映画や本の感想アレコレ。ネタバレにはほとんど配慮してません。ご注意! 


by nao_tya
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映画感想:『マリー・アントワネット』

原題:Marie Antoinette
監督&脚本:ソフィア・コッポラ
原作:アントニア・フレイザー
出演:キルスティン・ダンスト、ジェイソン・シュワルツマン、アーシア・アルジェント

 ソフィア・コッポラ監督のマリー・アントワネットを観てきました。テレビなどでCMをバンバン流している成果でしょうか、かなり観客が多かったですよ~。わたしが (勝手に) ホームシアターにしてる劇場は、週末でも混んでるってことがほとんどないのに珍しい!
 しかしこうして観客が多いとハズレなお人と座席が隣り合うことが多いのが困りもの。今回は右隣の人が上映中にやたらと身体を動かす人でまいりました…。しかもサイアクなことにエンドロールが流れているなか、携帯電話をチェックしはじめちゃいましたよ。そんなん、劇場の外に出てからやってくれよぅ!!!

 と、なんだか落ち着かない状態で観た映画でしたが、まぁ内容としては普通かなぁ。マリー・アントワネットの生涯を描いた伝記モノ、あるいは歴史モノとして観なければ、甘いキャンディ・カラーに彩られたヴィヴィッドな画面が目に楽しい映画だったと思います。
 なんといっても実際にヴェルサイユ宮殿でロケをし、登場するスィーツはフランスの老舗「ラデュレ」の監修、ラデュレのマカロンの色にインスパイアされた衣装は華やかだし、数々の靴は「マノロ・ブラニク」に作ってもらったっていうんだから、スクリーンのなかはそりゃあもうゴージャス。ふわっふわのキラキラです。

 14歳で政略結婚によってオーストリアから知己もいないフランスへ輿入れし、世継ぎとなる子どもの誕生を待ち望む周囲からのプレッシャー、シャイな性格もあってよそよそしく頼りない王太子の非協力的な態度に孤独感をつのらせ、むなしさを埋めるために浪費に走るマリー。ようやく子どもに恵まれると、今までの豪奢で怠惰な生活から一転、一気にナチュラル・ヘルシー志向になっちゃうマリー。なんというか、よくも悪くも自分の欲求に忠実な女性だったってことがわかります。

 朝、マリーが着替えるときにはその部屋にいる最高位の女性が彼女に下着をわたす栄誉(!)にあずかることができる、などバカバカしくも仰々しい宮廷作法には呆れたり笑ったり…。こういう作法をかたくなに守ろうとすることが、かえって相手に失礼だったりすることもあるんだろうに、すべてが「これがヴェルサイユというものなのです」のひと言で片付けられてしまう世界で、マリーの受けたカルチャーショックの大きさに思いをはせたりいたしました。

 そして、こんな風に外から見ればどう考えたって変だと感じることがまかりとおり、誰もそれをおかしいとは思っていない (あるいは云いだせない) ところに、フランスの絶対君主制が末期にきてるということが表れているようで、観てる最中はおかしかったけど映画が終わったあとでちょっとムムム、と考えさせられたりもしました。

 色々エピソードはあるものの淡々としながら時間の流れは早く、徐々に王室に対する国民感情が悪化してフランス革命が勃発したという感じはしなかったですな。これはあくまでもマリーの視点からのみ描いている映画だからなのか。彼女が無関心だったため、フランス国民の困窮や貴族たちの専横ぶりは自分とは関係のない世界のできごとでしかなかったのが、革命が起こって自分たちに危険が迫ることでようやく現状に目を向けた、という感じ。

 時代背景や登場人物などに関する説明不足な点は、わたしなんかの場合は池田理代子さんの『ベルサイユのばら』やアニメ『ラ・セーヌの星』なんかに由来する基礎知識(笑)で勝手に脳内補完しちゃったところもあるんですが、こういうところを物足りなく感じる人もいるかもしれません。

 マリーをひとりの女性としてとらえ彼女の成長を描いているわりに、先に云ったとおりすべてがさらさらと流れていってしまうので、マリーが王妃としての自覚に目覚めるのにも観ていて大きなインパクトを受けたりはしませんでしたが、亡命を勧める周囲に対し「自分は陛下のそばにいる」と云い切るシーンや、彼女が伸ばした手をルイ16世が握り返すシーンにはじんわりとした感動がありましたよ。
 だからこそ、ようやく“王妃”となったマリーが、これから断頭台に送られるまでをじっくり観たかった気がします。どうしても終わり方が非常に唐突なように感じられちゃうのです。でも、そこから先のマリーはソフィア・コッポラ監督のお好みというか狙いから外れてるんでしょうな~。

 今まで作られてきた歴史モノとは一線を画す、ポップでキュートなガーリー歴史絵巻で、好きな人は好きだろうし受けつけない人は絶対ダメと、はっきり好みが割れそうなタイプの映画。女性なら好きっていう人が多いかも。
 あと、この映画のキルスティン・ダンストは、全体にとってもかわいらしくて良かった~。お肌の抜けるような白さにはドキドキしちゃいましたわ!

●映画マリー・アントワネットの公式サイトはコチラ

●映画の原作本

 マリー・アントワネット(上)
  アントニア・フレイザー (早川書房)
 マリー・アントワネット(下)
  アントニア・フレイザー (早川書房)
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by nao_tya | 2007-01-21 15:11 | 映画感想etc.