映画や本の感想アレコレ。ネタバレにはほとんど配慮してません。ご注意! 


by nao_tya
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映画感想:『大いなる陰謀』

〔ストーリー〕
 ワシントンD.C.午前10時。アーヴィング上院議員に呼び出されたジャーナリストのジャニーンは、アーヴィングからアフガニスタンで新たに展開させる対テロ作戦に関する情報をリークされる。同日のカリフォルニア午前7時。カリフォルニア大学のマレー教授は、才能がありながらやる気を見せない学生のトッドを自分のオフィスへ呼び出し、かつての教え子について語りだした。同日のアフガニスタン午前6時半。マレー教授のかつての教え子、アーネストとアーリアンは志願兵として陸軍に入隊し、アーヴィングが提案した作戦のブリーフィングを受けていた。


原題:LIONS FOR LAMBS
監督:ロバート・レッドフォード
脚本:マシュー・マイケル・カーナハン
出演:ロバート・レッドフォード、メリル・ストリープ、トム・クルーズ

 ようやく暖かくなってきたのと同時に頭の中身がぽややんとした状態になり、なんとな~く文章を考えるのがめんどうくさくて、ブログの更新をサボっておりました(笑)。そんなときに観たのがロバート・レッドフォード監督の『大いなる陰謀』。ぼやけた頭で観るにはちょいとヘヴィーな映画でありましたことよ…。

 大きな戦争が始まる前や戦争が始まった当初は、「アメリカが世界のリーダー」、「アメリカが世界の救世主」という“アメリカ万歳!”な映画がガンガン製作されて、しばらく経つと「やっぱり戦争は良くない」、「正義の戦争という名前の裏側ではこんなことが…」という反省映画が作られるハリウッド映画。この『大いなる陰謀』もそういう反省映画の1本と云えると思います。

 ただ、『大いなる陰謀』は911テロ以降のアメリカの行動をただ高飛車に批判するんじゃなくて、批判をする自分が逆に批判されることも自覚している、痛みを感じている映画なんじゃないかとわたしは思いました。2008年はアメリカ大統領選挙の年だし、民主党寄りの“プロパガンダ映画”だと云われるのもわかりますが (最後に出てくる「VOTE」とかはかなり露骨だ…)、アメリカで政治的な映画を作る人って、自分がどういった政党を支持しているかなど、自分の政治的立場をはっきり主張するし、完全に公正な視点から描くのってやはり難しいだろうから、しょうがないかな~とも思います。要は観る側がそういった製作側の主張を承知したうえで観て、自分で判断する冷静さを持つ必要があるってことなんじゃないかしら。

 で、肝心の映画の内容について。邦題や予告編から、観るまではトム・クルーズ扮するアーヴィング上院議員が企んだ陰謀を、メリル・ストリープ扮する40年選手のジャーナリスト、ジャニーンが暴いていくサスペンス劇を想像していたのです。ところが実際観てみると、サスペンス色はまったくなくて、ただひたすら会話・会話・会話が続く会話劇でありました! 膨大なセリフの量で字幕を追いかけるのがちょっとしんどいくらい。でもきっと字幕で訳しきれてない部分がいっぱいあると思うなぁ。こういう映画こそ吹替え版がほしいですよ。DVDになったら吹替え版も入れてくれることを希望しますです (←ヒアリング力を高める気力はない/笑)。

 会話劇といっても機知に富んだセリフの応酬で緊迫感のある会話が続くので、退屈するようなことはありませんでした。特にアーヴィングとジャニーンのやり取りはすごい迫力~。ベテランのジャーナリスト役のメリル・ストリープのどっしり落ち着いた貫禄に負けないトム・クルーズがすごく良かったですよ。白い歯キラリの笑顔がさわやかなのに、さわやか過ぎてなんだか胡散臭さがただよう上院議員がまさにトム・クルーズのハマリ役! この役は彼以外には考えられん! アーヴィングは政治的野心から事態の悪化を引き起こすわけですが、アーヴィングにはアーヴィングなりの野心以外に信念があることをちゃんと感じさせてくれました。

 無気力な学生がもしかしたらそこから抜けだすかも? ということを示唆しつつも、映画のなかではなにかひとつの結論が出るということもなく、「あなたはどうしますか?」という問いを投げかけて映画は終わってしまいます。アメリカの政治を扱った映画ではあるけれど、無関心こそが罪であるということ、決断には責任が伴うということがしっかり伝わってきて、観たあとはやっぱり色々と考えさせられる映画でありました。

 が、そこで自分が今からなんらかの行動に出るのかと云われると、「いったい自分にナニができるっていうの?」と、やっぱり二の足踏んじゃうところがありますねぇ。とりあえず選挙にはちゃんと投票しにいこうと思いますけど! うーん、全体的に映画的なおもしろさより、すごくためになる良い講義を聞いたな~って気分にさせられる映画でありました。

●映画『大いなる陰謀』の公式サイトはコチラ
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by nao_tya | 2008-05-02 23:06 | 映画感想etc.