読書感想:スティーグ・ラーソン『ミレニアム』第1部・第2部
2012年 01月 16日
この『ミレニアム』は第1部の「ドラゴン・タトゥーの女」が2010年の「このミス」に入ったりしたので存在は知ってたんですよね。でもタイトルがなんだか強面でどうも触手が伸びなかったのです。でも、今年の2月に公開されるハリウッド版映画の予告を観たらやたらスタイリッシュでカッコいい!! なんかこれはわたしが考えていたのとは違う感じの本かも? というわけで読み始めたのでございます。
そしたらまぁおもしろいのなんの! 「ドラゴン・タトゥーの女」の下巻に入ったらページをめくる手が止まらず、朝の4時までかかって読み終えちゃった (もちろんその後は爆睡でした…。正月休み万歳!)。いや正直云いますと、出だしはかなりてこずったんです。もともとわたしは翻訳モノは固有名詞や名前になじむまでに時間がかかるんですが、それがスウェーデンのものなんだもの~。ヴァンゲル家の人間たちがなかなか頭に入ってこなくて、読みながら系図を自分で描いて理解につとめました…。
だがしかし、そこを乗り越えてしまえばあとはグイグイ物語りにひっぱりこまれていきました。主人公は男女2人で、ひとりは雑誌「ミレニアム」の発行責任者ミカエル、もうひとりはかなり風変わり (という言葉ではおさまらないかも…) ながら抜群の調査能力をもつフリーの調査員リスベット。このリスベットが今までにない斬新なヒロインですごく魅力的なのです。
自分に対する攻撃には徹底的に容赦なく反撃する性質で、敵に回すと非常にコワイ人。リスベットは社会が定めたルールではなく自分のルール、倫理観を優先させます。でもそこには一本太い筋がとおっているので、彼女の過激な行動も納得してしまうのです。「スゴイわ…」となぜか感心してしまうことはあっても、「やりすぎなんじゃ?」という疑問をこちらに抱かせない、有無をいわせぬ説得力があると云えばいいのかなぁ。
彼女がやたらと女性にモテまくるミカエルとともに一歩ずつハリエット・ヴァンゲル失踪の謎に迫っていくのが第1部「ドラゴン・タトゥーの女」で、リスベットの人格形成に大きな影響を与えた“最悪の出来事”の詳細が判明し、彼女に迫る危険を描くのが第2部「火と戯れる女」。どちらも先が気になってなかなか途中で本を閉じることができない小説でした。通奏低音として女性への偏見や差別、そこからくる暴力などが流れており、作者であるスティーグ・ラーソンのそれらに対する怒りが感じられます。
第3部はまだ読み始めたばかりで、これからどんな展開になるのか予想がつきませんが、ふくらんだ期待を裏切らない内容だと信じております♪
2月には映画も公開されるし、いやぁ楽しみだ! ハリウッド版の前に本国スウェーデン版の映画も観たいなぁ。ふたつのヴァージョンのリスベットとミカエルを比較するというのはなかなか贅沢ですよね。
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●スウェーデン版映画『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』の公式サイトはコチラ。