映画や本の感想アレコレ。ネタバレにはほとんど配慮してません。ご注意! 


by nao_tya
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31

映画感想:『Vフォー・ヴェンデッタ』

 日曜日は公開終了も近い『Vフォー・ヴェンデッタ』を観にいってきました。最近仕事が終わるのが遅くて、ウィークデイにちっとも映画を観にいきません。おかげで何本か観にいくつもりにしていた映画を観逃すことに。前売りを買ってなくて正解だったよ、くすん…。

〔ストーリー〕
 第三次世界大戦後のイギリスは、かつての大国アメリカさえも植民地化した独裁国家だった。ある夜、夜間外出禁止令を破ったために自警団に捕まったイヴィーは、暴行を受けそうになったところを仮面の男“V”に救われる。彼こそはたったひとりで現政府に反旗を翻すテロリストだった…。


原題:V FOR VENDETTA
監督:ジェイムズ・マクティーグ
脚本:アンディ・ウォシャウスキー、ラリー・ウォシャウスキー
原作:アラン・ムーア (クレジットなし)、デイヴィッド・ロイド
出演:ナタリー・ポートマン、ヒューゴ・ウィービング、スティーヴン・レイ

 大きいところも小さいところも、とにかくツッコミどころ満載でしたが (Vはどうやってあれだけ大量のガイ・フォークスの仮面を用意したのか、とか、協力者もいないのに普段の生活必需品はどうしてるの、とか色々。せっせとロンドンの各家庭の住所を調べて宅配ラベルを作ってるVの姿とか想像すると笑えてくる…/笑)、わたしはこの映画、わりと好きです。
 言論の自由を奪い、人々を抑圧して独裁政治を敷く政府と、それに対抗する手段としてのテロが軸になっていて、テーマは政治的でずいぶん重たいものがあるんですが、娯楽作らしく善と悪がはっきり別れていてわかりやすい。
 まぁVが完全な“善”なのかと問われたら、それはちょっと違うとは思うんですが、この映画のなかの“悪”はもう完全無敵に真っ黒で、同情の余地なんてないから。現実の対立っていうのはもっと双方に善悪が入り混じっていて、複雑に絡み合っているものですよね。
 Vの行動と呼びかけによって、今まで「どこかこの世界はおかしい」と思っていても、行動には移せなかった人々が徐々に目覚めていき、1年後のガイ・フォークスの日に粛然と国会議事堂前に集まってくるところとか、同性愛者のヴァレリーの話なんて、素直に心が揺さぶられちゃいましたよ。
 そして、Vを演じたヒューゴ・ウィービング。マスクに隠れて表情はまったく見えませんが、喜怒哀楽がそのセリフや仕草からはっきり感じ取れます。最初に登場したシーンの、まるで舞台に立っているかのように滔々と話す姿がなんて気障でカッコいいことか! エプロン姿も案外ハマってました(笑)。
 坊主頭のナタリー・ポートマン、頭の形がキレイで彫りの深いお顔だから、こんな髪型でもサマになっちゃうんですよね~。ウラヤマシイ。怯えるばかりだったイヴィーが恐怖を克服したあとに見せる表情の鋭さが美しかったです。
 独裁政府を倒すという大義名分のもとに、私的な復讐にとりつかれていたVが、イヴィーと出会うことによって眠らせていた人間性を揺さぶられるところもいいです。ふたりの関係が師弟のような親子のような恋人のような同志のような、とその時々で移り変わっていくのもおもしろい。映画や小説のなかでなら、真っ当なものよりちょっと歪な恋愛に惹かれるわたしのツボにどんぴしゃりでございました。
 ガイ・フォークスについてはもちろん、出てくる音楽、セリフなどに前知識があればあるほど、そこに秘められた意味を感じて解釈が広がっていくんじゃないでしょうか。反面、知識がないと置いていかれてしまうシーンが点々とあるのはちょっと辛いかも。原作にもともとこういう要素があるのか、『マトリックス』のウォシャウスキー兄弟の脚本だからこうなのかはわかりませんけど。
 しかし、ウォシャウスキー兄弟が絡むと、なぜヒューゴ・ウィービングは顔を隠して、ついでに数で勝負するかのように増殖する役ばっかりキャスティングされるんでしょーか。一度くらいはごく普通の役を振っていただけると嬉しいんですが。お願いしますよ、ウォシャウスキー兄弟(笑)!

●『Vフォー・ヴェンデッタ』公式サイト

V フォー・ヴェンデッタ
アラン・ムーア デヴィット・ロイド / 小学館プロダクション
[PR]
by nao_tya | 2006-05-29 23:37 | 映画感想etc.