後までは続かず、“多分こうであろう”という原因を主人公のエリオットが推測してしまうと、以降はなんとなく尻つぼみになってしまった印象はありましたな。そのかわり、ちょっと偏屈で不気味なおばあさんが登場して、違うスリルを味わうことはできたんですが…。
あと、原因 (らしきもの) がわかってもひとりの人間には解決しようもないことなので、エリオットたちはひたすら安全な場所を求めて逃げるだけ。別にそのこと自体がおかしいわけじゃないんですが、エリオットを演じてるマーク・ウォルバーグがそもそもタフガイのイメージがある役者さんだということもあって、もう少し違う展開 (なんらかの形で戦って防御する方法を見つけるとか) を期待してしまったんですよね~。それにエリオットの妻であるアルマが「彼は決してあきらめない人なの」と云っていたわりに、↑の偏屈なおばあさんの家でエリオットがとった行動はどーなんだ、と思わないでもない。
しかしまぁ人間が地球や自然に与えつづけてきたダメージの反動が、密やかにわたしたちの背後に迫っているのかもしれない、終末はすぐそこまできているのかもしれないという警告や、追い詰められた状況のなかでの夫婦とか家族の愛情なんかは伝わってきました。ただ、全体的に出した問題に解答を与える気は最初からないんだろうな~という、どうも投げ出されたような中途半端な印象があって、消化不良な気分のまま映画が終わっちゃった感じでした。別に退屈したわけでもつまらかったわけでもないのに、なんなんだ、この納得できない感は~(笑)。
●映画『ハプニング』の公式サイトはコチラ。