映画や本の感想アレコレ。ネタバレにはほとんど配慮してません。ご注意! 


by nao_tya
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読書感想:伊坂幸太郎『モダンタイムス』

 伊坂幸太郎さんの『モダンタイムス』(講談社文庫版) を読みました~。伊坂作品は大好きなんですけど、本棚ダイエットのために文庫に落ちるのをずっと待ってたんです。ひさしぶりの伊坂ワールド、堪能いたしました。

 主人公はシステムエンジニアの渡辺拓海。会社の先輩・五反田が失踪してしまったため、彼が「ゴッシュ」なる会社のシステムを改良する業務を引き継ぐことになります。問題のシステムはどうやら出会い系サイトで使用されているらしいのですが、簡単な仕様書しかないのでプログラムを解析をしたことからおかしな事態に巻き込まれていってしまいます。

 伊坂さんご自身があとがきで述べておられるとおり、『ゴールデンスランバー』とは双子のように似通ったものがあり、読むとどうしても比べてしまいます。どちらも国家権力というか、巨大な力に主人公が翻弄される、巻き込まれ型サスペンス (こんな言葉ある??) ですが、娯楽性という観点からは『ゴールデンスランバー』にわたしは軍配をあげちゃうかなぁ。でも、『モダンタイムス』は得体の知れない力に個人が押しつぶされそうになる“怖さ”という意味では『ゴールデン…』より勝ってる気がします。

 あと、やっぱりキャラクターがどの人も強烈に個性的で楽しい。本当に平凡そうな渡辺さんでさえ、まさに拷問されている最中に「勇気はあるか?」と聞かれてとっさに思い浮かんだこたえが「実家に忘れてきました」(笑)。この状況でこのこたえ、フツーの感覚ではまず出てこないですよね。そして、物語の冒頭に出てくるこの印象的な「実家に忘れてきました」というこたえが、ラストで変化するのがまた上手いのです。夫婦愛ですよ~。

 渡辺さんの奥さんである佳代子さんの職業や背景とか渡辺さんの浮気相手とか、謎のままのでもやっとした部分も残されるけど、読後感は不思議にすっきり。社会や国家というシステムが産み出す流れに対して個人ができることなんて本当に小さい。いや、ないに等しいかも。それでも自分の手でできることをやろうと試みる主人公たちは、みっともないところもいっぱいだけどカッコよかったです。やれることをやったあとなら、逃げるのも見ないフリして目を逸らすのも勇気だって納得できました。

 単行本が出版された当初は、播磨崎中学校、安藤商会、個別カウンセリングなどなど、物語に出てくるキーワードで検索するとおもしろい特設サイトにたどりついたみたいですが (えぇ、もちろん検索しましたとも~/笑)、いまは消えてしまってるみたいですね、残念~。あと単行本と文庫では、とある事件の真相が改変されているそうな。ストーリー自体に変更はないらしいので、今度そこの部分だけ単行本を立ち読みしにいこっと (貧乏人でスミマセン…)。
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by nao_tya | 2011-10-27 21:18 | 読書感想etc.