映画や本の感想アレコレ。ネタバレにはほとんど配慮してません。ご注意! 


by nao_tya
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

読書感想:スチュアート・ウッズ 『警察署長』

 年末にU地さんから「お正月用に」とお借りした、スチュアート・ウッズの『警察署長』、上下巻の本だから読み終えるのに時間がかかりそうだと思い、正月休みに入る前から読み始めておりました (←「正月用」の意味ナシ/笑)。で、元旦に下巻に突入したんですが「ラストはいったいどうなるの~!?」と先が気になって・気になって! 下巻は一気読みしてしまった…。いやぁおもしろかった。読み応えがありました!

 奥付を見てみると、なんと初版は昭和62年でした。原書が発表されてからもう20年以上も経っている小説なんですね~。でもその内容はちっとも色あせてなくて、読んでいてグイグイ物語のなかに引き込まれていきました。

 舞台はアメリカ南部の架空の町デラノ。1919年から始まり1963年に幕をおろす物語は、デラノ警察の3人の署長、ウィル・ヘンリー・リー、サニー・バッツ、タッカー・ワッツをめぐって展開していきます。この3人の署長がそれぞれまったく違う背景をもった人物で、そこがまたすごく興味深いのだ。

 44年にもわたっておこなわれた連続殺人事件が物語の主軸なわけですが、実はこの事件の犯人は相当早いうちに判明してしまいます。なので、読みながら犯人を推理していくお話じゃなくて、周囲の人間に犯罪が行われているということさえ気取られないように行動している犯人を、 いかにして3人の署長が不審に思うようになるのか、そして疑惑を持った彼らがどう行動していくのか、というところが読ませどころ。

 1919年から1963年という黒人の社会的地位がどんどん変わっていく時代背景や、アメリカの南部という土地柄から、人種差別の問題もこの事件を解決するのに大きくかかわってきていて、物語をより深いものにしていると思います。
 物語の最初では奴隷という身分からは解放されたものの、まだまだ社会には黒人に対する蔑視・差別が残っていたのが、時代を経るにしたがって少しずつ彼らの社会的地位もあがっていく。そのなかでそれを自然に受け入れる人間、応援する人間、おもしろく思わない人間、それぞれの考えや行動がからみあって事態が複雑化していくのです。初代署長のウィル・ヘンリー・リーの息子ビリーが第3部には政治家となって登場し、彼の選挙運動の行く末が事件の解決と連動していくところなんて本当にスリリングで、読むスピードがどんどんあがっていきましたです。

 単なるミステリ、サスペンスではなく、約半世紀に及ぶ大河小説の趣があって、読み終えるとちょっとボーッとした気分になってしまいました。
 ウィル・ヘンリー・リーの孫が主人公の『草の根』という続編もあるそうで、こちらもぜひ読んでみたいと思います! あと一度ドラマ化もされてビデオが出ているらしいんですが、これも観てみたいな~。DVDが発売されないものでしょうか。
[PR]
by nao_tya | 2008-01-07 23:09 | 読書感想etc.