映画や本の感想アレコレ。ネタバレにはほとんど配慮してません。ご注意! 


by nao_tya
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読書感想:P.G.ウッドハウス『ウースター家の掟』

 『Sharpe's Challenge』を観るの時間がかかる → 睡眠時間を削る → 通勤電車で居眠り → 読書時間が激減、という状態がしばらく続き、「修道士カドフェル」シリーズの『陶工の畑』がちっとも進んでおりません! ドラマを先に観て大体のストーリーの展開はわかってるのにダメですねぇ。なので、本日はその前に読み終わったP.G.ウッドハウスの『ウースター家の掟』の感想をちょこっと。

 ウッドハウス・コレクションと銘打たれ、有閑青年バーティー・ウースターと彼の優秀な執事ジーヴスが登場するこのシリーズも4作めになりました。
 『ウースター家の掟』は『よしきた、ジーヴス』から直接続くお話で、『よしきた…』でなんとか仲をとりもって (というと御幣があるか?)、婚約までこぎつけさせた親友ガッシーとマデライン・バセット嬢の婚約破棄の危機と、ダリア叔母さんご依頼の銀のウシ型クリーマーの奪取を発端に、とにかく盛りだくさんの問題が発生します。
 各人がそれぞれの思惑で行動した結果、それらがことごとくバーティーをとんでもない危地へを追いやっていく様子がテンポ良く語られて、読みながらニヤニヤ笑いが止まらなくなっちゃいました。
 そして、今までこのシリーズを読んできて、なんだってバーティーはこんなに人が好いというか、律儀に友人たちの理不尽なお願いをかなえようとするんだろうと思ってたんですが、ウースター家における不文律、「汝、友を落胆させるべからず」を律儀に守っていたからなんだと納得した次第です。
 こういう騎士道精神こそがバーティーの魅力であり、そのくせやることなすこと空回り、自分も相手も窮地に陥れて“スープに漬か”っちゃうところが、ジーヴスがバーティーを放っておけないところなんだろうなぁ。
 わりとしょーもないこと (主にバーティーの服装の趣味) が原因でひそやかな冷戦状態に突入し、ジーヴスに意地悪されて彼の知恵が借りられないことがあるバーティーですが、今回はそういうこともありません。終始ジーヴスがバーティーに協力的だった結果、戸棚の上に飛び上がって猛犬(?)から逃れるジーヴスという、世にも珍しい光景が展開されるのには目を疑いましたよ。バーティーのオマヌケな行動はいつものことだけど、ジーヴスのチョンボはかなり貴重だと思います。
 逮捕寸前、刑務所に入ることがほぼ確実なときに、出所後の晩餐メニューを考えるバーティー (とダリア叔母さん) のどこまでもズレた優雅さもオカシイ。いや、バーティーの男気やダリア叔母さんのバーティーに対する愛情があふれでた感動的なシーンなんですよ。でもやっぱりあんたたちってどっかズレてるって(笑)!
 最終的にはジーヴスのおかげで全てが収まるところに収まり、しかも今回はバーティーに全面的勝利がもたらされるという、非常に気持ちのいいエンディングだったのも良かったです。たまにはバーティーもいい思いをしなくちゃね。もちろんジーヴスもちゃっかり自分の希望だった世界一周クルーズを手に入れます。さすが抜かりはございません。
 そうそう、ジーブスの所属する、紳士お側つきの紳士のためのクラブ、「ジュニア・ガニュメデス」の存在も明らかになり、翻訳者さんの解説によるとこれがまたなにやら新たな厄介ごとを引き起こしそうなのも楽しみです。
 次回作『でかした、ジーヴス!』は9月発行予定。さてさて、次はどんな珍事件が起きるのやら??
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by nao_tya | 2006-05-17 22:50 | 読書感想etc.