映画や本の感想アレコレ。ネタバレにはほとんど配慮してません。ご注意! 


by nao_tya
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映画感想:『ダ・ヴィンチ・コード』

〔ストーリー〕
 ハーヴァード大学教授のロバート・ラングドンは、講演先のパリでフランス司法警察のファーシュ警部にある殺人事件への協力を依頼される。
 事件の被害者はルーヴル美術館のキュレーター、ジャック・ソニエール。彼は瀕死の重傷を負いながらも自分をダ・ヴィンチの「ウィトルウィウス的人体図」に模した状態で横たわり、そのまま事切れていたのだ…。


原題:THE DA VINCI CODE
監督:ロン・ハワード
脚本:アキヴァ・ゴールズマン
原作:ダン・ブラウン
出演:トム・ハンクス、オドレイ・トトゥ、イアン・マッケラン

 日曜日にロン・ハワード監督『ダ・ヴィンチ・コード』を観てきましたですよ。いつも空いてる劇場なのにほぼ8割は席が埋まっていて、この映画がヒットしているというのは本当なのね~と変なところで感心してしまいました。
 上映時間は2時間30分。長めの映画です。そして観たあとは、この2時間半を休む暇もなく走らされたような気分になって、いささかグッタリする映画でありました。とにかく展開が早い・早い・早い~! 様々な薀蓄を味わうことも、ひとつの謎が解けた達成感にひたることもできず、次の場面、新たな謎へと駆り立てられていっちゃうんだもん。忙しないったらありゃしません。
 まぁハードカヴァーで上下巻、文庫で3冊の話をひとつの映画に詰め込んだらこうなるのも無理はないかもしれません。原作を読むか、せめて映画を観る前にパンフレットにある用語などを頭に入れておくほうがいいと、散々云われているだけのことはあります。つまり、映画を観ながら与えられた情報を咀嚼する余裕が観客には与えられてないってことですね。
 これって1本の映画としてどうなの、って気もしないではないですが、世界中でベストセラーになっている本が原作なだけに、極端な話、もはや前知識のない人間は観客として対象外なのかも (そんなバカな/笑)。
 いわゆるトンデモ系のお話を凝った展開で重々しくもっともらしく壮大に語った原作を幾分軽くして、暗号を解き明かすための絵画、小道具、建造物に風景という具体的なヴィジュアルが加わったのが映画って感じ。活字の世界だけではイメージしにくかったところを補完してもらえて、そういう面では楽しめました。
 しかし、原作の謎解きのラインをほぼきっちり押さえたせいでワリを喰ったのは、キャラクターの掘り下げ部分ですかね。特にアリンガローサ司教とファーシュ警部の描写が少なくて、原作とはかなり違う人物になってしまってる。ファーシュ警部がオプス・デイの会員って原作にあったっけ??
 ソフィを演じたオドレイ・トトゥは、『アメリ』や『ロング・エンゲージメント』の“不思議ちゃん”のイメージは残ってなくて、なかなか良かったです。ラングドン役のトム・ハンクスは原作とはイメージが違うけど、ソツなく演じてますって感じ。隙がないぶんやや印象が薄いかな。
 シラスに扮したポール・ベタニーは“怪演”というのに相応しい演技でありました。恐ろしくも悲しいモンスター。自分を鞭打ち、シリスを太ももに巻きつけてなお恍惚とした表情を見せるシラスには恐怖を感じますが、ひたすらにアリンガローサを慕い、彼の望みをかなえるために行動した結果、自分を死に追いやる姿は哀れを誘います。
 イアン・マッケランのリー・ティービングもすごい。ティービングの聖杯に対する飽くなき探究心が事件の発端だと云えると思いますが、彼のこの探究心が狂気に近いものだとわかってからの落差が見もの。一見チャーミングで博識で好感度が高い分、実は深く静かに狂ってるってのは怖いですね。
 シオン修道会のメンバーはロスリン礼拝堂付近に固まって生活しているのか!? とか、そもそも血脈は長子のみに伝わるものでもあるまいし、2000年経って子孫がこれだけ少ないのは無理がないか? とか原作を含めて色々ツッコみたいことはありますが(笑)、原作を読んでいたわたしは、全体として「まぁこれくらいのデキならいいんじゃないの」って感じです。大絶賛ではないけど糞みそにけなすほどでもない、という (←なんかエラそうだな!)。
 あと、この映画を観たり原作を読んだりすれば、多少なりともキリスト教に対する好奇心や興味が刺激されると思うので、カソリック教会関係者の方々も鷹揚に構えて、目くじらを立てなくてもいいんじゃないかな~などと暢気に考えてしまいます。所詮フィクションだし、ムキになればなるほど、自分たちの閉鎖性を強調することになるのでは? こんなことを云うと、生半可で中途半端な知識を持った人間ばかりが増えるのが一番困るんじゃ! と怒られるかもしれませんが…。

●映画『ダ・ヴィンチ・コード』公式サイト

ダ・ヴィンチ・コード(上)
ダン・ブラウン 越前 敏弥 / 角川書店


ダ・ヴィンチ・コード(中)
ダン・ブラウン 越前 敏弥 / 角川書店


ダ・ヴィンチ・コード(下)
ダン・ブラウン 越前 敏弥 / 角川書店
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by nao_tya | 2006-06-05 23:43 | 映画感想etc.