映画や本の感想アレコレ。ネタバレにはほとんど配慮してません。ご注意! 


by nao_tya
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映画感想:『SLEUTH スルース』

〔ストーリー〕
 初老のベストセラー推理小説家アンドリュー・ワイクの屋敷へ若い男マイロ・ティンドルが訪ねてくる。ティンドルは売れない俳優で、ワイクの妻マギーの浮気相手。ティンドルはワイクにマギーとの離婚を承諾するよう交渉しにきたのだった。そんなティンドルにワイクは奇妙な提案を持ちかけるのだが…。


原題:SLEUTH
監督:ケネス・ブラナー
原作戯曲:アンソニー・シェーファー
脚本:ハロルド・ピンター
出演:マイケル・ケイン、ジュード・ロウ

 土曜出勤の帰り、映画『SLEUTH スルース』を観てきました! 関東圏からひと月ほど遅れて、ようやく関西でも上映が始まったのです♪ 監督がケネス・ブラナーで、ほぼマイケル・ケインとジュード・ロウの二人芝居の映画と聞いて、前々から楽しみにしていたのです。この『スルース』はアンソニー・シェーファーの舞台劇が原作で、一度1972年に映画化されていますが (『探偵 スルース』)、わたしは舞台もオリジナルの映画も未見です。

 物語の舞台はワイクの屋敷。見た目は古めかしい家ですが、一歩なかに入るとリモコンひとつで様々な操作が可能なハイテク屋敷でありました。なかの調度もデザイン重視のおしゃれ~でモダンなものばかり。あまりにもスタイリッシュで洗練されすぎてて、わたしなんかは落ち着かないような無機質な内装です(笑)。で、そのなかでワイクとティンドルが火花を散らして対決するわけですな。

 舞台はワイクの屋敷に限定されており、空間の広がりというものはあまり感じられない映画ですが、熱のこもったふたりのかけあいが濃密な空気を生み出して、まったくその狭さが気になりません。

 最初は紳士的にふるまっていたワイクが、次第にその高慢でネチッこい本性を明らかにしてティンドルに対せば、ティンドルも野卑で粗野な面をあらわにワイクに対抗していきます。このふたりのやりとりは本当に緊張感があってスリリング! 意地とプライドがぶつかりあいます。ワイクの言葉に巧みに乗せられて、大恥をかいたティンドルが逆襲するところなんてワクワクしちゃいましたよ~。

 最初はひとりの女性を真ん中に互いに嫉妬心や敵愾心を燃やしていたふたりなのに、話が進むにつれて肝心の女性のことは置き去りになっちゃって、とにかく自分が優位に立つこと、相手に屈辱を与えることに熱中しちゃうあたりがなんだかオカシイ。ワイクの仕掛けたゲームでティンドルは恥をかいたわけだけど、それ以前にワイクはティンドルに奥さんを寝取られてるわけで、プライドを傷つけられると、女性より男性のほうがよりそのことを根に持つってことなのかもしれませんね~。

 ティンドルの言葉を借りるなら、第1、第2セットは前作と同じ、第3セットはかなり変更が加えられているそうです。前作を観ていないのでどっちのほうが好きかなんてことは云えませんが、わたしはこの第3セット、かなり楽しみました。なんだかねぇ、いかにもイギリス映画って感じで (←どんな感じじゃ/笑)。マイケル・ケインとジュード・ロウ、どちらも妖しげな色気がある俳優さんだから、この展開も納得という感じだったんでございます。

 特にジュード・ロウ、あんたはスゴイ! 素で観てみると頭髪がちょっと後退しちゃってて「そんなに美形か~?」と云いたくなるんだけど、演じているときの彼には本当に魅きよせられるような力があるわ~。もちろん、それを余裕で受けて立つマイケル・ケインも文句なしですが、ジュード・ロウがこの年の功に負けてないってのがすばらしい。後半になるほど黒さが全開になっていくから本当に見ごたえありました。

 ワイクとティンドル、騙しあいをしかけるふたりの言葉の、どこからどこまでが真実、あるいは嘘だったのか。目まぐるしく入れ替わる攻守の立場がそういうことをぼやけさせていきます。少なくとも第3セットでのワイクの申し出はかなり本気だったと思うんだけど、そこがあからさまでないところもおもしろいです。とにかく、言葉の端々、ちょっとした仕草、表情にもウラを感じさせるふたりの役者さんの演技合戦はお見事でした。非常に濃い89分を過ごすことができました! こうなるとマイケル・ケインがティンドルを、ローレンス・オリヴィエがワイクを演じたという旧作も観てみたくなります。ケーブルTVとかで放映しないかなぁ。

●映画『SLEUTH スルース』の公式サイトはコチラ
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by nao_tya | 2008-04-14 12:13 | 映画感想etc.