映画や本の感想アレコレ。ネタバレにはほとんど配慮してません。ご注意! 


by nao_tya
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映画感想:『HERO』

〔ストーリー〕
 東京地検城西支部に6年ぶりに戻ってきた久利生公平 (木村拓哉) は、芝山検事が起訴した傷害致死事件の公判検事を引き受けることに。
 取調べ段階では犯行を認めていた被告人・梅林は、初公判で一転無罪を主張した。梅林の弁護についたのは刑事事件無罪獲得数日本一を誇る蒲生一臣 (松本幸四郎) だった。
 実はこの事件には収賄容疑をかけられている大物代議士・花岡のアリバイが絡んでいたのであった…。


監督:鈴木雅之
脚本:福田 靖
出演:木村拓哉、松 たか子、大塚寧々

 ここんところ食べもの関係の記事ばっかりアップしてますが、本も読んでるし映画も観てます。食べてばっかいるわけじゃないのよ~ (←誰に対する訴えだ?)。
 で、一番最近観た映画は鈴木雅之監督の『HERO』。木村拓哉さん主演で2001年に放映されたTVドラマの劇場版でございますね。

 わたしは弁護士モノ、検事モノ、法廷モノって基本的に好きなので、ドラマも放映当時はほとんど全話観てたように記憶してます。映画版に先立って放映されたスペシャル版のドラマも観ました。現実の検察官ってこんなんじゃないだろうと思いながらもおもしろかったので、今回の劇場版もわりと楽しみにしてました。

 そんなこんなで観ました劇場版、わたしはけっこう好きだな~。130分、楽しみました。TVドラマから出演している面々は、もうすでにしっかり各人のキャラクターを掴んでいるから安心して観ていられるし、細かいネタがとにかくおもしろかった。
 でもこれってTVドラマをずっと観てきた人間だからこう思うのかも、という気がしないでもない。TVドラマを観てなくてこの映画を観た人が、果たしてTVドラマを観る気になるかどうかというと答えは「ビミョ~って感じ」と云えばわかってもらえるでしょうか!?

 たとえば城西支部の面子それぞれのエピソードとか、久利生と雨宮のケンケンしたやりとりとか、連ドラを観ていた人には彼らの相変わらずぶりや6年の間に起こった変化が興味深かったりおかしかったりでニヤニヤしちゃうだろうけど、映画版しか観てない人にとってはどうでもいいんじゃないかな~って感じだし。

 韓国ロケ&数シーンだけ出演のイ・ビョンホンさんとか、スペシャル版との絡みとかもなんだかとってつけたみたいで不自然。映画版ならではのスケール感を出したっていうより話題づくりのために無理にハメこんだ気がしてしまって、「なんでここでこういうシーンが出てくるかな…」感が漂ってしまったのは否めないような…。
 
 あとですね、わたしがどうしても理解不能だったのは松本幸四郎さん演じるところの、元検事で“刑事事件無罪獲得数日本一”でという肩書きをしょった弁護士・蒲生です! わたしはこの蒲生という弁護士がなにを考えて被告人・梅林の弁護を引き受けたのか、どうにもこうにもさっぱりわから~ん!!!

 「多くの事件を抱え、機械的にそれを処理していくなかで、いつか冤罪を生んでしまうのではないかという恐れから検事をやめた」てなことを蒲生弁護士は云ってましたが、冤罪を生み出すこともこわいですが、明らかに有罪だと知ってる人間を無罪にすることは、同じくらいやってはならないこわいことだと思うんですけど、この点を彼はどう考えていたのか??

 いい加減な自白のみに頼った捜査をもとに人間を有罪にしてはならないというのは確かにそのとおり。だけどそれはあくまで被告人の立場に立った考え方のはず。なのに蒲生弁護士の目は被告人にはちっとも向いてない。たとえ本当は有罪であっても被告人が無罪を主張するのならそのための弁護をするってことではなく、あくまで検察がきちんと有罪を立証しているかどうかにしか関心がなくて、検察の手落ちを弾じるために弁護士をやってるってことなんでしょうか。

 だから最後の法廷シーンで久利生検事に攻められるまま、なんの反論もせず無罪の主張を撤回してしまったのかしら。でも観てる側としちゃ、日本一の刑事弁護士ってこの程度なんかいな~って印象しか抱けなかったですよ。もっとこう黒いものも白いと言い切るくらい強引な弁護をするのかと思ってました。しかも刑期が不服で控訴するって…。わたしだったらこんな弁護しかしてくれなかった弁護士さんに、控訴審の弁護をまかせる気にはとてもじゃないけどなれないよ~。

 しっかりとした信念、亡くなった被害者の命の重さを知るための裁判をしているという確信をもって事件と向きあっている久利生検事と対抗させるには、蒲生弁護士というキャラクターの心情があまりにもあやふやで見えてこなくて、最後までわたしのなかで蒲生弁護士はよくわからない人のままでした。久利生と蒲生、ふたりの丁々発止の対決を楽しみにしていたわたしとしては、この点についてはものすご~く物足りなさを感じてしまったのでありました。

 まぁ↑みたいに詰めが甘いというか不可解な点もあるし、CMのない2時間ドラマ的なノリで途中少々集中力が途切れかけたところがなくもなかったですが、城西支部の仲間たちのいざというときの団結力、雨宮の韓国語ノート、久利生検事の熱弁と、「あ、いいなぁ」と思わせるシーンもいっぱいでした。いかにして被告人・梅林が有罪であることを立証する証拠探しの部分とかも良かったし、わたし的には満足度が高かったです。

 そうそう、劇場版で初登場のキャラクターで一番期待してた蒲生弁護士には肩透かしを食わされましたが、東京地検特捜部の黛検事 (香川照之) はすごく良かった! 最初はエリート風ふかしたヤな感じの人間に見えて、彼は彼なりの熱いものがある検事さんだってわかり、久利生検事に対しても協力的になるという、ある意味ツンデレ・キャラでしたね~ (←違うか??)。

 TVドラマ版が好きだった人は劇場に足を運ぶだろうし、それに連れられて初めて『HERO』を観る人もいるだろうから、この映画がかなり興行的に成功する間違いないだろうと思うし、TVドラマが好きだった人は楽しいと思う。これで今まで『HERO』に触れたことがない人まで惹きこむような魅力のある映画だったら、本当に云うことないのに。おもしろかったんだけど、ちょっと残念な気分になってしまった映画でございました。

●映画『HERO』の公式サイト
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by nao_tya | 2007-09-17 16:17 | 映画感想etc.