映画や本の感想アレコレ。ネタバレにはほとんど配慮してません。ご注意! 


by nao_tya
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読書感想:東野圭吾『夜明けの街で』

 もうすぐ公開される映画『夜明けの街で (角川文庫)』の原作本を読みました~。本は同僚のU地さんに貸していただきました。ありがとうございます♪ 原作者は東野圭吾さん。東野さんの文体はわたしにはとっつきやすく、いつものごとくするする~っと読了。しかしながら、他の東野作品に比べてどうも物語に乗りきれないままエンディングをむかえてしまいました。

 ミステリ色は薄くて、どちらかというと不倫の恋の行く末にミステリをスパイスとしてふりかけたっていう感じ。そこがそもそもわたしのツボから斜め45度くらい外れてるうえに (色恋がメインの小説って、まず自分から進んでは読まないもので)、感情移入できる人がどうも見当たらなかったのが敗因だと思うのです。恋愛モノって、極論すれば主役のふたりが結ばれるか否か、どっちかしか結末がないですよね。となると、登場人物に感情移入できるかどうか (その登場人物の恋を応援できるかと云ってもいいです) が重要なのに、この『夜明けの街で』の人々はねぇ…。

 まず主人公の渡部さん。特別なところはないごく普通の男性で、だから弱いところやダメなところもあるのはもちろん理解できるけど、それに加えて家庭があるというマイナス面を乗り越えて好きになって、それだけじゃなく不倫という行為に走るほどの魅力を、わたしは彼には感じることができなかったのです。リアルな人物像ではあるんでしょうが、中途半端にいい人で、奥さんにも不倫相手の秋葉さんにも結局は不誠実になってしまう姿に、読んでてイライラしてしまった(笑)。

 ヒロインの秋葉さん。15年もの間、大きな秘密を抱えて生きてきている女性なだけあって強いなぁとは思います。その反面、依怙地でどうにも頑なな印象が強いの。父親や叔母に対する強いいきどおりがあってこその沈黙だったのだろうけど、彼女が沈黙を守ることで守られた幸せはなにひとつないし、亡くなった人の家族は15年間気持ちを切り替えることもできず、同じところに立ち止まったままになってしまったわけですよ。それを考えるとやはり同情しきれない。それに渡部さんとの関係も、秋葉さんのなかでとっさの計算で始めた観が強くて (渡部さんに惹かれる気持ちがゼロだったわけではないだろうけど)、好感がもてないんだなぁ。

 同情できる人間がいるとすれば、渡部さんの奥さんの有美子さんでしょうかね。ただ、わたしは彼女が苦手、というよりコワイのだ~。夫の浮気を察していながら怒りや悔しさを押し殺し、いつもと変わらぬ態度で夫が自分の許に帰ってくるのを待っている姿を、健気ととるか陰湿ととるか。受け取り方は人それぞれでしょうが、つぶされちゃった卵のサンタクロースのエピソードがある限り、わたしはしんねりしたものを感じてしまうのです。つぶれさた卵のサンタクロースを偶然に渡部さんが見つけたんならまだしも、あの流れは意図的に見つけさせたとしか考えられないもん。つぶしたサンタクロースをわざわざ保管しておくのがすでにおかしいし。

 しかしまぁ、「不倫なんてするやつはバカ」とまで考えていた男が、思わぬ巡り会わせで不倫の泥沼にはまってしまう心理は丁寧に描写されています。だからその流れに不自然なところがなくて、渡部さんの身勝手な言い分にも「あぁこういう人っていそうよねぇ」と納得できたりするのです。好みの題材ではなくても、最後まで読ませてしまうところはやっぱり東野作品という感じでした。あと、渡部さんのアリバイ工作に協力する学生時代の友人の話が番外編として収録されてるんですが、本編とはまったく違うコミカルなトーンで語られるエピソードで、友人が渡部さんに協力するにはこういう裏側があったのか~と苦笑いしてしまいました。

 映画の予告編を観た限りでは、原作と大幅にイメージが違うこともなさそうです。でも劇場にまでは観にいかないな。CATVの映画チャンネルなどに登場したら観てみたいかもしれません。
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by nao_tya | 2011-09-30 17:00 | 読書感想etc.