映画や本の感想アレコレ。ネタバレにはほとんど配慮してません。ご注意! 


by nao_tya
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読書感想:畠中 恵 『ちんぷんかん』

 畠中恵さんのとてつもなく身体が弱い大店の若だんなが主人公の「しゃばけ」シリーズ最新刊、『ちんぷんかん』を読み終えました~!
 この「しゃばけ」シリーズ、わたしは文庫版で集めているので、本当なら『ちんぷんかん』を読むのはもっと先になるはずだったんですが、U地さんが貸してくださいました。ありがとうございますぅ♪

 まだ文庫になっていない「おまけのこ」と「うそうそ」は未読のままですが、読みきり連作短編なので支障なく読めましたですよ。
 この『ちんぷんかん』には表題作のほかにあと4つの短編が収められてます。超虚弱体質の若だんなのことだから、布団でみのむし状態になってるのはまぁよくあることなんですが、今回はなんと三途の川を渡る一歩手前、賽の河原まで行って帰ってくるという展開も。しかし賽の河原から生還できた理由ってのが「薬湯を飲むことに関してだけは、お江戸どころか冥土の皆の中でも、一番の強者であった」から、ってのが笑えますな(笑)。

 この巻で一番の大きな変化というのは、若だんなの母親違いの兄・松之助の縁談がもちあがったってことでしょうか。でも実をいいますと、わたしはこの一連の縁談話にはあまり感慨ぶかい気分にはならなかったんですよね~。
 といいますのも、若だんなに兄がいることがわかって、彼が長崎屋の手代になるまでの話ってのはけっこうおもしろく読めたんですけど、いったん松之助が長崎屋に入ってしまうと、たまに名前が出てくることはあっても、実際に若だんなと彼の絡んだ話ってのがほとんどなかったからじゃないかと思います。

 つまりいまひとつ松之助の印象っていうのがうすいままで、松之助というキャラクターに対する思い入れができてなかったんですよね。もうちょっと若だんなと兄弟の絆を深めるというか、互いに通いあう情を感じ取れるエピソードがあればよかったんですが。そうしたら、縁談が決まってしまうと長崎屋から出ていくことになる松之助を思ってそこはかとなく淋しい気持ちになる、という若だんなにすんなり共感できたんじゃないかな~。このままではどうもものたりない気分なのでありました。もしかするとまだ読んでいない「おまけのこ」や「うそうそ」にそういったお話が入っているのかしらん?? うーん、早く文庫にならないもんでしょうかのぉ。

 てなわけで、この『ちんぷんかん』で一番おもしろい、いいな、と感じたお話は最後に収録されていた「はるがいくよ」でありました。このお話は、長崎屋の中庭に植え替えられた桜の古木の花びらの精・小紅と若だんなの交流が描かれています。花の命の短さが切なくも美しい、しんみりとした心もちになるお話でした。そしてこの経験をとおして、寿命が桁外れに短い人間の側につき従い、見守っている妖たちの気持ちを察する若だんなもいいです。

 「しゃばけ」シリーズはたまに人間のほの暗い部分や悲しい面が描かれていることもあるけれど、全体的にのんびりのほほんとした空気が流れているのがいいところです。しかしそんな空気のなかであってもどんどん時は流れていて、周囲の状況も変化していっています。なにより巻が進むごとに様々なでぎごとを体験した若だんなが少しずつ成長していっているのを追いかけるのが楽しみなのでありました。若だんなのご両親の馴れ初め話も出てきたし、次巻はいよいよ若だんな本人のコイバナが読めるのかな~。期待しながら待ちたいと思います。
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by nao_tya | 2007-07-03 21:22 | 読書感想etc.