映画や本の感想アレコレ。ネタバレにはほとんど配慮してません。ご注意! 


by nao_tya
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映画感想:『RENT/レント』

〔ストーリー〕
 NYはイーストヴィレッジの古いロフトを舞台に、芸術家を目指しながらも家賃を払うことさえできない若者たち (ロジャー、マーク、ミミ、コリンズ、エンジェル、モーリーン、ジョアンヌ) と、かつては仲間だったのが結婚して今は家主となっているベニーの、89年のクリスマス・イヴからの1年間を描くミュージカル群像劇。


原題:RENT
監督:クリス・コロンバス
台本・作詞・作曲:ジョナサン・ラーソン (ミュージカル版)
脚本:スティーヴン・チョボスキー
出演:ロザリオ・ドーソン、テイ・ディグス、ウィルソン・ジェレマイン・ヘレディア

 予告を観たときから気になっていたクリス・コロンバス監督のミュージカル映画『RENT/レント』を観にいってきました。公開終了日・最終上映回ですよ。まさに滑り込みセーフだ!
 予告で流れる「Seasons of Love」がなんともキャッチーな楽曲で、この曲を物語の主要メンバー8人がずらりと舞台に立って歌うオープニングがとにかくカッコよくて圧巻。これからこの8人を巡ってどんなストーリーが展開するの? とワクワクさせられました。
 この登場する曲の良さ、つかみの強さは映画全編をとおして変わりません。エンドロールにいたるまで、耳に残って繰り返し聞きたくなる曲ばかり。演じてる人たちの歌唱力も文句なしだし。オペラ風に歌い上げるんではなく、ロック系の曲が多いので耳になじみやすいのかな。サントラが欲しくなる映画です。
 で、8人が繰り広げる物語はというと…。うーん、悪くはない。悪くはないんですよ~。でもちょっとなんだかわたしには入り込めない部分もあったのでございます。
 主要人物8人のうち4人までもがHIVポジティヴという状況もあり、遠い未来を思いわずらったり過去を振り返ってばかりいるのではなく、とにかく「今」を大切にするんだ! というメッセージは力強く伝わってきて、うんうんと頷けます。
 でも、今を大切にすることと刹那的に生きることはちょっと違うでしょ~? とも思うんだよね。なんでドラッグに走っちゃうの、どうして今となりにいる大事な人を見ずに別な人に目を向けちゃうの、って。だからミミやモーリーンには全然感情移入できず、最後のクリスマスの奇跡(?)も「え、そんなんアリ!?」と思わずのけぞってしまったのでありました。
 そのかわり、エンジェルちゃんにはぞっこんです。なんてオトコマエで女らしくてカッコカワイイの~! それにモーリーンのパフォーマンスとエンジェルのパフォーマンスなら、わたしはエンジェルにお金を払いますね。モーリーンのパフォーマンスは、言葉の壁もあるかもしれませんがいまいち理解できなかったんですわ。スマンのぉ。
 しかし、ぞっこんのエンジェルちゃんにもわたしはひと言申しあげたい。秋田犬のエヴィータに「テルマ&ルイーズ」させたらダメじゃん(涙)!
 それとね、ベニーの扱いもちょっとかわいそうだと思うんだな。彼は確かにアーティストとして身を立てることは諦めたのかもしれないけど、違う形で夢を実現しようとしてるんでしょ。それをみんなして裏切り者扱いするのは違うんじゃないでしょうか。
 確かにモノを創造する人間ってすごいよ。でもだからって、人間がみんな芸術家になってしまったら世の中が回っていかなくなっちゃうじゃないですか。日々地道に働いて、創造されたものを余暇のなかで楽しむ人間がいてこそ、芸術家だってご飯を食べていけるんだもん。
 夢を持つこと、アーティストであることを目指すことを讃えるあまり、そうじゃない人間に対してはなおざりにされているようで、腹が立つというよりちょっと哀しくなってしまったのでありました。まぁ特段人に誇れる才能のない人間のそねみかもしれないけどさっ。
 圧倒的なパワーを持つ曲に惹きつけられるのに比べて、ドラマ部分にはこんな具合に不満を持ってしまうのは、描かれている時代背景がすでに過去のもので、登場人物たちの置かれている状況に共感しにくいってのもあるのかもしれません。あと、ミュージカル初演時のキャストがたくさん出ていて、歌唱力とかには全然問題はないんだけど、「若さ」という点で無理が生じているってのもあるかな。舞台なら年齢はあまり気にならなくても、映画で30歳過ぎとはっきりわかる人間が「芸術家なんだもん、家賃なんて払えないよ~」とうそぶいたら、「いい大人がナニ云ってんだっ!」と思われても仕方がないというか…。
 とまぁ色々ムムム、と感じる部分があるにもかかわらず、とにかく楽曲、演じている役者さんたちのパフォーマンス、歌がすごくいいので、観たあとに損をした気分にはいっこうになれないのがこの映画のすごいところなのかも。突然役者さんたちが歌いだすミュージカルに抵抗がない人なら、きっと楽しめる1本です。
 そうそう、セリフのほとんどが歌だから、発音が非常にはっきりしていて聞き取りやすかったのもうれしかったです。なんだか自分のヒアリング能力が向上したような気がして気分がよかったの(笑)。字幕では字数の関係で省かれちゃってる部分とか、もっと歌詞をじっくり味わいたいですね~。

●映画『RENT/レント』公式サイト

レント
サントラ / ワーナーミュージック・ジャパン
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by nao_tya | 2006-06-18 23:40 | 映画感想etc.