映画や本の感想アレコレ。ネタバレにはほとんど配慮してません。ご注意! 


by nao_tya
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31

映画感想:『サン・ジャックへの道』

〔ストーリー〕
 仲の悪い3きょうだい、ピエール、クララ、クロードは、母親の遺産を相続するにはフランスのル・ピュイからスペインの聖地サンティアゴ・デ・コンポステーラ (サン・ジャック) までの巡礼の旅に参加しなければならないことを知って不満タラタラ。しかし遺産がほしい彼らは渋々ながらツアーに参加することに。
 彼ら3人以外のメンバーは、気軽なハイキングと勘違いして参加した女の子2人組 (エルザとカミーユ)、カミーユが目当てのサイッド、サイッドにメッカへの巡礼だと騙されているラムジィ、頭をいつもターバンで包んでいる女性マチルド。
 彼らはベテラン・ガイドのギィに率いられ、2ヶ月に及ぶ巡礼の旅に出発するのだが…。


原題:SAINT-JACQUES … LA MECQUE
監督:コリーヌ・セロー
脚本:コリーヌ・セロー
出演:ミュリエル・ロバン、アルチュス・ド・パンゲルン、ジャン=ピエール・ダルッサン

 土曜日は午前中に漢方クリニックにいって、観劇仲間のT子ちゃんとの待ち合わせまで時間があったので映画を1本観てきました。観たのはフランス映画の『サン・ジャックへの道』。以前にU地さんにお勧めされてコリーヌ・セロー監督の『女はみんな生きている』を観たことがあって、なかなかおもしろかったんです。で、そんなセロー監督の新作だし上映開始・終了時間もピッタリだしってんでこの映画に決定!

 梅田のミニ・シアター系の劇場でしたが、週末の昼過ぎということもあってほぼ満席。観客は年齢層けっこう高めの人が多かった気が。おもしろいシーンではみなさんよく笑い、そのほかのシーンでは静かに画面に集中って感じで、気持ちよく観ることができましたです。

 母親の遺産を相続するためしかたなく巡礼の旅に参加した3人きょうだい (兄・姉・弟) ってのがとにかく最低に仲が悪いんですよね。誰かひとりが口を開けばすかさずイヤミを返し、挙句のはてには40代も半ばを過ぎたようないいオトナが、道端で取っ組み合いの大ゲンカをする始末!

 この3人がお母さんの今わの際に立ち会ったかは描かれてませんが、もしそうだとしたら、たとえそんなときでも罵りあいをやめなかったことは容易に推察できますよ。いくらアルツハイマーで周囲の状況がわかりにくくなってたかもしれなくても、そりゃあお母さんもこんな3人を残していくことは心残りでしょうがなかったと思うわぁ…。

 この3きょうだいほどじゃありませんが、ほかの参加者たちやガイドもそれぞれ悩みをかかえていて、旅の間に各人の弱さや痛みがはっきりと出てきます。でも、9人をみつめる監督のまなざしが時には辛らつなユーモアを混じえながらもとても温かくやさしいので、文字どおり“山あり・谷あり”の道をひたすら歩くことで、みなの心にそれぞれの変化が起こっていく様子を素直に受け止めることができました。

 1日7時間ほどのウォーキングを毎日毎日2ヶ月も続ける旅ってすごいです。その間寝食を共にし、せまい空間を共有することで、最初は見知らぬ他人でしかなかった人間との間に徐々に分かちがたい絆ができていくっていうのがすごくイイな~と思えました。

 ただひたすら自分の足で歩くため荷物は必要最低限、余分なものはいっさい持たない。旅のなかでそれを自然に悟って荷物を減らして身軽になっていき、最初はひぃひぃ云っていた1日の道程も楽に踏破できるようになった彼らの姿はとてもすがすがしいです! 文字どおり道端に不用品を捨てていっちゃうのはどうかと思いますがね(笑)。

 一応巡礼の旅ではあるんですが宗教くささはまったくありません。むしろ誰ひとりとして敬虔なキリスト教信者がいない巡礼ツアーってアリ? って感じ (ラムジィは敬虔だけどイスラム教信者だしな/笑)。キリスト教云々っていうんじゃなく、日常生活を離れ、身体をつかって目的地へむかうことに時間をかけることで無心になり、やがて浄化されていく。肩書きとか立場とかを取っ払った自分を見つめなおし、あるがままの自分や他人を受け入れる余裕を作ることこそが、巡礼の目的なのかもしれません。

 劇中でも現実的に問題が解決することのほうが少ないんだけど、物事に対する受け止め方や気持ちが切り替わるだけで、なにもかもが違ってくるものなんだな~と、エンディングで流れる彼らの“その後”を観ながら感じてました。
 巡礼の道にひろがる景色も美しく、大いに笑って最後はじんわりした感動と一緒に元気も出てくる、とても満足感のある映画でした! 人間って、きっかけを掴むことができればいくつになっても変われるって思えるのはステキですよね。
 
 あとパンフも購入しまして、これがひと工夫した作りで、配給側の映画に対する愛情が感じられましたですよ♪ B5サイズ・横長の冊子で、映画のパンフレットにしては珍しくカバーがついているのです。でっかい紙をふたつ折にした状態でカバーになってるんだけど、内側になった部分に巡礼の道をしめした地図が印刷されてるんだな~。要所要所の名跡の写真なんかも載っていて、映画を観たあとで眺めるといろんな場面が思い出されてかなり楽しい。手に取る機会があったらぜひ見てほしいです~。

●映画『サン・ジャックへの道』公式サイトはコチラ
[PR]
by nao_tya | 2007-04-14 23:45 | 映画感想etc.