映画や本の感想アレコレ。ネタバレにはほとんど配慮してません。ご注意! 


by nao_tya
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読書感想:ドロシー・L.・セイヤーズ 『五匹の赤い鰊』

 ようやく、よ~やく!! ドロシー・L.・セイヤーズの『五匹の赤い鰊』を読み終えました!
 いやぁ、この本は読み通すのにかなり苦労しました。買ったばかりのころに一度読みかけて挫折し、再チャレンジしてるからトータルで2週間くらいかかった計算になるのかな。

 ピーター卿のシリーズはほかにも読んでいて、そちらは特に支障なく読めたのに、なんだってこの『五匹の赤い鰊』だけはこんなに苦戦したのか。理由は明白です。別に内容がおもしろくなかったわけじゃなくて、単に登場人物たちの区別がつきにいから。もうこの一事に尽きますね! 読んでるうちに頭のなかがどんどん混乱してきて、先に進めなくなっちゃうんだもん。

 『五匹の赤い鰊』はスコットランドの田舎町が舞台でして、そこには芸術家たちが寄り集まって暮らしているんですな。この田舎町で巧妙に事故に見せかけた殺人事件が起こり、われらがピーター卿がその謎をといていくわけです。
 で、芸術家たちがたくさんいる町での事件だけに、殺された人間が画家なら容疑者たちもまた同じく画家。しかも容疑者が6人もいるときたもんだ!
 それでなくてもカタカナの名前を覚えるのは苦手なのに、職業が全員同じなんてあんまりだ~(涙)。

 あと、犯人はアリバイ作りのために列車を使ったトリックを使うんですが、これもまたわたしを混乱させる要素のひとつとなったのであります。
 聞きなれない地名に駅名がどんどこ出てくるのに、そこが殺人事件の起こった町と近いのか、それとも遠いのかもさっぱり見当がつかない。一応地図はついてるんだけど、小さい地図だから該当する地名を探すだけでもひと苦労。

 こうなると読みながら犯人が誰かを予想する以前に気をとられることが多すぎて、話のなかにまったく入り込めません。まさにお手上げ状態。読んでる間、どんなにか容疑者たちの顔写真と鉄道の路線図がほしかったことか!
 でもまぁさすがに再チャレンジしたときには、多少前に読んでいた記憶があったせいか読み進めやすくなってなんとか読了できました。やれやれです~。

 トリックはわかってみれば結構偶然に頼った部分が大きくて、「え、そんなんアリ!?」っていう感じもしなくはないですが、ちゃんと伏線もはられていて納得できる内容でした。
 容疑者が多いうえに皆がみな隠し事があったりなんともあやふやなアリバイしかない状況なもんで、警察の人間が右往左往の捜査をした結果、それぞれの「こいつが犯人だ!」なる自説を披露するところもすごく楽しかったです。

 また、警察が地道な聞き込み捜査をする一方で、ピーター卿は全く違った観点から犯人をしぼりこんでいきます。その観点ってのが、自分では創作こそしないけれど、芸術を理解し愛する、絵画についての知識がないと持てないもの。いかにも趣味人、お貴族さまらしいものなんですよね。さすが貴族探偵の面目躍如というところでしょうか。

 ピーター卿の執事、バンターもあいかわらずの活躍ぶりです! ピーター卿の身の周りの世話をしながら彼の趣味 (探偵業) までをさりげなくサポートするところは本当にお見事~。情報収集のためによそのお宅に勤める女中さんをナンパするってのもすごいよな(笑)。
 あまりバンターの容姿については形容が出てこないんですが、けっこう男前なんじゃないかしらん。誘われた女性が「見たところ喜んで応じました」ってのは、単に観たことのない映画にいくのがうれしかったってだけじゃないと思うわ~。

 土地鑑のなさ、容疑者の多さと疑わしい行動の山に、最初はヘコたれてしまいましたが、読み通してみればかなりおもしろかったです!
 ややこしさでは今まで読んできたピーター卿シリーズのなかでも群を抜いていて、作者のセイヤーズ自身も混乱したのか、作中のあちこちで人の名前なんかを間違えていて、翻訳者さんの注意書きが入ってるのもまた愉快でした(笑)。
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by nao_tya | 2007-03-30 23:54 | 読書感想etc.