映画や本の感想アレコレ。ネタバレにはほとんど配慮してません。ご注意! 


by nao_tya
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読書感想:セシル・スコット・フォレスター 『セーヌ湾の反乱』

 何度もタイトルを目にしているのに、頭に浮かぶときにはセーヌ「川」の反乱と勘違いしてしまう、「海の男ホーンブロワー」シリーズの第9作、『セーヌ湾の反乱』読了です。
 シリーズを読みついできたなかで、今作が一番の衝撃をもたらしてくれました。ブッシュさんが、ブッシュさんがお亡くなりになっちゃいましたよぉ~っ!!!
 ブッシュさん=ウィリアム・ブッシュが初登場したのは第2作『スペイン要塞を撃滅せよ』だったかな? ホーンブロワーと出会ったときはふたりともまだ海尉だったんですが、ブッシュさんのほうが先任でした。その後ホーンブロワーがどんどこ出世しちゃったために地位は逆転しましたが、長い間良き副官として彼に仕え、ホーンブロワーにとってはほぼ唯一の友人、親友となります。そして『勇者の帰還』ではとうとう念願の艦長に就任!
 神経質で自分の内心を見透かされることをなにより嫌うホーンブロワーの天邪鬼な言動に振り回されーの・八つ当たりされーのしてるのに、彼の才能を認めて愚直なほどの信頼と好意を寄せていたのがブッシュさんというお人です。ホーンブロワーのような複雑さはまったくなくて、なんというか“朴訥”という言葉が一番しっくりくるような感じ。わたしのイチ押しキャラだったのでございます~。
 そんなブッシュさんが、長く続いたナポレオンとの戦争が間もなく終わり、ようやく平和が訪れようとしているときに亡くなってしまうなんて。しかも爆発で吹っ飛ばされて遺体も見つからない状態で! あんまりだわよ、恨むぞ、セシル~(涙)。
 彼の死についての記述はすごくあっさりしてますが、ホーンブロワーの嘆きはたっぷりでした。相変わらずなるべく感情を表すまいとしてるんですが、それでも抑えきれない悲嘆の念が込み上げてくるあたり、読んでるこっちまでウルウルしちゃいます。あのホーンブロワーが「ブッシュのいない世界など考えられなかった。ブッシュに会うことのない未来など、考えられなかった」とまで云っておりますよ。いかにブッシュがホーンブロワーのなかで大事な人間だったかがわかります…。
 ブッシュさん死亡というショッキングな出来事のほかは、『セーヌ湾の反乱』はなかなか意外な展開がてんこ盛りで、最後まで先が読めずにいたのでかなりおもしろかったです。
 ホーンブロワーがバス勲爵士に列せられる儀式の場から緊急の指令で呼び出されるところからお話は始まります。セーヌ湾でフランスの海上封鎖任務についているイギリス艦フレーム号に反乱が起こったため、ホーンブロワーが事態の収拾に乗り出し、相変わらずの奇抜なアイデアで解決。海での戦闘はここだけですが、フランスの情勢が大きく変わることもあり、以降事態が思わぬ方向へと動きだしていくんですね~。
 『勇者の帰還』で登場したフランス貴族のグラセー伯爵、彼の義娘であるマリーとの再会があり、貴族にまでなって立身出世を遂げたのにどこか満たされないホーンブロワーとマリーの焼けぼっくいに火がついちゃうあたりは女性としてはどうもいただけませんが、グラセー伯爵との交流はブッシュさんがいない状態では心温まるものでした。伯爵がホーンブロワーを息子と呼び、それに応えてホーンブロワーが伯爵へ自然と父と返すシーンは、状況が緊迫しているだけにふたりの心情を思うと切なかったです。
 しかし、これでいよいよナポレオンとの戦争も終結したわけで、最終巻となる『海軍提督ホーンブロワー』はどんな話なのか予想がつきません。気持ちはあるのにちょっとすれ違ってしまっているレディ・バーバラとの夫婦関係も気になるところですな。

 と、ここまで感想を書いて、読み終えた本を前作たちと一緒のところにしまおうと本棚を覗いたら、大変なことに気付いてしまいました。わたし、第8作の『決戦! バルト海』を飛ばして第9作に進んじゃってた…!
 いや、『セーヌ湾の反乱』を読んでると、やたらとホーンブロワーがチフスにかかったって出てきてて、こんなエピソードは覚えがないなぁ、ヘンだなぁとは思っていたのですよ。もっとちゃんと確認すれば良かった…。うぅ、後悔先に立たずとはまさにこのこと。なんてマヌケなんだ~。
 いやでも考えてみたら、またブッシュさんが元気に活躍してる話が読めるわけだよね、うん (←ムリヤリ納得)。
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by nao_tya | 2006-06-14 23:53 | 読書感想etc.