映画や本の感想アレコレ。ネタバレにはほとんど配慮してません。ご注意! 


by nao_tya
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映画感想:『ブラッド・ダイヤモンド』

〔ストーリー〕
 RUF (統一革命戦線) に襲撃された村からダイヤモンド採掘場に連れて行かれた漁師ソロモン・バンディー (ジャイモン・フンスー) は、監視の目を盗んで100カラットはあろうかというピンクダイヤの原石を採掘場近くに隠すことに成功する。元傭兵のダイヤ密輸業者、ダニー・アーチャー (レオナルド・ディカプリオ) は偶然にそのことを知り、ソロモンの引き離された家族の行方を捜すかわりに、ダイヤの隠し場所を教えるよう取引を持ちかけるのだが…。


原題:BLOOD DIAMOND
監督:エドワード・ズウィック
脚本:チャールズ・レビット
原案:チャールズ・レビット、C.ゲイビー・ミッチェル
出演:レオナルド・ディカプリオ、ジャイモン・フンスー、ジェニファー・コネリー

 本日は土曜出勤でしたが定時で仕事を終わらせ、映画を観にいってまいりましたよ! ここんところペースが落ちてたんで、観られるうちにガンガン観とかないとな。タイミングを逃すと観たい映画はどんどん公開終了しちゃうし。で、観た映画はレオナルド・ディカプリオ主演の『ブラッド・ダイヤモンド』です。監督は『ラスト サムライ』のエドワード・ズウィック

 公開初日なんで混んでるかな~と思いましたが、劇場ははっきりいって空いていた…。ていうか、わたしがよく利用する某シネコンは混み混みなことってめったにないのである。いつか潰れるてしまうんじゃないかと心配で。家から一番近いシネコンだし、がんばってくれよ~。

 しかし、そんなに混んでない劇場でもあまり態度のよろしくないお客さんと接近した席になるのは、みな劇場中ほどの観やすい席を選ぶ以上しょうがないことなんでしょーか。今回はひとつ間をおいて座ってた3人組男子中学生(?)たちが上映中もしゃべるはゴソゴソするはで気が散ることこのうえなし。思い切って注意しようかと思ったら、彼らの前の座席のカップルさんのかたわれさんがたまりかねて先に動いてくれました。おかげさまで、以後は画面に集中できましたよ。うぅ、ありがたや~。

 紛争地域で産出、密輸さたダイヤモンドが武装勢力の資金源となっており、そういったダイヤモンドのことを“紛争ダイヤモンド”と呼ぶのだということを、この『ブラッド・ダイヤモンド』という映画から初めて知りました。この映画は、紛争ダイヤや子ども兵士をめぐる問題や悲劇という社会的な事象を考えさせてくれると同時に、アクション・サスペンス映画というエンタメ面でも十分におもしろいと思える映画でした。最後のほうなんて、「あぁ監督、脚本家の術中にはまってるよぉ」と思いながらも涙腺がかなり刺激されたし。

 シエラレオネの首都フリータウンがRUFに攻撃されるなか、アーチャーとソロモンが必死で逃げていくシーン、ダイヤモンド採掘場が空爆されるシーンなどはすごい迫力! もちろん爆破する場所やタイミングはきっちり計算されていて、役者さんたちもそれに合わせて動いているんだろうけど、それでも自分の周囲で爆発が起きればその音だけでも並大抵じゃない。なにかがほんの少しのズレだたけで大きな事故につながりかねないわけで、このなかで演技するというのはそれだけで度胸がいることでしょう。まさに身体をはってるって感じです。

 レオナルド・ディカプリオは最近坊ちゃんぽさが少しずつそぎ落とされてきて、いい雰囲気になってきたように感じます。なんかこう、眉間にシワを寄せたような役ぱっかりやってる気もするけど、段々それがサマになってきたというか(笑)。劇中では難しい顔してるのが大半なので、ラスト近く、なんだか悟ったような憑き物がおちたような、スカンと突き抜けた表情を見せるのが印象的。ずっと“タイタニックの”っていうのが枕詞についてきた人でしたが、この『ブラッド・ダイヤモンド』はディカプリオの新しい代表作になるかも?

 貧しいけれど善良で、ひたすら家族を無事に取り戻そうと必死なソロモンを演じたジャイモン・フンスーも、血をはくような叫びをあげていてその気迫に圧倒されます。ソロモンが暮らす村をRUFが襲撃するシーンで、年端もいかないような少年兵がやけにクローズアップされると思ってたら、あとでソロモンの息子ディアのエピソードにつながっていったんですねぇ。

 理知的でタフな女性ジャーナリストのマディー役はジェニファー・コネリー。マディーは“刺激中毒”なんてことを付き合った恋人たちに云われても、紛争地域で起こっているできごとを見なかった・知らなかったことにしようとはせず、自分の命を危険にさらしても取材源に食いついていく女性。ジェニファー・コネリーのちょっと不思議で特徴のある目からは、今のアフリカの現状に対するマディーの哀しみやそれに対して自分ができることの少なさに苛立つ思いみたいなものが伝わってきて、説得力がありました。

 3人の俳優さんたちの熱演で、アーチャー、ソロモン、マディーが出会うことで少しずつ彼らのなかに訪れる変化や、その変化によってもたらされる結末には (話の途中で予想がついても)、最初に云ったように感情が揺さぶられました。
 また、この映画を観て気軽にどんなダイヤでもいい! なんて考える人はそうそういないでしょうし、映画のテーマがしっかりと観客に伝わる映画だと思います。骨太なメッセージを持ちながら娯楽性も高いってすごいことだ。

 でも、映画を観ながら気になったこともいくつか…。
 ひとつは、この話のなかではRUFは完全な悪役だけど、彼らが政府に対して武力による行動を起こすようになったのは、きっと政府の側に腐敗や不正があったからだと思うんですよね。もちろん一般市民を虐殺したり子どもたちを恐怖や麻薬で洗脳して兵士にしたてあげるRUFの行為は非道で赦されることじゃない。でもこの描かれ方はあまりに一方的なんじゃないかなぁ。確かに、そういった側面まで盛り込んでいくと話が複雑になりすぎて、“紛争ダイヤ”という焦点がぼけちゃうのかもしれないんですけど、納得いかないものはいかないんだ~。

 そんな風に思っていたせいか、最後にスクリーンに「現在のシオラレオネは平和になった」みたいな一文が出てきたとき、シオラレオネで起こった紛争はこんなあっさりした言い方で片付けちゃえるほど単純なものなの!? とめちゃくちゃ違和感があったんですよ。実態はもっと複雑で、だからこそ紛争が長引いて多くの人間が苦しむことになったんだろうし。わかりやすく単純化したせいで、ちょっと底が浅くなった面があるかもしれません。まぁ歴史的な背景などを自分で調べるきっかけになると云えばなる、の、かな…?

 もうひとつは、年代やシオラレオネという国などは具体的なのに、この紛争ダイヤで莫大な利益をあげている企業の名前は架空のものであいまいにされちゃってる点。これ、どう考えてもデビアス社のことでしょう。もちろんドキュメンタリーではなくストーリーとしてはフィクションであることは承知してますが、ほかの背景がこれだけ現実に即しているのに、なんでここだけはぼかしちゃうのかがわからない。スポンサーの関係??

 (そういえば、『ブラッド・ダイヤモンド』とはまったく関係ありませんが、昔は映画本編、特にラブロマンスものの前に流れるCMに必ずといっていいほどデビアス社のものがあったけど、ここ数年とんとお見限りですね。これまた不思議…。もうダイヤのイメージ戦略は十分功を奏したってことでしょうか??)
 
●映画『ブラッド・ダイヤモンド』の公式サイトはコチラ
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by nao_tya | 2007-04-07 23:22 | 映画感想etc.